満月珈琲店の星詠み (文春文庫 も 29-21)

著者 :
  • 文藝春秋
3.70
  • (360)
  • (589)
  • (582)
  • (98)
  • (29)
本棚登録 : 8864
感想 : 587
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914004

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とても優しい世界だった。
    日々の生活で躓くポイントで、満月珈琲店が現れ、占星術を使って、導いて行く物語。
    自分の星の位置を知ることで、自分を知り、これからの生活を見直して行く、満月珈琲店の訪問者がみんな、前向きに頑張っていくのを応援したくなる
    そんなお話でした。

    勉強しようとして、複雑で、断念した占星術も、優しい言葉で書かれていて分かりやすかった。

  • 満月の夜にだけ現れる満月珈琲店。猫のマスターと店員が極上のスイーツやドリンクで客をもてなしてくれる。迷い込むようにやってきた客たちの悩みを、占星術とスイーツで甘く癒しながら導いていく連作短編集。

    桜田千尋さんの美しいイラストにインスパイアされて誕生した小説。まるで自分が満月珈琲店へ訪れたかのように吸い込まれる表紙。ページをめくれば、登場するスイーツやドリンクのイラストたちが満載!星空のように美しくて、それでいてとってもおいしそう!ぼくのように深夜に読んでしまうとお腹が鳴るので注意(笑) 発想もビジュアルも素敵で、眺めているだけでも癒されていく。

    スランプ中のシナリオライター、不倫未遂をした自分を許せないディレクター、恋するIT起業家など、迷い込んできた人たちの心の迷い。星を見て方角を知るように、マスターの星詠みによって見つけ出す人生の指針。西洋占星術に詳しくなくても、その悩みの解き方や言葉たちは自然と心に沁み込んでくるあたたかさがある。

    そして、読み進めていく内に点が線になり、物語に秘められた大きな絵が浮かび上がってくる。まるで天の星を結んだ星座。満月のように丸く収まる物語にほっとする。読み終わる頃には、自分まで肩の荷が下りている不思議な小説。ぼくも満月珈琲店へ行ってみたいな。

    最後に、ぼくが好きな文章を引用して終わります。
    部屋を自分が気に入るものにする、試練は壁ではなく扉、この二つが特に覚えておきたい言葉だった。

    p.58
    「あなたは、涙を流してこなかったでしょう? 辛い時、苦しい時は、ちゃんと泣かないといけません。水はすべてを流してくれる作用があるんです」

    p.88
    「彼の言う通りです。あなたは、『自分は自分のために、素敵な部屋に住む必要があるんだ』ということを『知る』ことが大事なんです。そして、『いつか自分が最高に気に入る部屋に住めるようにがんばろう』と心に決めること。それが自分を理解するということです」

    p.104
    真摯なスタイリストや美容師は、外見だけじゃなく、その人の好みや理想を含めて、すべてを見ようとする。

    p.106
    「かき集めた勇気は、『拒絶』という強風を前にすると、簡単に吹き飛ばされてしまうものなのよ。食い下がれるというのは、自信がある人だけができることなのよね」

    p.137
    「……そっか、彼の魅力は奥さんがピカピカに磨いていたものだったんですね。それを私は横取りしようとしていたんだ」

    p.142
    「さっきも言った通り、『土星』は試練を与える厳しい星よ。だけど、試練は壁ではなくて、扉なの」

  • 表紙に惹かれて読み始めました
    内容もとても良く、勇気と元気をくれる1冊です。
    現代を生きる私たちの様々な悩みや不安を、登場人物の人柄に合わせて描かれていました。
    頑張り過ぎた時のおすすめの1冊です( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

  • すごく可愛らしくて癒されるそんな1冊でした。
    まず表紙をめくってすぐ物語に出てくるメニューのイラストがあり、それがどれもかわいくて美味しそう!
    お話も満月の夜にだけ現れる珈琲店というのもおしゃれだし、猫のマスターが悩みを抱えた人たちを「星詠み」でアドバイスしてくれる姿にはほんわかした気持ちにさせられました。
    占星術について少し勉強してみたくなりました。

  • 満月の夜にだけ現れる猫が営業している喫茶店。
    わたしはファンタジーものは苦手ですが、これは面白かったです。

    ページを開くと最初にめちゃめちゃ美味しそうなスイーツが描かれています。
    本編に出てくるので、その都度戻っては「美味しそう〜♪」と思いながら読みました。

    短編ですが、最後に上手く繋がります。
    とてもあったかいお話で良かったです。

  • ブクログランキングで気になって読んでみました。
    表紙と冒頭のイラストで幻想的な世界観にがっつり引き込まれました。月や星をモチーフにしたスイーツやドリンクはとても美しく、実際にカフェで食べられたら素敵だなぁーと思いました。
    物語としては、連作短編のように進み、最後のエピローグで綺麗に収束するものでした。
    何故満月珈琲店のマスターや店員が猫なのか、なぜこのお店に導かれたのか…そういったことが最後にすっきりと分かります。
    「星詠み」という占星術のお話も興味深く、自分のこともぜひ「星詠み」して欲しいと思いました!

    コラボ企画でこの満月珈琲店が実現したら、絶対行きます笑

  • ほっこり。
    おいしそうなスイーツとドリンク
    空色ビール"星空"
    飲んでみたい。
    自分のネイタルチャート見てみたい。
    占星術、深いなぁ。

  • 占星術はよく知らなかったけど、すーっと入ってくるとても癒やされました。
    いろんな事が前向きになれていきました。

  • デザートもドリンクも美味しそう。イラストがまた可愛くて癒される。
    星詠み、占星術に興味が湧く本です。『自身を知ること』との言葉通り、悩んでいたり、もやもやしている主人公たちの背中をそっと押してくれる感じがいいなぁと思いました。また、各章の主人公たちのつながりとさらに猫たちのつながりがわかった時は心がほっこりしました。
    満月珈琲店、現れてほしい。デザート、ドリンクはもちろんのこと、マスターに星詠みしてもらいたいです。

  • 『満月珈琲店の星詠み』望月麻衣さん
               画・桜田千尋さん

    エピローグに向けて、びっくりしたー!!
    すごい、繋がってると思ってなかった。
    猫が猫の神様にお願いしてくれたんですね。

    とっても良かった。
    私もぜひ『星詠み』して、自分について知りたい。
    西洋占星術について、興味深いと思った。

    話に出てくる音楽をかけながら聴くと、さらに素敵な雰囲気になった。クラシック、素敵だな〜

    望月先生を初めて読んだ。
    予想外の伏線で、とても優しい、時々ハッとする大切な言葉を教えてくれる本だった。

    【背表紙より】
    満月の夜にだけ現れる満月珈琲店では、猫のマスターと店員が、極上のスイーツやフードとドリンクで客をもてなす。スランプ中のシナリオ・ライター、不倫未遂のディレクター、恋するIT起業家…マスターは訪問客の星の動きを「詠む」。悩める人々を星はどう導くか。美しいイラストにインスパイアされた書き下ろし小説。

    【本文より】
    〈第一章 水瓶座のトライフル〉
    ・(マスター)「あなたは、涙を流してこなかったでしょう?辛い時、苦しい時は、ちゃんと泣かないといけません。水は全てを流してくれる作用があるんです。」
    ・過去は、楽しいことばかりではない。
    本当にいろんなことがあったものだ。
    振り返ると、今も胸が痛むけれど、すべては過去の『悲愴(ひそう: 悲しくいたましいこと)』
    (芹川瑞希)「もしかしたら、『悲愴』は、傷ついた心を癒す曲なのかもしれない…」
    ・『人は、いつかはちゃんと勉強しなければならない時がくるもんなんですね』
    ・(マスター)「根の環境を整えることで、ちゃんと花を咲かせることができます。もし、今、自分の花がちゃんと咲いていないと思う場合は、地中-根の状態を調べなくてはなりません」
    ・(マスター)「『自分を理解する』というのは、『自分を大切にする』ことにつながります。そうすると、あなたという星が輝き出すんですよ」
    ・「人も一人一人が、星なんですよ」

    〈第二章 満月アイスのフォンダンショコラ〉
    ・(美容師の次郎)「かき集めた勇気は、『拒絶』という強風を前にすると、簡単に吹き飛ばされてしまうものなのよ。食い下がれるというのは、自信がある人だけができることなのよね」
    ・(ハチ割れ)「この世にあるのは、『自分のしたことは、自分に跳ね返ってくる』という鏡の法則。誰かを傷つけたら、それは大きく跳ね返ってくる。さらに同じ不倫でも、相手の家族が多ければ多いほど不幸にする人の数も多い。それが跳ね返ってきてしまうんだ」
    ・(ハチ割れ)「明里さん、常に正しくあろうとするあなたは素晴らしいと思います。ですが、それだけがすべてなわけではありません。時に、自分を赦すことも大事ですよ」
    ・(ペルシャ)「大きな心を持つには、時に自分をうんと甘やかしてあげることも大事なの。あと、自分の作ったがんじがらめの常識に囚われて、自分の心を無視することも良くないことよ。ちゃんと解放して、認めてあげて」

    〈第三章 水星逆行の再会〉
    ・(早川恵美)「男も女も、動物さえも『毛』を整えるだけで、がらりと変われるのよ。特に女性は、『眉』と『まつ毛』と『髪』の三つね」
    ・そう悪いことばかりじゃないのよ。水星逆光中はね、振り返りの時期なのよ。
    何事も進むだけが良いわけじゃないわ。
    昔を懐かしむ期間。
    逆光中はね、懐かしい人に再会できたり、あの頃にはできなかったことにトライできる、リベンジの時でもあるのよ。

    〈エピローグ〉
    ・(次郎)「両親を傷つけたし、それまでに作られた家族が壊れてしまったけど、あのままだったらアタシが壊れていたのよ。あの革命でアタシは自分の人生をつかむことができたのよねぇ」
    ・(紳士)「まぁ、過ぎてしまえば、そうした経験のすべてが愛しく、眩しい宝なんですがね。ですが、あの子たちには、せめて自分を偽ってほしくなかったんです」
    ・(マスター)「出生図(ネイタルチャート)とは『運命のレコード』であり、『人生の羅針盤』です。自分らしく人生という旅路を進むためには、まず、自身を知ること。『星詠み』としては一人でも多くの人に、それを知ってもらえたらと願っています」

全587件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

北海道出身、現在は京都在住。2013年にエブリスタ主催第二回電子書籍大賞を受賞し、デビュー。2016年「京都寺町三条のホームズ」で第4回京都本大賞を受賞。「京都寺町三条のホームズ」「京洛の森のアリス」「わが家は祇園の拝み屋さん」「満月珈琲店の星詠み」「京都船岡山アストロロジー」シリーズなど著書多数。

「2023年 『京都 梅咲菖蒲の嫁ぎ先』 で使われていた紹介文から引用しています。」

望月麻衣の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
名取 佐和子
凪良 ゆう
村山 早紀
瀬尾 まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×