かきバターを神田で (文春文庫 ひ 20-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913908

作品紹介・あらすじ

熱いバター醤油にまみれた立派なかき、清らかなせん切りキャベツ、黄色い芥子。あの光景を思い浮かべただけで―ー平松さんが悶絶する、冬の名物・かきバター定食。寒い夜、家に戻る途中「肉豆腐が待っている」と思うだけでものすごく安心する――昨日より豆腐に味が染みて、ねぎもとろとろに甘く…「煮汁につけておいたゆで卵」!冬の煮卵、かきバター焼定食、山形の肉そば、ひな鶏の素揚げ、デミグラスソースがたっぷりかかったトンカツ、あるいは、ちぎりトマトにサザエカレーに水茄子…世の中の美味しいもの、美味しい味を生むお人柄、美味しい料理の背景。週刊文春人気エッセイをオリジナル文庫化した一冊。解説・堂場瞬一

感想・レビュー・書評

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  • 平松洋子『かきバターを神田で』文春文庫。

    週刊文春に掲載中のエッセイを文庫化。今回は食べ物だけでなく、食の周辺に関するエッセイも多数収録されている。

    我々が毎日三度三度対峙する食。その食を毎食大事にするというのはなかなか難しいのだが、平松洋子さんはそれを実践されているようだ。相変わらず軽妙な文章は衰えず、決して食を蔑ろにしない敬虔な気持ちが伝わる秀作エッセイばかりが並ぶ。

    タイトルの『かきバターを神田で』に始まり、『ジェノバでパスタ』『カリーヴルストをベルリンで』『肉そばを山形で』といずれもシリーズのタイトルになりそうなエッセイタイトルを惜しげもなく披露している。個人的には谷口ジローとコンビを組んだ『サンドウィッチを銀座で』というタイトルが秀逸だと思う。その谷口ジローとの創作の思い出に触れた『谷口ジローさん』というエッセイもなかなか読ませてくれる。

    一番興味深かったのは、サバイバル登山家の服部文祥らはと日高山脈の山小屋でひたすらシカを食する『シカを獲る』だった。

    解説は堂場瞬一。

    本体価格650円
    ★★★★★

  • なんとなく手に取ってしまった食エッセイ。

    面白いんですよ。面白いんですけど、読むの時間かかったな。
    細切れの話って、しょうがないですけど、一気に読めないんですよね。

    ああ、おいしそうとか、
    あ、このお店に行ってみたい。

    とかそういう感想はでるんですけど、ちょっと、業界人ネタが多くてあまりついていけませんでした。

    あまり僕には食エッセイはあっていないようです。

    「食」をネタにした話なら、ラノベの『異世界食堂』の方がいいかな。誰でも知っている普通の洋食の話しかでてこないからね(笑)。

    という訳でした。
    はい。

  • 読み終わったあと
    「あ~食べたい!」と猛烈に思ってしまった。
    おでん
    カリーブルスト
    奥渋の台湾料理「麗郷」
    トマトの手ちぎり
    なすそうめん
    さんまのコンフィ
    きのこ鍋
    田部井さんの干し柿


    そして、アボカド円月殺法に驚かされ!
    (今晩やってみよう~)
    さらにさらにとん蝶まで登場するとは!!びっくり!

    あと、ぬるいお味噌汁は笑った~
    実は私、以前同じような経験があるのだけど…
    「ぬるいので温め直してください」と言ったら
    同席していた男性たちが全員ドン引き。
    でもさ、ぬるいお味噌汁ってなんかイヤじゃない?
    ぬる~って感じで。
    熱いか冷たいかはっきりしてほしいのよね。
    このがっかり感…
    わかるわ~。

  • オノマトペも活用し、豊富な語彙と軽妙な文章で、眼前に料理を表出し、読者の食欲を刺激する著者の凄腕。
    定型の驚きしか発せられないテレビのグルメレポーターも、著者のエッセイを読んでみてはどうか。
    様々なレシピも記載され、意欲ある読者は試してみるのもいいかも。

  • 横串の女、おじゃまします、深酒の巨匠、道民魂、画伯の好物、セコスタンスでいこう、冬の煮卵、カリーヴルストをベルリンで、春うらら屋形船、水なすの季節、トマトをちぎる、なすそうめん、茂吉の鰻、とんかつの夏、アナ…

  • 平松洋子さん。好き。癒し。

  • 読み進むにつれて、食べたい!と思うものがでてこなくなってきた。前作でも感じたけど、ちょっとずつ著者と感性がずれてきてるんだよなぁ…少し寂しい。

  • 冬の煮卵、かきバター定食、山形の肉そば、世の中の美味しいものと其れにまつわる物事を伝える週刊文春の人気エッセイが文庫に。

  • 無性に、トマトをちぎって食べてみたくなりました。これやろう。
    今回は食べ物が中心ではない回が多かった印象です。あの店のあのメニュー、ではなくお店や店主について書かれた回も興味深いです。「名曲喫茶クラシック」のお話素敵でした。
    お腹の調子が…と思っているので、せっせと蒟蒻ときのこを食べています。元気になったらお肉を!!

  • 冒頭の「横串の女」の近所のお店の女主人らしきの焼き鳥を食べる描写に引き込まれる。

    だけど、平松さんのキッチン周りの近辺雑記ぽいなあと思いながら、読み進めると、シカ猟、フィンランドのサウナ、ジェノヴァのパスタ、ベルリンのカレーまみれのソーセージとか色々の食べ歩きもあって段々楽しくなってくる。
    台所周りのことも、平松さんの文章の熱量は変わらないんだけどね。
    解説に「生真面目かつ柔らかい文体」とある。僕は威勢が良くて上品な文章だと思う。

    鈴木清純「ツゴイネルワイゼン」のちぎりこんにゃく鍋、恐かったなあ。何が怖いんだか判らないのに、本当に不気味だった。

    「トマトをちぎる。」やってみようかな。

    表題となった「かきバターを神田で」。
    このタイトルは」違うんじゃないかな。シリーズタイトルは語呂の良さで揃えたいんだろうけれど、アレッと思った。

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著者プロフィール

平松洋子=1958年、倉敷生まれ。東京女子大学卒業。エッセイスト。食文化、暮らし、本のことをテーマに執筆をしている。『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる私』『忘れない味』『下着の捨どき』など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平松洋子の作品

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