- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167911447
作品紹介・あらすじ
「漣さんは〈役者〉として輝いたまま旅立った。俺がこうありたいと思う生き方がここにある」――ビートたけし若き日に全てをかけた劇団・転形劇場の解散から、ピンク映画で初めて知った映像の世界、北野武監督との出会い、名監督たちと独自の世界を作り上げていった過程まで――。24時間営業俳優が語る俳優観と撮影秘話は深い余韻を残す。大杉漣が残した未発表ノートをもとに、もう一つの顔を浮き彫りにする大杉弘美氏の特別寄稿付き。現場で生ききった唯一無二の俳優の軌跡がここに。
感想・レビュー・書評
-
まっしぐらに俳優の道を走り抜けて行ってしまった名優の自叙伝。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018年2月に急逝された大杉漣さんの手記。
大杉さんがどのように考え、生き、
お芝居に向き合ってこられたかが、
静かな語り口の中にも熱さを携えて綴られています。
また興味深いのは、奥さまによる追記のページ。
表には出ていない大杉さんの文章・文体から、
いろんな想いを抱えてやってこられたのだなぁと
いうことがうかがえます。
よりがんばろうという気持ちと、
50はまだまだ挑戦し続けられるという勇気を
いただけた一冊でした。 -
大杉蓮さんの最後の出演映画となってしまった教誨師、有楽町の映画館で観るきっかけとなったのがこの本。人間臭くて誰よりも優しい唯一無二の男の物語がここにある。
-
<興>
2018年9月に出た文庫版です。単行本は2001年10月に上梓されています。其の頃,大杉漣さんの芸名「漣」の由来を創った渡るさんももちろんまだ生きていました。でも僕はその渡るさんをリアルタイムではでは観た事がありません。
大杉さんは徳島の出身で,実わ僕も同じく徳島出身です。最近でわ米津玄師という若者が吉田拓郎のラヂオでのお褒めも有って,僕の中でちょっと存在が膨らんで来ています。
この『現場者』は,そういう風にどんどん連想が広がってゆき,とても興味深い本です。 -
正直言って、私は漣さんの演技を上手いと思ったことがありません。でもそこが好きだった。どんな役を演じていてもすごく普通で、素の漣さんもこんな人なんじゃないかと思えました。本書中に役柄と自分の境界をなくしたかったというようなことが書かれていて納得。
「映るに足る働きをしているだろうか」。とんでもない、それの遥か上でした。
個人的にいちばん記憶に残っているのは、『アベック モン マリ』(1999)のトイレに入る前にパンツを脱がないと用を足せない漣さん。そんなのを覚えていてごめんなさい。でも忘れません。大好きでした。 -
大杉さんのエッセイがあったとは!全ての現場を大切にし、高校生が撮る作品にも出演したとのエピソードは胸を打たれた。早すぎる死で残念だが、現場で亡くなったのは役者さんにとって本望なのかなとも思った。