殺し屋、やってます。 (文春文庫 い 89-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1191
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914226

作品紹介・あらすじ

経営コンサルティング会社を営む富澤充。普通の家庭で育ち、普通の学校を出て、普通に社会生活を送っている特徴のない男だが、彼の副業は、一人につき650万円で殺しを請け負う「殺し屋」だった。スズメバチ駆除業者がスズメバチを殺すように、ビジネスライクに、危なげなく仕事をこなす富澤だが、依頼人やターゲットの奇妙な行動がどうも気になる。依頼人はなぜ病院の駐車場でターゲットを殺してほしかったのか。不倫の密会で、いままで嵌めていなかった結婚指輪をわざわざ嵌める理由は?なぜ、女性はある路地に入るとパンプスからビーチサンダルに履き替えるのか。本作では、富澤の商売敵となる有能な女殺し屋も登場!殺し屋を主人公にした、日常の謎シリーズ第二弾です。

感想・レビュー・書評

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  • 本業は経営コンサルタント、副業は殺し屋という主人公の短編作品。

    前金で300万円、成功報酬350万円、実行まで2週間、殺人を請け負う。

    どの物語も一筋縄のルールで、あらゆる角度から描かれているので読み応えも面白味も非常に大きかった。

    しかしながら、この作品を読んでいると無性に缶ビールとビーフジャーキーが欲しくなる。

    禁酒生活7ヶ月目の私としては、これが星1つ減らす大きな要因であったと言えよう。

  • タイトルに惹かれて…
    実にあっさり人殺しますな〜
    仕事と割り切る今時の人なん?
    ビジネスライクというか何というか…
    よくある殺そうとしたターゲットが、実は、過去に関係があって苦悩するとかは、一切無し!
    気持ちええぐらいの職業意識!

    でも、ターゲットには、変なヤツがおったりで、その行動なりを推理する。
    殺し屋兼探偵みたいな位置付けなんかな。
    しかし、
     普通の家庭で育って、
     普通学校行って、
     普通に就職して、
    とか言ってるけど、

    そんな人は、やはり殺し屋にはならんで〜
    でも、淡々と確実に仕事をこなす方が、顧客に信頼されるのは、どの業界でも一緒なんは確か!

    ええ仕事しまっせ!って事なんかな?
    スイスイ読めてええ感じ!

  • 経営コンサルティング会社を営む男、富澤には副業がある。650万円で人殺しを請け負う、「殺し屋」だ……。

    殺し屋の男が標的や依頼人の些細な行動の謎を解く、日常の謎系ミステリです。「殺し屋」の話なのに解くのは「日常の謎」というのがギャップがあって面白いところ。

    殺し屋の主人公が、殺しを副業にしているというところ以外本当に普通の男性に見えて、どこかに本当にそんな副業をしている人がいるのではという気分になってきます。普通というには少し推理力がありすぎ&ドライすぎかもしれませんが、推理力はともかくこれくらいドライな人はそこらにいてもおかしくない気がします。
    対価の650万も、場合によっては払う一般人がいてもおかしくないような絶妙な金額に思え、フィクションの中の微妙なリアリティについ笑ってしまいました。

    石持浅海さんらしい、面白いミステリだと思います。


    殺し屋をメインに据えた小説はこんなのも。こちらは大分エキセントリックな殺し屋さん(達)
    →『ダイナー』(ポプラ文庫)/ 平山夢明

  • 副業殺し屋がストイックに淡々と依頼をこなす日常ミステリー。優柔不断な依頼人や吸血鬼のような殺害依頼など普通じゃない。罪悪感がないのが不思議。結婚詐欺師の殺害依頼に母親同伴で来た話には騙された。

  • 設定がいい。
    「日常に潜む小さな謎」シリーズはよく見るけど、そこに殺し屋をかけてくるところが斬新でおもしろい。
    謎も良くできているし、殺し屋設定も浮いてない。
    さらりと読めて、殺し屋の話なのに、読後感も良いのが不思議。続編も読みたい。

  • 殺し屋が探偵役という変わったシチュエーションですが、さすが石持さん、しっかりミステリーになっています。

    コンサルタント会社を経営する富澤充。
    しかし、副業(裏の顔)は、なんと殺し屋。
    彼は、毎回、依頼された標的の行動に興味を持つ。

    真夜中に、水筒の水を公園に捨てる女性。
    独身なのに、コンビニで紙オムツを買う男性。
    依頼とその撤回を繰り返す依頼人。
    標的が2人(同姓同名?)、果たして標的はどちら。
    などなど
    そして、最後に依頼された標的は、なんと...

    短編集ですが、伏線もあり、それぞれしっかり結論が収まっているのは、さすがです。
    千海さんの装画も、本文の中身を知ると、ついニヤリとしますね(良い味出してます)。

  • 日常の謎を解き明かす系ミステリー。
    それを殺し屋がやってるのが面白い。


    殺し屋が主役だから暗い感じかと思いきや割と明るめ。
    殺害シーンがサクッと済まされるから、人が死んだ実感があまり無くて読後感も悪くない。

    ☆3.2

  • 殺し屋×日常の謎解き
    設定にギャップがあり、話の切り口が面白い本です。

    経営コンサルタントをする傍ら、副業として殺し屋をしている主人公。

    殺害の瞬間、殺害方法はほとんどフォーカスされてないです。むしろターゲットや依頼人たちの不可解な行動を推理することにページが割かれています。

    一人暮らしの独身サラリーマンが週末に紙おむつのパックを購入するワケは?
    依頼人が殺害依頼を取り下げたり再度依頼したりする理由は?
    依頼人よりも同伴者の方が饒舌なのは何故か?
    主人公がサクサク推理していきます。テンポよく読めます。

    人が相手を判断する時、ほとんどを目からの情報に頼っていることが改めて理解できました。身につける服、所有品、挙動、喋り方、表情。その人と深く長く関わらずとも、その人から収穫出来た極わずかな視覚的情報で、その人となりや背景ストーリーをいとも容易く、壮大に描くことが出来てしまう。やっぱり身なりを整えることは大事なんですね笑

    ただ、
    共感できる登場人物がいない点、
    推理はするけど答え合わせはされない話もある点、
    では物足りなさを感じました。

    主人公はドライすぎるくらいにドライです。身辺調査は業務上行いますが、ターゲットや依頼人について深入りはしない。(だからこそ殺し屋をやっていけてるのだと思いますが…)彼の周りの人間の心配や人の命の重さ、道徳とか倫理的なところ?は置いておいて、
    自分の足跡が残らないか、
    報酬を確実に受け取れるか、
    今後の自分のビジネスへの影響はあるか、
    を特に気にしている様子が最後まで貫かれています。軸がブレないのはビジネスマンとしてプロだなと思いました笑

    「一般家庭に生まれてごく普通に育ってきた僕がなぜ殺し屋などをやることになったのか。その経歴はともかくとして、今現在、僕は殺し屋だ。」
    が1番の謎です。

    • かなさん
      Kさん、おはようございます!
      私もこの作品、読みましたよ(^^)
      ブクログ初めてそんなに期間が経っておらず、
      自分自身の記録として読ん...
      Kさん、おはようございます!
      私もこの作品、読みましたよ(^^)
      ブクログ初めてそんなに期間が経っておらず、
      自分自身の記録として読んだ印みたいな形で
      レビューを投稿しちゃってたんで、
      後から見て、読んだはずなのに、覚えてなかったりします(^-^;
      この作品、続編もあるんだけれど
      私的にはあまりおすすめはできないです。
      同じ読書時間をもつなら
      他の作品のほうがいいかもです。
      2023/03/20
    • Kさん
      かなさん、コメントありがとうございます!

      かなさんもお読みになっていたのですね!
      そして、続編があったとは!完全ノーマークでした笑
      なるほ...
      かなさん、コメントありがとうございます!

      かなさんもお読みになっていたのですね!
      そして、続編があったとは!完全ノーマークでした笑
      なるほど…続編の方が面白いものもありますが、こちらは残念選手でしたか……。装丁のデザインとシンプルだけどキャッチーなタイトルに惹かれて読んでみましたが^^;
      切り替えて次行ってみます!笑
      2023/03/20
  • ビールとビーフジャーキーが無性に欲しくなる!
    そして、このシュールさが癖になる。面白い‼︎

    続篇から読んだのだが、順番に関係なく楽しめる。
    おじさま好きの私としては、伊勢殿の活躍を期待してしまう…。3巻が待ち遠しい。

  • 経営コンサルタントを営む、富澤。
    上場企業社員の平均年収、650万で仕事を引き受ける殺し屋が副業。
    そんな彼がターゲットや依頼人の大小の謎をふらりと解く。
    保育士の女性が毎晩公園で水筒を洗う理由
    独身会社員の男が紙おむつを買った理由
    母親同伴の依頼人の謎
    殺人事件をキャンセルした理由
    殺害方法を吸血の跡に酷似させる訳とは
    ターゲットの女性の謎
    依頼人が指名したターゲットは…

    最近、マープル版のTVで同じような話を観たばかりなので、殺人受付担当の伊勢殿の明け透けな様子にヒヤヒヤした。
    富澤と相棒の塚原たちのテンポ良い会話ですすむお話。富澤が掘り起こす謎が皮肉でニヤリとしたり。
    ただ、淡々と仕事をこなす富澤がちょっと不気味。
    依頼人の言い分ばかりでターゲットは殺害されるべき人なのか、そこは調べないのかが気になる。
    余計な思い入れ云々とか言ってたけど、梅安さんは調べてたなあ。
     

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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