夏の雪 新・酔いどれ小籐次(十二) (文春文庫 さ 63-12 新・酔いどれ小籐次 12)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911140

作品紹介・あらすじ

ひと月前に、品川界隈に巣食う妖怪・強葉木谷の卑弥呼を退治した小籐次と駿太郎は、老中青山忠裕の案内で、江戸城表の白書院で将軍・家斉に拝謁することになった。家斉のみならず、老中を筆頭に幕閣要人、御三家や大大名の前でふたりは来島水軍流を披露し、さらに自作の「ほの明かり久慈行灯」の光の中で懐紙を切り分け、雪か花火かという幻想的な風景を演出し、喝采を浴びた。数日後、小籐次は、駿太郎が赤ん坊だったころに乳母を務めてくれたおさとと再会する。おさとの舅は名人と呼ばれる花火師だったが不慮の事故で体を壊して引退し、さらに余命数か月という病床にあった。舅が死ぬ前に、半端な花火職人の義弟が作った花火を見せてやりたいというおさとの願いを知った小籐次は、一計を案じる――。不景気で隅田川の川開きの花火の開催が危ぶまれるいま、小籐次は隅田川に見事大輪の花火を打ち上げることができるのか!?書き下ろし第12弾。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。読んでいるこちらまで疲れてくるてんてこ舞いの小藤次。お疲れ様です

  • ”新”になっての12作目。まあ、よく次から次へと思いつくもんだ。今回は妖怪の類は現れないので、まとも。公方様に謁見とは凄すぎますな。で、花火の話はええ話やわ。さすがに小藤次!

  • 公方様に謁見した時の紙の雪と神の花火。それが転じて隅田川の打ち上げ花火。市川團十郎の危機も救った小藤次。面白かった。

  • いつも読み終わって、本を閉じる時に感じる満足感と、そして、本の表紙に、本の内容がぎっしりと挿入している事に気付く。

    酔いどれ小藤次は、公方様家斉に拝謁することになる。

    5升の酒も飲み、来島水軍流の序の舞の剣さばきを披露して、久慈行灯の灯りに、空に舞う紙を切り刻んで雪のように散らす芸を披露する。
    正に、冬の花火のような感じであった。
    お偉方の老中達も、家斉も、目の保養と会話の楽しみを十分に味わう事ができたのだが、、、、それが、小藤次への礼として、四斗樽が、50程届く。
    その酒樽の行方は・・・・
    まだまだ、余命僅かの花火師、そして、不景気な世の中を明るくさせるのは、、、、
    そして、市川團十郎7代目への美人局の解決方法は・・・・

    盛り沢山の内容が一杯詰め込まれているのだが、最後は、これで良かった良かったと。
    花火師の最後の目に 壮大な花火が焼き付いて彼岸へと旅立ったことに、人の死なのに、尊厳さを感じてしまった。

  • 新・酔いどれ小藤次シリーズの第12巻。

    話は一つでは終わらず、さまざまな事件が複雑に絡み合うのが小藤次シリーズなのですが、今回はそこまで込み入った話もなく、安定して読める作品に仕上がっています。

    江戸時代メインの、粋と人情のお話。
    綺麗にまとめた感が大きいですが、佐伯泰英のお話はこんな感じだよね、と安定感がすさまじかったです。

    (裏表紙から抜粋)
    小藤次父子は公方様に拝謁し、見事な芸を披露して喝采を浴びた。
    数日後、小藤次は駿太郎の乳母を務めたおさとと再会する。
    彼女の舅は名人と呼ばれる花火師だったが、怪我を負って引退し、さらに余命数か月という。
    半端な花火職人の義弟が作った花火を舅に見せてやりたいというおさとの願いを知った小藤次は、一計を案じる。

    ↑この解説、ちょっと視点が違う気がするのだけれど…?

  • 小藤次が、自分の老いをつぶやくシーンが増えてきました。終わり方を考えてるのかな?

  • とうとう江戸城で将軍へのお目見えとなった。
    御側衆との手合わせをすれば、必ず責任を取り腹を切らねばならない人が出ると、一計を案じる。
    五升もの酒を飲み干し、紙束を飛ばすと、粉々に切り、夏の雪としゃれこむ。そこで、各大名などから四斗樽の酒を祝いにおくられることに。

    47個にも及ぶ樽酒を売り、死を前にして息子に花火の技を伝授しようとする名人俊吉を手伝うことに。

    かたや悪清水と別名の奉行も困る与力が市川團十郎を貶めていた。すけこましで、大名に到るまで二千両近くも荒稼ぎをしていた。すでに奉行も大目付も黙認しこの始末を委ねられた。

    流石の小藤次も寄る年波には疲れを隠せない。

    確実に息子駿太郎は成長し、小藤次は年老いた。
    ヒーローの晩年はいかに。

  • 安定の面白さ。テレビの時代劇と同じ。ネタ切れになりながらも登場人物を上手く配することで、きちんと話が展開しているところはシリーズものの良いところ。
    それでも、さすがにそろそろマンネリ化してきているような気もするので、どこでシリーズを終わらせるのか、が問題かな。

  • 第十二弾
    将軍への拝謁の栄誉とその係わりでの駿太郎の乳母の義父花火師へのお節介
    そして義兄弟の市川檀十郎が悪与力に脅された件、町奉行も暗黙の了解での闇仕事
    次は駿太郎の故郷丹波篠山への三人旅か?

  • 花火の話がおもしろかった。それに次巻が楽しみな展開。

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著者プロフィール

佐伯 泰英(さえき やすひで)
1942年福岡県北九州市八幡西区生まれの小説家、写真家。日本大学藝術学部映画学科卒。当初は冒険小説や国際謀略小説を中心としたミステリー小説を執筆していたがヒットに恵まれず、編集者からの勧告に従って時代小説家に転身。初の書き下ろし時代小説『瑠璃の寺』がヒットし、以後作家活動は軌道に乗っていった。
代表作として、『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』のタイトルでドラマ化された『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズ、『吉原裏同心』シリーズなど。

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