女子漂流 (文春文庫 み 36-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167912123

作品紹介・あらすじ

私たちに、たどり着くべき岸はない!人生の大海原を漂いまくる2人の、赤裸々すぎる対談!(大半は、アホ話!)ショッピングと整形の壮絶な日々……女子力まっただ中の人生を歩んできた、中村うさぎBLとマンガに耽溺……女子力に見向きもせず、オタクライフを謳歌する、三浦しをん女子校出身は共通しているものの、正反対の道を歩んできた二人の作家が、自らの女子としての歩みを語り合う。「目からウロコが落ちた」中村うさぎ「ちょっと勇気が出たというか、吹っ切れた」三浦しをん爆笑しながら読み進めるうちに世間体や自意識から自由な2人の生き方が見えてくる。自分に正直になりたい人必読。衝撃の「文庫版あとがき」つき!

感想・レビュー・書評

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  • タイトルは〝女子漂流〟だが、男性こそ読んで欲しい。特にモテない男性や腐男子に…

    作中に『知らないことは幸せなこと』とあるが、知らないの先に行って欲しいと願う。うさぎさんとしをんさんはある意味で極端な2人だが、女性はファンタジーではなく、生身の人間。
    逆に〝男子漂流〟があったら読みたいと思った。きっと女性の知らない、男性だけが知っている女性像や男性像があるはず。

    しをんさんファンとしては、対談モノより個人のエッセイが好き♡

  • 中村うさぎと三浦しをん、対照的な二人の意外な対談。私はうさぎさんよりは若いけれどしをんさんよりは年上でちょうど間の世代なので、どちらの世代の話も「わかるわかる」と頷きながら読みました。まあ人間的にはしをんさん寄りの隠遁系なので、より共感できるのはそちらでしたが。マンガを読みたいという欲望以外はすべてにおいて面倒くさいが勝ってしまう気持ち、すごいわかる(まあ対象はマンガじゃなくとも)リアルの恋愛って、タフじゃないとできないんだよねえ。

    うさぎさんの本は読んだことがないけれど、この対談読む限りとても頭の回転も速く冷静に自己分析できる人なのに、なぜこんな賢い人が買い物依存や整形、ホストにはまってしまったりするのか謎だった。自分ではどうしようもないものなのかなあ? 男性から求められる自分に価値を置きすぎた結果なのだろうけれど。若さや美貌を既得利権と呼び男性に対してエロス権力をいつまでも行使したい美魔女という分析はなるほどと思うし、自分の中の姫と魔女の話も面白かった。

    文庫版あとがきで、60才になったうさぎさんがようやく解放された感じになっているのが感慨深い。老いという大陸に辿り着いたときやっと女子という漂流が終わる。

  • 赤裸々ということで、共感や反感もいろいろ湧き上がるのではと思う。私には「女ってだけでものすごく得している」が、気になった。
    もう、損得で物語るのは止めないかと常々思っているからだ。その物差しを持ち出すとたちまち対立の構図が出来上がってしまう。
    その上、自分より明らかに優秀な女子を差し置いて就職したことに後ろめたさを抱いた男性や、努力した能力ではなくただ単に容姿を求められていたことに落胆した女性等々、「トク=幸せ」でもないことも知っている。
    しをんさんのいうように、自意識と世間体とのせめぎあいは、苦しみにも満ちているが自己を浮かび上がらせるものでもあるのだろう。しかも恋愛は良くも悪くもその効能の最も濃いものとして我々を翻弄する。
    だから、興味を持てない、しない、のは自由だが、そこから離脱しないと幸せになれないというのは腑に落ちない。
    そう、離脱すべきは「恋愛市場」なのだろう。
    他者と張り合い商品価値を高め、属性に求められるあるべき姿を追求する。競争してくれないと経済じゃないですからね。
    幻なのはマジョリティのいる島ではなく、ランキング上位者のみがたどり着ける楽園なのではないかと思う。そんな万人向けのオールマイティな幸せなんて本当にあるのでしょうか。
    自己実現なんてゴールがないと諦めて漂っているのではなく、自分にとっての幸せが宿る島を探している、もしくは漂流こそが幸せなのかもしれない。縁あって辿り着いた島も、自分の力でそれなりに心地よくすることができると信じたい。
    うさぎさん、灰色の鳥もよく見ると銀色に輝いているかもしれませんよ。

  • 先日、あとがきをやっと読了。本編はだいぶ前に読み終えたので詳細忘れたが、女子校の島感覚は腑に落ちた。「女子校出身」というと「大変でしょ?」なんて言われることが多々あるが、こちらからしたら共学女子の方が怖い印象。女子校女子は異性の目がないせいか却って伸び伸びしている気がするし、世間のイメージの「陰湿なイジメ」なんて(私の知る限りでは)これっぽっちもなかった。その代わり島が沢山(笑)著者たちのエピソードや考えに笑ったり共感したり、違いを発見したり終始面白かった。しかし、エロ系の話は電車内で読むのに少々憚られ★4とした。

  • 三浦しをんさんが好きで、中村うさぎさんのエッセイも拝読したことがあり拝読しました。氷河期時代のしをんさんとバブル時代のうさぎさんが、女子高から大学にや恋愛や仕事や世間やお互いの趣味について炸裂した対談で良い意味でパンチがありました。お二人の最後のあとがきも素晴らしかったです。女性として生きるのは本当に大変です。

  • 我が道をゆく女子2人の対談。
    下品で(褒めてます)、素直で、考察鋭く、一気読みしてしまった。
    世間体やマジョリティといったものは実は無人の大陸ではないか?という考えが面白い。
    ぷかぷか漂流する小島=女子として、たとえ行先が分からなくても伸びやかに漂流していこうと思える本。

  • あとがきまでふくめて名著だと思ったのは初めてかもしれない。
    この本は中村うさぎ氏と三浦しをん氏という全く違った生き方(この本ではそれを離れ小島と言っており、大陸は世間体と言っている)をした2人の対談本だ。
    この本のすごいところは女子(もしくは女性)の幻想を打ち破っているところにある。男性と女性について深く掘り下げていて、まだまだ私自身も固定概念を抱えていると痛感した。下ネタもたくさん出てくるが、むしろ正直に生きていたら世間一般が思っているような綺麗なものには変化していかない。世間体が嫌うものにこそ、根本的な"何か"がある。

    人生ってなんだろうと再度悩んだとき、笑いながらためになるこの本を開いて漂流したい。

  • ブックオフに行って本を買いたくてそのために売る本を探して売る前に再読しました。女子漂流。
    三浦しをん氏の本が大好きなので、エッセイは新鮮でした。同窓会に行かなくて、SNSもしなくて、人生を面倒くさいが支配してて、でもものすごく美しい物語を紡げる三浦氏。その彼女が軽〜く、でも率直に対談するくだりが面白かったです。

    そしてぶっ飛んだイメージの中村うさぎ氏の言葉がなかなか秀逸で面白かった。
    自分のなかにお姫様願望とひねくれたババア魔女がいる、女子校のツッコミが自分の中にいる魔女を育てる、と言うのは本当だなぁと。
    そういえば最近、わたいも愛すべき旧友に「あんたの心には乙女がいるんだね」と言われたなぁ。お恥ずかしい。でもババア魔女もいるから面倒くさいのよね。わかるわー。

    男女平等をうたう人には怒られちゃうかもだけど、何となく女(特に女子校あがり)は俯瞰的に自分を眺めてしまう癖がある気がする。これがこの本でいう女子ツッコミが育てた魔女の成せる業なのかしら。他方、男のほうがあんまり考えてそうで考えてなくて人生には悩みがないというか。仕事とか出世とか投資とか人生設計は考えてると思うよ?でも人生なんたるかについては近視眼的というか、あんま考えないから悩まない。そう言う気がするんですよね。
    仕事だと逆のことが多いんだけどね。なんだろうね。あ、思い込みですいませんね。

    エッセイの視点は他にも面白くて、専業主婦は特権階級で昔から培われた女が男を働かせるシステム=カツアゲシステムだとか、例え働いて成功しても「でも、ブスじゃん」の一撃をくらってしまう女独自の壁、などの表現も面白かった。

    冒頭で三浦しをんはこう述べている。人生は生きづらい、「自意識と自分」「社会と自分」のせめぎ合いがひとを苦しめる、と。そして氏は「モテない」事実との折り合いをつけるために「恋愛戦線から脱落するのをよしとはしていない」というポーズを取っていたことを辞めて、自分に正直にありたいと言う。自意識と世間体に全面的に屈服することは、自己の否定と他者への不寛容になると。

    そして巻末で中村うさぎ氏は、「他者」と「自意識」を手放した時に漂流は終わる、述べている。そしてそれは皮肉なことに、加齢によって恋愛戦線から完全に脱落したからだとも綴っている。

    私は三浦しをんに大喝采なのだが、彼女のような才能は無いし彼女よりは心にいる乙女の存在感がまだ強いようだ。出家するのはもう少しあとになるかもしれない。
    多分まだまだ漂流するけど、ちゃんと寝てせめてミッドナイトメンヘラにならないようにしよう。どうせなら早寝早起きで楽しいことしたいよね、今朝の早起き全米生観戦楽しかったな〜、つぎはワールドあるといいなあ(あ、スケオタです、すいません)

  • 三浦しをんさんと中村うさぎさんの対談本。

    タイプは違う2人だが、一致する意見が多く面白かった。
    三浦しをんさんのエッセイでみうけられる
    「暴走妄想」は少なめです。
    対談だからかな?

    中村さんの本は、読んだことがなく
    これがお初でした。
    頭の切れる方だなという印象。

  • 私はとても共感できたし、すべてがわかるわかるって感じだった。
    意外とうさぎ先生にも。

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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