- 文藝春秋 (2018年3月9日発売)
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感想 : 588件
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784167910310
作品紹介・あらすじ
この国の人間関係は二つしかない。
密告しないか、するか──。
第18回大藪春彦賞受賞作!
革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント
バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。
留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。
中でも学内の誰もが認める二人の天才が──
正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。
奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。
ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。
その一方で、自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。
彼女は、国家保安省(シュタージ)の監視対象者だった……。
冷戦下の東ドイツで、眞山は音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。
ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。
解説の朝井リョウ氏も絶賛!
この人、〝書けないものない系〟の書き手だ──。
圧巻の音楽描写も大きな魅力!
本作を彩る音楽は……ラフマニノフ 絵画的練習曲『音の絵』バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻 『マタイ受難曲』リスト『前奏曲(レ・プレリュード)』
ラインベルガー オルガンソナタ11番第2楽章カンティレーナ ショパン スケルツォ3番 ブロッホ『バール・シェム』より第2番「ニーグン」 フォーレ『エレジー』 ベートーヴェン 『フィデリオ』 ……etc.
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
緊張感が漂う東ドイツを舞台に、若い日本人ピアニストが自身の音楽を模索する物語が描かれています。作品では冷戦下の社会背景や音楽との関わりを通じて、当時の価値観や人々の葛藤がリアルに感じられます。音楽の描...
感想・レビュー・書評
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凄い本を読んでしまった!
ベルリンの壁崩壊の頃のドイツ
世界史が苦手だった自分にとっては
ちょっと読むのを躊躇っていたところがある
何も知らないからだ
が、そんな心配は無用だった
当時のドイツ、音楽の世界、その中で
青春を過ごすさまざまな立場の若者たち
すべてが頭の中で映像化されていった
自分が今まさに革命前夜に身をおいていた
日本が昭和から平成に変わる頃
バブル期で何もかもが花やいでいた頃
音楽を極めるために
バッハの生活していた地へ
冷戦の最中、自由の効かない東ドイツへ
留学することになるシュウ
そこは
留学生にとっては危険のない場所ではあるが
出会う友人や周りの人々との関わりの中で
政治的な出来事や、人々の苦悩を知ることによっていつのまにか巻き込まれていく
密告するかしないか!
この国の人間関係にはそれしかない!
音楽を通じて交流を深めていく若者たち
すばらしい音楽に触れて
ますます心を研ぎ澄ましていく一方で
自分の音を失っていく
どうしていいかわからないまま
歴史の渦に飲み込まれていく!
当時の若者がこんな世界にいたのかと
今更ながらため息が出る
ベルリンの壁崩壊のニュースは
時に歴史の一場面として映像で流されることもあるが、ここまで考えたこともなく
歴史のひとつひとつに
いくつもの物語が重なって
今に至るのだと思い知らされた
パイプオルガンで奏でる
バッハの曲は好きでよく聴いていた
なぜか穏やかになれるから
トーマス教会で聴いたら
どんな気持ちになるのだろうか
その響きの奥に
きっといろいろなものが隠されている
だから人々の心にいつまでも
残り、伝えられる
歴史と、音楽と、青春
すべてが詰まった一冊
ブラボー!
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「革命」と聞いて思い浮かぶのは、ショパンの名曲《革命のエチュード》。
何かが始まりそうな轟のような左手の低音に、右手は胸を駆り立てる旋律。
けれどこの小説の主人公が敬愛するのはバッハ。
舞台は冷戦下の東ドイツ。
密告しないか、するか──人間関係はその二択に収束する。
誰もが誰かの監視者であり、密告者であり得る社会。
灰色に染まった街並みの中、自由な言葉は封じられ、信じることすら難しい。
それでも、音楽だけはこの国から消すことができなかった。
たとえ言葉が閉ざされても、本物の音楽は人々の中に眠る声を呼び覚ます。
読みづらさに戸惑いながらも、後半は一気に引き込まれた。
あの時TVで見た「ベルリンの壁崩壊」が、物語として自分の中につながった。
難しさもあったけれど、読んで良かった。-
2025/05/26
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実家の物置きとか必死に漁れば出てくるかしら(笑) おかげさまで、なつかしい記憶がよみがえりました。なおさん、ありがとう♡(^^)実家の物置きとか必死に漁れば出てくるかしら(笑) おかげさまで、なつかしい記憶がよみがえりました。なおさん、ありがとう♡(^^)2025/05/28 -
コルベットさん、こんなレビューでも、誰かの懐かしい記憶にふれるきっかけになったのなら、嬉しく思います。
ベルリンの壁の欠片──歴史のかけらで...コルベットさん、こんなレビューでも、誰かの懐かしい記憶にふれるきっかけになったのなら、嬉しく思います。
ベルリンの壁の欠片──歴史のかけらであり、そしてお土産にもなるかけら。
そんなお話も聞かせてもらえて、心に残りました。2025/05/28
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歴史と革命と音楽をテーマにした、大変、重厚な物語でした。
主人公の眞山柊史はドレスデンの音楽大学で、ピアノを学ぶ23歳の日本人留学生で、バッハの平均律に深い思い入れを持っています。
話は昭和の終わった日から始まります。
柊史は教会で見かけた美貌のオルガン奏者のクリスタ・テートゲスに好意を持っています。
ラカトシュ・ヴェンツェルは、ハンガリーからの留学生で、バイオリンの天才。
パートナーであるピアニストをすぐに変えてしまうことで有名です。柊史も何度目かのパートナーに選ばれます。
他にイェンツ・シュトライヒはやはりヴァイオリン科の逸材で、柊史とも友好関係にあります。
スレイニットはベトナムからのピアノ科の留学生でラカトシュにのめり込むあまり、才能を潰されたという噂の女性です。
柊史には、日本にいる父の友人の息子でヘルベルト・ダイメルという友人もいます。ヘルベルトの娘、ニナ・ダイメルが母親の亡命にショックを受けて柊史の元に駆け込んできて、柊史は彼女のために尽くします。
そのころの東西ドイツはまさに革命前夜。
誰が国家保安官(シュタージ)であるとか、スパイであるとか、又は亡命を目論んでいる、などとさまざまな憶測が飛び交います。
柊史は、憧れのオルガニスト、クリスタがいつの間にか、ラカトシュと組んで、ヘルベルト・ダイメルより預かった、彼の父が作曲した曲を二人が大変息の合った演奏をするのを聴いて、ショックを受けます。
そこらへんから、実に様々な東西ベルリン周辺の歴史と人間模様がからみあって展開していきます。
あちらの大学生は皆、大人だと思いました。そうでなければ、激動の歴史の中で生きていけなかったのでしょう。
そして、ベルリンの壁崩壊。
彼らの青春も終わりを告げられます。-
まことさん♪こんにちは♪
まことさんのレビューに惹かれて手にしました。
この時代のこの国で生きることの様々なしがらみにはやっぱり言葉が出ませ...まことさん♪こんにちは♪
まことさんのレビューに惹かれて手にしました。
この時代のこの国で生きることの様々なしがらみにはやっぱり言葉が出ません。
終盤はものすごい力強いピアノの音を聴いた気分です。
圧巻でした。
ありがとうございました(*ˊᗜˋ*)/2020/07/02 -
くるたんさん♪こんにちは。
今、タイムラインを見ていたら、発見してびっくりしました。
須賀しのぶさんの本は『また、桜の国で』も読まれ...くるたんさん♪こんにちは。
今、タイムラインを見ていたら、発見してびっくりしました。
須賀しのぶさんの本は『また、桜の国で』も読まれていますよね!
まさか、私のレビューでとは思わなかったです(*^^*)2020/07/02
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バッハを愛する眞山柊史は長年の夢だった東ドイツへ音楽留学をする。自分のピアノの音をきわめるため。昭和が終わり平成へと時代が変わった運命的なその日に。
灰色の空、古建築が建ち並ぶ古典的な街ドレスデン。柊史がやってきた地は、輝かしいとは限らなかった。
ベルリンの壁崩壊のニュースをテレビで見た記憶があります。しかし・・実情は知らなかった。
当時の東ドイツと西ドイツ、社会主義と資本主義、経済力の違い。東では不満を抱える国民も多く、自由を求め西へと流出する人々が相次いだ。東は国民を移動できなくするため壁を建設。
密告するかしないか、という人と人とが(例え家族でも)信用ならない窮屈な監視社会の生活。そんな中でも音楽はひとつだった。街のあちらこちらから音楽の音色が聞こえてきそうな独特な雰囲気。そこに居るかのような没入感を得ることができた。須賀しのぶさんは、この小説を書かれるためにどれだけの取材をされたのだろう(解説で語られているが)。
朝井リョウさんの解説、とてもすばらしい!
歴史、音楽、青春(恋愛、サスペンス要素もあり)が絡み合う。自分にはとても勉強になる歴史小説だった。
歴史、クラシック(憧れています)に疎く、最初は難しいかなと思ったのにいつの間にか引き込まれていた。
各国からやってきた個性豊かな柊史の仲間との切磋琢磨する姿、葛藤。柊史の自分のピアノの音との向き合いかたは。後半は怒涛の展開、読む手が止まらなかった。国家に翻弄される若者。国家体制の怖さ、その中に見つける幸せ、本当の自由とは。
同時期、日本では…歴史上で起きていることが他所事だった自分が恥ずかしい。ドレスデンという街にとても魅力を感じました。
終わり方(ラスト)がとてもいいと思った。 -
昭和が終わったその日、眞山柊史は東ドイツでの音楽留学を開始した。
くせの強い天才たちに囲まれながら自分の音を探す大学生活。
出会った恋。
色のない寒々とした東ドイツでの閉塞感。
やがて彼らは否応なく歴史の転換点へと向かう大波に呑まれてゆく。
音楽のことはまったくわかりませんが、それでも楽しめました。
全体にいかにも現実らしい話ではあるが、少し迫力不足だったかな。
ある事件の動機にしても不確かなままで、勝手に想像するしかない。それが作品の余韻のようなものを生み出しているんだろうけど。
久しぶりの紙の本による読書です。
オーディブルの「聴く読書」は、30日間無料期間が切れたのを機に退会しました。
オーディブルのメリットもいろいろとあったんですが、やっぱり手に取れる本のほうがいいなぁ。
登場人物一覧もあるし、あとがきも解説もある。手触りも匂いもある。うん。やっぱりこれだな。
まあ、使い勝手が良い場面などもあるので登録しておいたままでも良かったんですが、毎月1500円は痛い。-
ポプラ並木さん、ありがとうございます。
ぜひ聴いてみますね。
最近は歌劇のカルメンのあの有名な曲や、ボレロやら、バッハのものなどを「ながら聴...ポプラ並木さん、ありがとうございます。
ぜひ聴いてみますね。
最近は歌劇のカルメンのあの有名な曲や、ボレロやら、バッハのものなどを「ながら聴き」しております。
もちろんなつメロも流行りのもアニソンも、ちゃらんぽらんになんでも聴く派です^^
2022/12/18 -
土瓶さんへ
ショパンの「革命のエチュード」もね!
読んでないけど、このお話にピッタリなんじゃないかと(笑)
昔キョンキョンのドラマ「少女に...土瓶さんへ
ショパンの「革命のエチュード」もね!
読んでないけど、このお話にピッタリなんじゃないかと(笑)
昔キョンキョンのドラマ「少女に何が起ったか」(←懐かしすぎる(;_;))で、キョンキョン演じる主人公がピアノコンクールの課題曲として弾くのよ〜。
ドラマで初めて聴いた時、激しくてカッコよくて痺れた。2022/12/18 -
ほうほう。
_φ(・_・
なおなおさん、ありがとうです。
「革命のエチュード」
エチュードをググッてみたら「練習曲」とあった。
うん。まさに...ほうほう。
_φ(・_・
なおなおさん、ありがとうです。
「革命のエチュード」
エチュードをググッてみたら「練習曲」とあった。
うん。まさにこの本にあっていそう。
そしてキョンキョンも良し!
とても良し!( /^ω^)/♪♪2022/12/18
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久しぶりのなんとも言えない重厚な読後感を感じました。
ブグログでの評価や感想をみて興味を持ちましたが、恥ずかしい話、
世界史が苦手だった私は、
ベルリンの壁についても深く知ることもなく、教科書のわずかなページをテスト勉強のためだけに読んだだけでした。
今回、最初は難しく暗い灰色のような出だしに、あまり読むペースも進まなかったのですが、中盤に入り、平和だったら音楽だけに
打ちこめる青春時代を、大変な
世界情勢に巻き込まれ、誰が真の友達かもお互い疑いながら、
生きることに必死な若者達に、
圧倒されました。
私たちにすれば、昭和が終わり平成が始まるついこないだのような
時期に彼らは、こんなにもがきながら必死で生きる道を探していたことに読み終わったあとも
余韻がすごかったです。
すごい本に出会えて大事な本がまた一つ増えました。 -
ドイツが東西に分断されていた頃の東ドイツが舞台。
正に革命前夜の東ドイツ。自分の知らない土地、時代の空気感がありありと浮かんでくるのは作者の力量の成せる技。この空気感を堪能できるだけでも読む価値あり。
音楽の描写は専門外なので良く分からないけど、時代背景との絡みで是とも否ともなる当時の価値観を説明してくれる要素として重要。色んなものを背負い、色んなことに気を配りながら修練に励まないといけない彼らは現代とは違った辛さがあったでしょう。
初めて読ませていただいた作者さんでしたが、他の小説も読んでみたいと思わせる小説でした。 -
終盤の力強さは圧巻。
舞台はベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツ。
一人の日本人ピアニスト留学生の目線から描いた物語。
音楽部分には手こずったけれどこの時代のドイツ情勢は興味深いものがあった。
仲間かそうでないか=密告者しないかするかの二つしかない人間関係、国に残っても去ってもどちらにも残る逃れられない苦しみに心打たれる。
少女ニナの考え、この年齢で社会情勢の中での自分の確固とした意思にはこちらまで心揺さぶられたな。
人として自由に息をつけ生きられる、自分の音を奏でられることの尊さもまた胸を打つ。
終盤は圧巻。まさに力強いffフォルティッシモの連続。
誰もの関係、心情が複雑に絡み合い群衆の叫びと一体になって力強く響く、そんな時間を体験した。-
くるたんさん♪
少女ニナの行動力には、私も驚きました。
確か、平成になった日から始まりましたよね。
私も、存在していた、あの時間に...くるたんさん♪
少女ニナの行動力には、私も驚きました。
確か、平成になった日から始まりましたよね。
私も、存在していた、あの時間にあんな凄い歴史が存在していたなんてと思うと驚きでした。2020/07/02 -
まことさん♪こちらにもありがとうございます♪
そうですよね、平成になったあの年、ドイツでこのような時が流れていたとは…。
毎回思うけれど、あ...まことさん♪こちらにもありがとうございます♪
そうですよね、平成になったあの年、ドイツでこのような時が流れていたとは…。
毎回思うけれど、あの時代の欧州の社会情勢に左右される人生には言葉が出ません。2020/07/02
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舞台設定がズルい!
ベルリンの壁崩壊前(そう丁度「平成」に元号が切り変わる頃だ)、冷戦下の東ドイツへ音楽留学する日本人ピアニストが主人公
彼の目を通して、東ドイツ(この表現もいろいろ問題視されているのは承知の上、わかりやすいため使います)のこの時代を知ることができる
音大には個性あふれる留学生たちが、それぞれの思惑や野心を持って在籍
強い意志と目的を持つ彼らと、お前は簡単に日本へ帰れるだろう…と言われしまう主人公マヤマ
ベトナムや北朝鮮などの社会主義環境下の留学生らと比較すれば、恵まれた甘ちゃんの日本人…と言われても仕方ない
主人公マヤマのピアノの音色は、「水のような音…」と言われ、個性の無さを象徴するような表現をされることに劣等感を持っている
実際主人公にしては地味なキャラクターである
音楽にどっぷり浸る環境を求めてきたドレスデン
しかしながら、相当なホームシックに
強い意志だけでは太刀打ちできないような、環境が想像される
ドレスデン
そこはひとことで言えば、
東側の無機質、無彩色なイメージと
西側の溢れる光と多彩なコントラスト
でわかりやすく表現されている
その彼が時代に翻弄される東ドイツに身をおいて、成長していく
音楽だけしか知らない青年がその音楽を通して、世界を知り、徐々に逞しく自分の考えを持っていく様がありふれているものの、悪くない
日本にいるとなかなか知り得ないベルリン壁崩壊直前のドイツ情勢
彼らは何を思って、いかに暮らしていたのか
東ドイツの哀愁と、どうしようもない運命に翻弄されながらも、手段を選ばず自分を見つけていこうとする各キャラクターたち
しかし最後には皆愛しく感じる
初須賀しのぶさんだが…
各人物の掘り下げ方がいい!
人物像にとことん向き合っており、その描写が興味深い
それぞれの立場があり、それぞれの葛藤があり、それぞれの夢があり…
人は単純じゃない
100%悪人も100%善人もいないし、感情と相反する行動に出たり
何かのきっかけで揺れる
そんな心の振動みたいなものが言葉少ないながら、押しつけがましくなく伝わってくる
音楽を文字で表現できる馬力も相当だ
人々の高揚感が伝わり、しっかりその場所に連れていかれた
また音楽に関してこんな印象的な記述がある
~イデオロギーは言葉で形成される
しかし音楽が付随していたならば、そう簡単にはいかない
音は最も原始的なもので、人の本能から生まれ、本能に突き刺さるもの
否応なく人を動かすものであり、だからこそあらゆる場面で音楽は使われる
太鼓の昔から…
またナチスはそれを効果的に使った~
人間の五感のすごさが表現されている
誰もが大きくうなずく描写であろう
そして冷戦下の東ドイツについて…
~この国の人間関係は二つしかない。
密告しないか、するかー。~
冷戦下の東ドイツの厳しく閉鎖された現状が、たまらない
いつも人の目にさらされ、たとえ家族でさえも気を許せない息苦しい日常生活の緊迫感がどっと押し寄せる
食生活の貧しさ、閉鎖された情報量、ところどころ彼らの生活状況が露出され、灰色の張りつめた空気感が伝わる
面白くて当然!の舞台設定から、当初は落胆するかも…とおそるおそる読んでみたが
いやぁ、期待以上でなかなか満足だ
何かにつけバランス、塩梅が丁度良く、終始楽しめる
薄っぺら過ぎず、重厚過ぎず
難し過ぎず、しかし知的好奇心を上手にくすぐる
ややこしいミステリーではないものの、ドキドキ感はある
著者の真面目で緻密で好奇心が旺盛なお人柄が本書に表れている気がし、好感が持てる
歴史、ドイツ、トーマス・マン好きとの著者のようだ
そのため、ストーリーはフィクションであるものの、しっかりドイツの歴史が重厚に入っており深いところまで読ませてくれる
こういった題材により、改めてドイツの歴史を少しかじってみた
ベルリンの壁崩壊もあれほどニュースになったのに気づけば遠い昔の出来事になってしまっている
ベルリンは自分が思っていた以上に東にあり、舞台となっているドレスデンはチェコ国境近く、
いかにドイツに対する知識がないことがあたらめて認識されたので、改めてドイツ関係の本を読んでみたくなった
こういう広がりもまた醍醐味ですなぁ
もう少し知識を持って読むとまた深く読み込める気がするのでぜひ実行したい
とまぁいろいろ偉そうに言いましたが、要は面白かった!
というシンプルな結論であった -
ブクログで知った『革命前夜』
図書館で探してもらった司書さんに「これ、おもしろいですよね」と言われ、ますます読みたくなり、先が気になり一気に読んでしまいました。音楽が聞こえてくるような文章、東西ドイツ、冷戦、ウクライナ侵略の現在とも相まって…深い読書体験でした。おすすめです。
印象に残ったフレーズ
「焔(ほのお)を守れ」突然、彼女がつぶやいた。
「もし焔を守らねば、思いもよらぬうちに、いともたやすく風が灯を、吹き消してしまおう。そして、汝、憐れ極まる魂よ。痛苦に黙し、引き裂かれるがよい」 -
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フォロワーのまことさんのレビューを読んで気になっていた作品。
書店で訴えかける何かを感じて購入。
ブクログで評価を調べてみたところ、かなりの高評価。
期待大で読み始めた。
読み始めは・・・蜜蜂と遠雷のような雰囲気の小説なのかなぁ?
自分の好みの小説とはちょっと違ったか!?と思ったが・・・。
音楽にはあまり詳しくない私は、小説に出てくる音楽のYouTubeをBGMにしながら、音楽のイメージを頭に思い浮かべながら読み始めた。
これは今から30年ほど前の時代。
ベルリンの壁が崩壊される前の東ドイツに音楽留学したマヤマの話。
美しい音楽と共に、当時の東ドイツの情勢がヒシヒシと伝わってくる。
ある程度は当時の状況は分かっていると思ったが、この小説は凄い。
映画を見ているかのように、当時の世界に読み手を連れ込んでしまう。
自分自身が東ドイツに迷い込んだような錯覚に陥る。
そうなってからの展開はとても早い。
最後は全身鳥肌が立っていた。
久々の感動。
超大作。誰にでも超絶オススメできる作品。
普段小説なんて読まない旦那にも、これは超絶オススメ!!と本を無理やり渡してしまった。
そのくらい素晴らしい作品!-
bmakiさん♪こんにちは!
お読みいただき、嬉しいです(*^^*)
重厚で、ドラマティックなストーリーでしたね。
須賀しのぶさん...bmakiさん♪こんにちは!
お読みいただき、嬉しいです(*^^*)
重厚で、ドラマティックなストーリーでしたね。
須賀しのぶさんの他の作品も読んでみようと思い、今、積読中です。2020/05/05 -
まことさんこんばんは。
素敵な小説のレビューありがとうございました。
これは凄い小説ですね!
最初読み始めるまで時間がかかりましたが、...まことさんこんばんは。
素敵な小説のレビューありがとうございました。
これは凄い小説ですね!
最初読み始めるまで時間がかかりましたが、物語にのめり込んでしまってからはあっという間でした!
素敵な小説のご紹介ありがとうございました!!2020/05/05
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友人が「ぜひ読んでね」と、有無を言わせず置いていった本。
自分で選んでないので、初めはページをめくる手に迷いがあった。
ところが、読んでみたら 劇的に素晴らしかった。
冷戦下の東ドイツに留学した日本人ピアニストの視点から
激動の時代に生きる人々を描いた歴史小説。
「音楽」と「東西ドイツの統合」という二つのテーマを軸に展開される 骨太な物語。
昭和から平成に変わる節目の1989年、東ドイツにピアノ留学をした青年。
イメージとしては灰色一色の印象の東ドイツ。
「バブル絶世期の日本からなぜ東ドイツに? 」と思ったら、
バッハ を敬愛していたから。
当時は、東ドイツの一部の地域にテレビのアンテナがなかったため
西側の情報が全く入ってこなかった時代。
そのことが東ドイツの民主化を遅らせたと言われている。
世界で何が起こっているのかを知らされないまま
近くにいる人が密告者かもしれないという疑念を抱きながら暮らす人々。
出会った人々はそれぞれ、自由な国でないがゆえの苦しい過去を抱えながらも
音楽をこよなく愛している。
ミステリー小説ではないが、最後に「え? もしかして?」と思わせる 粋な くだり が。
そしてその後は、それまでのすべての動揺や混乱が一気に収束するような
光に満ちた音で包まれる。
友人に感謝!です。-
2021/07/11
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2021/07/11
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2021/07/11
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昭和から平成に切り替わった日、憧れのバッハの音を求めて日本から東ドイツ(DDR:ドイツ民主共和国)に音楽留学したピアニストの眞山。学友たちの圧倒的な才能に打ちひしがれながら、自分の音を探す彼は、教会で美しいバッハを奏でるオルガン奏者、クリスタと出会う。彼女は西ドイツへの移民申請を行ったことで職を失い、国家保安省の監視対象となっていた。
空前のバブル景気に沸く日本から来た眞山にとって、物資不足による生活の不便はあるものの、静かにバッハの音楽と向き合えるDDRは当初それほど悪い環境ではなかった。しかしクリスタと出会い、父と旧知の仲だったダイメル家の「事件」に巻き込まれることで、DDRの闇に触れ、自分自身を見失いかけていく。
本書には、眞山の音楽性の追求と、第三者的立場である留学生から見たDDRの実情、という二つのテーマで話が進められる。おそらく著者の主眼は後者なのであろう、ピアニスト眞山としての葛藤がもう少し欲しかったような気がするが、お人好しで流されそうになりながら、誰に対しても真摯に向き合う眞山の存在は、密告するかしないか二種類の人間しかいない、と揶揄されるほど殺伐としたDDRの中で、彼の奏でる「水のような」音楽と同様の清涼さをもたらしている。
彼を取り巻く学友たちも時代を象徴する面々である。
天才肌のヴァイオリニスト、ヴェンツェルはハンガリー出身。ハンガリーはDDRに先駆けて国境を開放した。彼は新時代の人間らしく、体制に反逆し、純粋に音楽性を追求しようとする。
DDR出身のイエンツは、正確な技術で「端正」な演奏をするヴァイオリニスト。4年間軍隊で過ごした後に音大に入ったヴェンツェルとは別のタイプの天才だ。
北朝鮮出身の李は国家を背負って留学してきており、ことあるごとに眞山に突っかかる。ベトナム出身のニェットは、祖国の戦争中に紙のピアノを使って頭の中で演奏していたという。
彼らに囲まれながら、眞山は自分がいかに音楽以外のことを知らなさ過ぎたかを実感する。
しかしこれは音楽だけを追求してきた眞山だけではないだろう。当時の浮かれた日本社会の中で、世界情勢に目を向けている人が果たしてどれほどいたのだろうか。
次第に混迷を深めていくDDR。学友たちの関係もいつしか複雑に変化していく。そしてついにDDRにとって運命の日が訪れる。
物語の後半はその時代を生きているかのような臨場感で、手に汗を握る展開だ。一気に謎が解けるラストは、圧倒的な切なさと少しの安堵感で胸がいっぱいになる。
本書を読んで、改めて冷戦時代のヨーロッパについてもう少し知りたいと思った。 -
冷戦下の東ドイツの鬱屈した退廃的な世界が、これでもかと書き連ねられていた。面白いかと言われれば、正直首を傾げるだろう内容だったが、歴史エンターテイメントとして一定の価値はあると思った。それだけ歴史的背景と考察によって作り込まれた世界観が圧巻だった。
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1989年の旧東ドイツ。11月9日のベルリンの壁崩壊までの怒涛の東ドイツを描く。
この頃の日本はバブル真っ只中。バッハの音楽を追求したく、喧噪から逃れるように東ドイツへやってきた日本人音楽留学生が主人公である。
バッハの聖地でバッハに集中したかった眞山だが、大きな時代の転換のうねりの中、いつしか巻き込まれていく。密告や監視の恐怖に怯えながらも音楽に対峙し続け、人間的に成長していく姿が頼もしい。
この小説、クラシック音楽が好きな人にはたまらないと思う!特にバッハ好きには。ライプツィヒとか聖地巡礼の疑似体験をさせてもらえる。いやほんと、あの辺りの教会でオルガン曲聞きたくなる~
私の数少ない読書体験の中で、ここまで深くクラシック音楽をリサーチされた小説は恩田陸の「蜜蜂と遠雷」以来かもしれない。
作者のクラシック音楽への造詣が深いので、音楽畑出身の方かと思ったら文学部史学科出身。しかもこの時代の東ドイツには行ったことがないという・・まるであの時代を体感したことがあるのかと思うくらいの臨場感だった。
文庫版は朝井リョウ氏の解説でこれがまた面白い。ある登場人物のオチまで明かされているので、これから読む方は文庫版をお勧めする。 -
ベルリンの壁崩壊は、私が学生の頃、実際に起こったことだが、特に何の感慨も受けなかった事を、今となっては恥ずかしく思う。朝井リョウさんの解説にもあるが、対岸の火事ではなく、一つの繋がった世界での出来事であることを実感させられた。大人になってから知ることも、まだまだいっぱいある。
まず、物語の作りが巧いと思いました。自らの音楽を求め東ドイツに留学した、ピアノ専攻の主人公「眞山柊史(シュウ)」の世間知らずっぽさを含めた認識の甘さは、ちょうど私同様、監視員の存在する国の過酷な辛さを思い知らせるには、充分すぎる設定だと思ったし、自由を求める人々の、沈黙のデモから想いを言葉に紡ぐそれへと変わった様と、古代から変わらぬ、本能へと訴えかける音楽のかけがえのない素晴らしさとを、絶妙に絡み合わせた作りも、説得力を感じて巧いと思いました。
また、個性的な登場キャラもそれぞれ魅力的で、ヴェンツェル、イェンツ、ガビィ、クリスタ、李、スレイニェット、ニナ等、彼らと関わりながら、次第に逞しく成長していくシュウと彼らの物語は、友情だけに留まらず、読み応えがありました(大藪春彦賞受賞に納得)。
更に、物語に登場するたくさんのクラシックの名曲たちも華やかな彩りを添えていて、その表現も豊かで臨場感があります。私もクラシックは聴くのですが、その良さを文章で表現するのは難しいと思っていたので尊敬します。バッハの「マタイ受難曲」や、フランクの「ヴァイオリンソナタ第二楽章」、モーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第五番」、ラインベルガー、リストの「前奏曲」等々、クラシック好きの方ならより楽しめると思います。私もこれを読んで聴きたい音楽が増えました。
以上、普遍的な音楽と、自由を求める人々の想いに、シュウの成長物語と、エンターテイメント性の高い作品なのですが、私が最も印象に残ったのは、視点を変えることの重要さ。戦争の悲惨さや、音楽を利用されたかのようなナチスの存在や、監視によって人を信じられなくなる辛さは、なかなか想いを共有できるくらいの理解はできないだろうと思うけれど、それでも色々な考え方を摸索する。西と東だけではない、第三の可能性を考えているのは、目から鱗の思いだった。どれだけ辛くても冷静に客観的に考えられるというのは、想いの強さだと思うし、戦うという言葉の新たな意味を再実感させられたような気がして、私にとって、またしても恥ずかしい思いに至った。 -
時は昭和から平成になる頃。
ピアノを学ぶため、柊史は東ドイツの音大に留学をする。
大学では様々なルーツを持つ学生たちが、それぞれの音楽を追求していた。
自身の音楽を見失い始めた柊史は、教会でオルガンを弾くクリスタと出会う。
分断された東ドイツ・西ドイツの狭間でその流れに巻き込まれながらも、柊史は自身の理想とする音楽を追い求めていく。
そして流れに巻き込まれていくのは、柊史の周りの音楽家たちもまた同じだった。
自分はクラシックのこともドイツのことも全く詳しくないため、正直読みにくさは感じた。
けれども、主人公柊史をはじめとする皆の音楽への熱量や、東ドイツの閉鎖的で緊張感が漂う雰囲気が伝わり、圧倒されながら読み進めた。
本作はあくまでも、ドイツに関する歴史的な経緯を描くのがメインの作品ではない。
緊迫した社会情勢のなかで生きる若者たちの背景と、その社会情勢によって生じる若者たちの人生の変化が丁寧に描かれていたように感じた。
社会的な要素ばかりが目立っていた作品だったら自分にはついていくのが難しすぎたかもしれないが、登場人物たちが切磋琢磨しあい音楽にのめり込んでいく熱さや、巻き起こる様々な事件のハラハラ感もあり、そういった部分のおかげで堅苦しくなりすぎずに読むことができて良かった。
冷え冷えとした社会の雰囲気と音楽家たちの熱量の対比で、どちらの要素も引き立っている作品だったように感じた。 -
どこでこの本を見つけたか忘れてしまいましたが、これはおもしろいと読む前から確信がありました。
そんな期待を裏切らない、むしろ超えていくほどの大作です。
ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツにピアニストを目指して留学をする主人公シュウジ。
彼のピアニストとしての苦悩と成長を軸に、日本の元号が平成になった日からベルリンの壁が崩壊するまでが描かれています。
世界史の知識がほとんどない私は、この小説を通して当時の東ドイツとその周辺国の状況に驚くことばかりでした。
美しい音楽の描写はもちろん、登場人物の心理、そして最後のミステリー要素まですべて圧巻です。
最後のページはとびきりのサプライズで震えました。
Do you believe that music has the power to change people?
You would see it in this novel. -
革命前夜 須賀しのぶ著
1.舞台
ベルリンの壁がまだ存在する東西ドイツが舞台。
主人公は日本人の留学生ピアニスト。
音楽を志す学生。祖国に誓うそれぞれの想い。
2.時代
日本はバブル。ドイツは東西分断。
日本とドイツの当時の風景、描写。
そして、人物を通じての世相。
そこから見えてくるものは、生きる、生き抜くことへの執着です。
国家と我の人生を対比して、それぞれの人物がもがきながら、解をみつけようとする姿です。
3.内容
静かなるも疾走感が溢れる文体。
音が溢れるだけでなく、異国の空気、風、そして光が行間から流れる文体。
4.最後に
本が好きならば、是非、この 革命前夜 の世界に身を置いてみてほしいと願います。
改めて作家の方の創造力に感謝です。
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ベルリンの壁崩壊前の東ドイツに留学した若い日本人ピアニストの話。
「蜜蜂と遠雷」のような青春作品かと思いきや、当時の不安定な東独社会に翻弄される人々の苦悩が描かれた濃密な作品で、当時の東西ドイツの社会情勢を知る良いきっかけになった。
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