私の消滅 (文春文庫 な 69-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913083

感想・レビュー・書評

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  • 自分の存在があやふやになってしまう作品でした。
    今、自分だと思っている記憶は、本当は別の誰かの記憶なんじゃないか…。
    途中から、結局これは誰の話なんだ?とわからなくなってしまい、一回読んだだけでは理解しきれなかったので、また読もうと思います。

    短い作品ですが、濃い内容でした。

  • わたしも何か酷い目に遭って、精神科医に脳をなにかされたのかもしれない、とおもった。似たようなことを自分でできるのかも。
    自分はどこまでが自分かっていうのは、精神科医に治療されなくても、わからないというかグレーなのではないか。

  • 何か言えるほどまともでも歪んでもいないけど、とにかく重く暗くぬかるんでいて読めど読めど(実際には休みながら)進まない。進めない。陰鬱でありながら性的なものに起因する人格の核にあるケースが多く、魅惑的かつ汚いものとして描かれていて共感のような親近感があった。脳をいじくる描写に素養が足りずイメージすらあんまり出来なかったので時計じかけのオレンジのアレックスを思い浮かべてしまった。

  • 読んでいる自分の脳まで不確定な存在に思えた。良い読書体験だった。

  • 中村文則作品、初読です。
    本作はBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品。
    ストーリーは心療内科を訪れた美しい女性に惹かれた男の復讐の物語。復讐の手段が想像を絶します。
    終始重苦しい雰囲気で、170ページ程度のボリュームながら読み応えがありました。タイトルと内容がどうリンクするのか。構成が見事でした。

  • いつにも増して暗い物語だった。視点移動が巧みで、こちらも(きっと小塚自身も)誰が誰だかわからず陥っていく感じがあったし、長くはないのに読後の疲労感がすごかった。
    小塚のことも和久井のことも容認はもちろんできないし恐ろしいことをしているんだけれど、なぜか終わり方が美しく少し愛おしく思えて、中村文則作品は結末にいつも中毒性があるなと思った。

  • 私の消滅。
    自分が誰かがわからなくなるのは怖い。

    ずっと読んでても、何が本当で何が偽りか、わからなかった。

    中村文則さんの小説は、合うやつは本当に面白い!ってなるのに、これは難しかったな…。

  • 狂気じみてる人物が多く登場するが、その狂気は先天的なものなのか、後天的に蓄積された記憶が狂気をつくりだしているのか、はたまたその両方なのか。

    実在した犯罪者の分析等もでてきて、狂気的な人の精神構造がとても興味深かった。

  • 暗さと哲学を調合して、ひとつの物語にしたてあげるのがすごいな

  • むー、難しいと言うのか、深いというのか。

    以前何かのテレビで浜辺美波さんが紹介していた記憶がある。
    感情移入出来ないからこそ、猟奇的な殺人とかサイコパス的なような本を読むと。

    精神分析的な事は興味があって、勉強とかもしてる(最近サボっているけど)
    脳はまだまだ未開の領域があって、そこに手を出すのは本当に人間を超えるような事のように思う。

    いつしか、そんな世の中が来るのだろうか。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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