- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167915582
作品紹介・あらすじ
「お前の居場所は、俺が作るから。泣くな」ピアノだけが友達の孤独な少女の夏子は、異彩の少年・月島と出会い、振り回され、傷付きながらもその側にいようとする。やがて月島は唐突に「バンドをやる」と言い出した。彼は、夏子の人生の破壊者でも創造者でもあった。大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。直木賞候補となった鮮烈なデビュー小説。「生生しくて、切なくて、痛くて、何度も胸を揺さぶられた。この小説が好きだ。好きだ、と叫び出したくなる」宮下奈都(解説より)【藤崎彩織】1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た四人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となった。他の著書に『読書間奏文』がある。
感想・レビュー・書評
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セカオワのピアニスト作者に何となく惹かれて手に取った本。
読了までとても時間を要した。途中で時間も空いてしまった。
全体的に苦しくて、暗くて、切ない。私の苦手な雰囲気だったので、読む気が起きなかった。
何もかも乱してくる月島を憎く、それでも離れない夏子をもどかしく思ってしまった。
ただ、宮下さん解説を読みなるほどなとも少し思った。藤崎さんの文章力があるから、私も「ふたご」の世界に身を投げ入れ、登場人物に感情移入したことは、藤崎さんの小説の力なのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初は可愛い表紙を手に取っただけ。でも、読み進める中で不思議と月島に惹かれるものがあった。現実にいたら振り回されるような男なのに。。
お互いなぜそこまでお互いにこだわるのか、理解しがたいような、できるような。
個人的に出会えてよかったと思う作品。
続編がどうこうではなく、単純に彼らの未来が気になるところ。 -
セカオワを重ねて読んで、おもしろい。 -
実際の経験をもとにかいた作品とのことで「ああ、あのことか」と思いながら読み進めることができました。どこがフィクションなのか分からないほどリアルでしたが、夏子の気持ちに対し理解が困難な部分も。再読があるかわからないので☆3です。
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生きるの苦手そうな二人が生々しい筆致で描かれている。生々し過ぎて痛くて辛い。二人の依存も凄過ぎて慄く。幼児が母に依存してるくらいの重さで、リアルに伝わってくるその重みで潰されそう。二人一緒にいることが狂気じみているので別れなよとしか思えなくなってくる。
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「野生の獣のように、月島は美しかった。」
沙織さんの、この表現力が心を震わせた。
SEKAI NO OWARIというバンドが好きだったから、興味本位で読んだ。
だが、興味本位で読むものでは、なかった。
読み進める度、最初の方はとても苦しく、ページをめくる指はとても重かった。出来れば、もう読みたくないと感じるほど、私の心は、揺らされていた。
夏子は、良くも悪くも月島に依存していたのではないか。月島も、そうだ。
この、ふたりの名前の無い関係。
振り回され、傷つけ、傷つけられ。
悲しかった。苦しかった。でも、素敵な物語だった。
素晴らしかった。 -
2020/09/27
SEKAI NO OWARIのピアノを担当しているSaoriさんこと藤崎彩織さんの書いた小説。豪華にも解説は宮下奈都さんが書いているから気合の入れようが違うなと感じました。
もともとセカオワ自体もすごく有名だからころバンドの人間が書く小説というのにもとっても興味があってちょうど文庫化していたので買って読んでみました。
どうしてもさおりさんが有名であることで、あーセカオワってこうやって出来上がって今の形になっていったんだなぁと結成までの背景的な感じで読むこともできますが、それを全く知らなかったとしても1つの物語として出来上がっているなと感じます。
何より言葉選びが多彩で色々な表現にあふれていて驚いたとともに、さおりさんが他の小説とか書いたらどうなるんだろう…とも思ってしまうような、その小説の情景がありありとわかるような構成になっていると思います。
かなりの部分が実体験に基づいて描かれているのだろうということは予測できますが、それを抜きにしても十分面白いのではないかと思います。 -
文庫化された事に際して手にとってみました。
逃げの感想になりますが、宮下さんが解説に書いていたそのままそっくりの気持ちになりました。
良くも悪くも名の知れた人が書いた小説。しかも読めば読むほど、知っていれば知っているほど私小説じゃないかと感じてしまう気持ち悪さはありました。何処までが真実なのかは著者のみぞ知るですが、頭の中では全てが彼女達に置き換わってしまいました。その分の気持ち悪さはあったかも知れません。
しかしそれと同時に物語の転じ方が想像できるから安心して先を読み進める事ができたのも事実です。さらにそう言った感情を抱く小説が中々ない事も事実。
これが一点、誰が書いたのかを知らずに読んだとしたら衝撃的な名作だと感じたかもしれないし、最後まで読む気が起こらなかったかも知れません。
また自分自身が「ふたご」なので、この単語がどう使われるのかも気になっていました。けどこれだけは理想を詰め込みすぎだなぁとも…笑
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切なくて重たい、産みの苦しみが続く感じ。ミュージシャンとして成功する人が一握りなら、きっとこれはノンフィクションに近いんだろうなと。セカオワの誕生でメンバーが語る話とリンクしている部分も多々あり、セカオワの物語かと想像しながら読みました。