モモンガの件はおまかせを (文春文庫 に 19-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908461

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ4作目。今回は動物園の外で起きる事件なので、動物園の描写は少ない。犬や猫などのペットが多く登場する。相変わらず桃さんと愉快な仲間たちの活躍が楽しい。動物まめ知識も得られてサクサク読める。
    基本的には軽く読めるミステリーだけど、動物を商品として扱うペット業界の難しい問題は考えさせられる。

  • シリーズ4作目。今回は動物園以外の場所での連作短編。何気なく動物たちとすれ違ったり出会ったりしただけでも、彼ら専門家たちの目にはその不自然さをごまかせません。隠しているものを暴くのをミステリというよりもまるで手品を見るように追いました。最後の一編は、密室の謎解明には度肝を抜かれましたが、それまでの経緯を含めかなり重く、昨今のペット事情など考えさせられることになりました。生きているものに「流行り」があるというのは本当に悲しいことです。徐々にメンバーの背景も明らかになり、シリーズの今後もますます楽しみです。

  • 楓ケ丘動物園の飼育員さんたちが活躍するミステリー第四弾。
    今回は舞台がほとんど動物園の外。
    隣家でも起こっていてもおかしくないような距離感であり、テーマがより身近に感じられて一気に読んでしまった。一つ一つとしては完結している短編集だけども、土台となるテーマはしっかりと地続きなので読みやすい。
    245ページの、後ろから6文に濃縮されてる桃くんの独白を噛みしめている。
    動物好きな人、「ペット」として何らかの生き物を飼育している人には読んでほしい。飼育経験ない私みたいな読者も一部分だけだと「責任の重さ」を想像できる。
    人間ひとり生存活動続けるのにも衣食住ないとやってけないし、お金もかかる。やっぱりお金も知識も覚悟もない人間はペット飼う資格無いと思う。

    日本中で、今日も明日も全国各地で動物遺棄されてる現状なんだろな。ほんと氷山の一角。真摯に目の前のいのちと向き合っている、善良なペットショップから潰れていくのが現実だと思うとやるせない。
    つい先日、ペットショップ云々のツイート流れてきたのタイムリーだったの思い出した。

    文庫本は帯付きがおススメです。服部くんブレなさが今回も輝いているよ。

  • シリーズ第4弾。
    おそらくテーマはコレだろうな~と予想していたとおりのペット事業の裏のお話。
    読むのが本当に辛い。
    しかし多くの人に読んでほしい。
    眼をそらしたくなるような現実がある。いつか自分の前にその現実が現れたら鴇先生の様に毅然と立ち向かっていけるだろうか。
    いかねばならない。そう覚悟を。

  • 相変わらず、安定の面白さ&奥深さ(^ ^

    もうすっかり「お馴染みの」飼育員4人組が、
    動物絡みの様々な事件に巻き込まれ、
    基本的には「スーパーレディ」鴇先生の活躍で解決する、
    という連作短編集(^ ^

    今回は、ちょっと鴇先生の秘密も垣間見えて...(^ ^

    最初の「イヌ」の話は、何だかずいぶん小粒だなぁ、という印象。
    フクロモモンガの回は、私もモモンガを飼っているので、
    そうそう、その通り! と思いながら読み進む(^ ^

    一冊を通してのテーマは、愛玩動物の運命と飼い主の「責任」。
    そこに「悪質ブリーダー」「悪質ペットショップ「悪質引き受けや」の
    悪のトライアングルが暗躍するので...かなりシリアス。

    イキナリ本作から読み始めると、メインキャラ4人の
    「特性」が理解できず、ややついて行きにくいか(^ ^;
    特に「変態」服部氏については、単なる危ない人...か、やっぱり(^ ^;

  • 主要メンバーのチームとしての機能が進化していて、もはや飼育員ではなく動物探偵社を名乗る方が相応しいレベルです。
    動物の行動を少し擬人化した表現の面白さ、生態の上手い使い方など、技術的にも優れている作品です。
    最後の話で語られるペット業界が抱える暗部は心が痛いものでした。
    鴇先生の多面的な魅力も良い。

  • 動物園ミステリ。シリーズ4作目。連作短編集。
    今作は、動物園を飛び出して、いろんな場所で事件に巻き込まれる。
    独立した短編かと思いきや、いちおう繋がっている。
    日本における、動物・ペットに関する問題提起をしている感が強い一冊。
    シリーズを通してですが、動物好きの人にオススメ。

  • 動物園の飼育員のコージーミステリ。今回はかなり犯罪とか動物園ではないところでの話が多かった。このシリーズ、日本人が書くコージーでは一番好きです。なんかいろいろとツボ。変態がほんとに変態……ここまで変態だったっけ(笑)。

  • 山の集落に出現した謎の大型生物が閉じ込めた筈の廃屋から消える、捕獲に当たる桃本と鴇の話が、四話収録のうちの一つとは思えない濃密さでドキドキした。提携した悪質業者問題が重い。七森をヒロインのように感じていたけれど鴇だったっけ。口調も鴇は男勝りと記憶違いしていた。桃本と鴇のコンビが新鮮でそわそわした。

  • 鴇先生、凄すぎ。服部君、謎すぎ。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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