現場者 300の顔をもつ男 (文春文庫 お 75-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911447

作品紹介・あらすじ

「漣さんは〈役者〉として輝いたまま旅立った。俺がこうありたいと思う生き方がここにある」――ビートたけし若き日に全てをかけた劇団・転形劇場の解散から、ピンク映画で初めて知った映像の世界、北野武監督との出会い、名監督たちと独自の世界を作り上げていった過程まで――。24時間営業俳優が語る俳優観と撮影秘話は深い余韻を残す。大杉漣が残した未発表ノートをもとに、もう一つの顔を浮き彫りにする大杉弘美氏の特別寄稿付き。現場で生ききった唯一無二の俳優の軌跡がここに。

感想・レビュー・書評

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  • まっしぐらに俳優の道を走り抜けて行ってしまった名優の自叙伝。

  • 2018年2月に急逝された大杉漣さんの手記。
    大杉さんがどのように考え、生き、
    お芝居に向き合ってこられたかが、
    静かな語り口の中にも熱さを携えて綴られています。
    また興味深いのは、奥さまによる追記のページ。
    表には出ていない大杉さんの文章・文体から、
    いろんな想いを抱えてやってこられたのだなぁと
    いうことがうかがえます。
    よりがんばろうという気持ちと、
    50はまだまだ挑戦し続けられるという勇気を
    いただけた一冊でした。

  • 大杉蓮さんの最後の出演映画となってしまった教誨師、有楽町の映画館で観るきっかけとなったのがこの本。人間臭くて誰よりも優しい唯一無二の男の物語がここにある。

  • 「駆け抜いて、駆け抜いて、星になる。」
    漣さんの生き様は、こんな風に形容できるのかなーと思う。

    とにかく、現場を愛し、スタッフを愛し、役者仲間を愛した人生だったのだろう。
    内藤剛志、光石研といった実力派の役者さんに慕われたのもわかる。
    松重豊が、ずっと背中を追いかけていたのもわかる。
    http://urx2.nu/WbZp
    本文の中にある、
    高校生の自主制作の映画に出演
    プロだから、とギャラを受け取る
    受け取ったギャラを寄附する
    エピソード、めっちゃ素敵、最高❗

    最後の大杉弘美さん(奥さま)の特別寄稿、若き日の漣さんの内面の葛藤がわかる一文です。

  • <興>
    2018年9月に出た文庫版です。単行本は2001年10月に上梓されています。其の頃,大杉漣さんの芸名「漣」の由来を創った渡るさんももちろんまだ生きていました。でも僕はその渡るさんをリアルタイムではでは観た事がありません。
    大杉さんは徳島の出身で,実わ僕も同じく徳島出身です。最近でわ米津玄師という若者が吉田拓郎のラヂオでのお褒めも有って,僕の中でちょっと存在が膨らんで来ています。
    この『現場者』は,そういう風にどんどん連想が広がってゆき,とても興味深い本です。

  • 正直言って、私は漣さんの演技を上手いと思ったことがありません。でもそこが好きだった。どんな役を演じていてもすごく普通で、素の漣さんもこんな人なんじゃないかと思えました。本書中に役柄と自分の境界をなくしたかったというようなことが書かれていて納得。

    「映るに足る働きをしているだろうか」。とんでもない、それの遥か上でした。

    個人的にいちばん記憶に残っているのは、『アベック モン マリ』(1999)のトイレに入る前にパンツを脱がないと用を足せない漣さん。そんなのを覚えていてごめんなさい。でも忘れません。大好きでした。

  • 大杉さんのエッセイがあったとは!全ての現場を大切にし、高校生が撮る作品にも出演したとのエピソードは胸を打たれた。早すぎる死で残念だが、現場で亡くなったのは役者さんにとって本望なのかなとも思った。

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著者プロフィール

大杉漣(おおすぎ・れん)
1951年9月27日-2018年2月21日
本名、大杉孝(おおすぎ・たかし)。芸名の「漣」は、ミュージシャン高田漣から取ったもの。徳島県小松島市出身、四人兄弟の末っ子で、兄の影響を受けてサッカーを始める。明治大学に入学後、大学に行かずにアルバイト生活を続ける。その最中で当時の演劇劇場に通いつめ、劇作家・太田省吾の記事にふれて感激。大学を中退して演劇の道に進み、1974年に太田創設の「転形劇場」に入り、1988年に解散するまで所属する。
1978年「緊縛いけにえ」で映画デビュー。1983年に滝田洋二郎監督の「連続暴姦」で「ZOOM-UP映画祭」ピンクリボン賞主演男優賞受賞。転形劇場解散の頃から俳優に専心し、1993年北野武監督の「ソナチネ」で注目され、北野映画の常連となる。1998年北野監督の「HANA-BI」、崔洋一監督「犬、走る DOG RACE」等の作品で、キネマ旬報賞、ブルーリボン賞など多数の助演男優賞を受賞。テレビドラマにも活動の場を広げ、出演作の質量と演技力によって、「300の顔をもつ男」という異名を受けた。
(2018年5月10日)

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