江戸彩り見立て帖 色にいでにけり (文春文庫 さ 59-3)

著者 :
  • 文藝春秋
3.74
  • (20)
  • (40)
  • (34)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 321
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167917036

作品紹介・あらすじ

“色”で江戸の難題、解決します。
累計32万部突破「居酒屋ぜんや」シリーズの坂井希久子、
文庫オリジナル、新シリーズ始動!

江戸時代は、洗練された美意識と、繊細な色彩感覚が頂点に達した時代でした。
もしも、江戸にカラーコーディネーターがいたら……?

お彩の父親は腕のいい摺師でしたが、火事で視力も、仕事場も失ってしまいます。
盲いた父の面倒を見ながら貧乏長屋で暮らしているお彩。
婚約者との縁談も流れ、粗末な木綿の着物に身を包んでいますが、お彩には、天性の鋭い色彩感覚があるのでした。

そこに目をつけたのが、謎の京男、右近。
一本気なお彩に邪険のされながらも、懲りずにまとわりつく右近は、お彩に次々と色に関する難題を持ち込みます。
そして、“江戸のカラーコーディネーター”、お彩の活躍が始まります!

着物や芸能にも詳しい坂井さんならではのエピソードや、
色や柄にまつわる知識も満載。
例えば鼠色だけでも、これだけ種類があるのか!と驚かされます。



お彩はお蔦の顔と見比べながら、帳面をめくっていく。
白鼠、銀鼠、藤鼠、湊鼠、錆青磁、柳鼠──。(中略)
「あっ!」
唐突に、記憶の糸が張り詰めた。
一枚の錦絵がするすると、脳裏に引き出されてくる。(本文より)



新作菓子の意匠から花魁の仕掛けの図案まで、豊かな色彩溢れる江戸のカラーコーディネーターとして活躍するお彩の人情物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「オール読物」で連載されているので読んでいるが、再度読みたかったので購入。
    胡散臭い京男の右近と、色彩に閃きの才を持つ彩とのやり取りが面白い。色彩に関しての蘊蓄も満載。色覚異常の気付きも、小さい頃から摺師の家で育った賜物だろう。
    現在も連載が続いているが、右近と彩との関係が気になる。

  • 摺師であった辰五郎は、2年前、火事が元で、失明した。5人の弟子達も、散り散りになり、自暴自棄の生活を送っていた。
    娘のお彩は、針仕事をしながら、父娘二人の生活を支えていた。

    そのお彩は、天性の鋭い色彩感覚を持っていて、ある日、謎の京男・右近が、その才能に目をつけ、半ば強引に、次々と難題を持ちかけた。

    やんごとなき筋の茶会に出す主菓子。
    小間物問屋の娘の見合いに着る着物。
    吉原の花魁に着せる仕掛け。

    見事に解決するお彩に、右近は、身分を明かし、お彩の才能を生かして、仕事にしないかと、持ちかける。

    摺師辰五郎の仕事場を再興したいというお彩。
    希は、叶えられるのか、続きが楽しみな作品だった。

  • 古典文学をよんでいると、日本とはなんて色彩の溢れた国なのだろうと思う。

    十二単衣に使われた襲、四季を表す言葉。絵画に映し出された美しい色。

    この物語の主人公のお彩は元摺師の父を持つ娘。火事で何もかもを失ったことでやさぐれでしまった(^◇^;)

    ですが、彼女の鋭い色彩感覚を活かしてくれる上方の男、右近との出会いで彼女の人生は新しい道に向かっていく。

    新シリーズ、楽しいです♪

  • 坂井希久子新シリーズ
    今度は江戸版カラーコーディネーター
    なるほど〜色々読んできたけど初めての設定(°▽°)

    摺師の親方だった父親が火事で視力を失う。
    弟子達は父親を見捨てて居なくなり、人を信じられなくなった「お彩」は酒浸りの父親と二人貧乏長屋で必死に頑張ってきたが…

    そんな彼女は天性の鋭い色彩感覚を持っていた!
    面白い!今までにない設定だ!

    第一巻はお彩に何故か絡む謎の京男・右近とのカラーコーディネートの小手調べ的なお話で終わり。
    今後面白くなる予感がします(〃ω〃)

    でも本がウスっ!物足りないわ(*´-`)

  • 火事で仕事場と自宅が全焼し、光を失った辰五郎。
    飲んだくれるばかりになった父を支え、貧乏な中、お金を貯めるお彩だが……。

    定番の着物の見立てだけでなく、上菓子などの食べ物なども。
    色彩感覚に優れたお彩が思いつく、色にまつわるアイディアが、どれもおもしろかった。

    その美しい仕上がりを、実際に見てみたくなる。

    京の出で、明らかに裕福そうな、謎の男・右近。
    お彩に強引に色の仕事を持ち込むようで、配慮もあり、ぽんぽんとしたふたりのやりとりがたのしかった。

    カラーコーディネーターとしての仕事だけでなく、父娘の人情味もあたたか。

    いかにも続編が出そうな終わり方。
    シリーズ化してほしい。

  • 「居酒屋ぜんや」シリーズが人気の坂井希久子さんの新シリーズ。

    貧乏長屋に住むお彩は、子供のころから絵に馴染み、色彩感覚が抜群。
    自分ではあまり自覚していなかったが…
    父が摺師で、自宅兼工房に弟子たちも抱えていたが、火事ですべてをなくし、目まで見えなくなったため、酒浸りに。
    弟子たちはいっせいに出て行き、お彩のいいなづけも去った。
    父を一人で支えて奮闘するお彩でした。

    ある日、京ことばを話す謎の男・右近に才を認められ、色の見立てを仕事にしないかと勧められます。
    そんなことが仕事になるのかと、うさん臭さを感じ反発しつつも、何度かの機会をこなしていくお彩。
    江戸っ子気質の上に苦労を重ねたからか、頑固で鼻っ柱が強いが、内心はまだうぶなのでは?
    ひょうひょうとした右近はなかなか正体を明かさないが、もの柔らかで、お彩の父の気持ちまで解きほぐしていくのです。

    江戸時代の色の名前は特に着物の色など、ものすごくたくさんあり、季節を味わう感覚や、お菓子にも工夫する都会の催しなど、様々な機会があるのが楽しい。
    お江戸のカラーコーディネーターの活躍が始まります☆

  • なるほど江戸のカラーコーディネーターとは!
    面白いお仕事を設定なさった。
    1編に1つくらい、ハッとする言葉があるので、坂井さんは好き。
    もっと分厚い1冊にしてくだされば良かったのに。
    ちょっと本が薄くて物足りなかった。

  • 火事で盲目となった元摺師の父親と暮らす娘(彩)を巡る連作短篇集。ひょんなことで知り合った京男に見込まれて、色彩感覚に優れている彩は大屋の問題を解決していく。今ではあまり言わない色の名前が沢山でてきてそのたびにググるのも、頭の中でその鮮やかな色彩を想像するのも発見があって楽しい。江戸っ子らしくきっぷのいい彩だが、ちょっと頑固すぎるのが回を重ねるとモヤモヤするが、シリーズ化してくれてるのは嬉しい!

  • 2022/10/22
    1話目だけ読んだことあると思ったらお料理の短編に載ってたのか。
    展開は面白いんだけど、お彩がイヤだイヤだばっかり言ってんのがな。
    腹くくれ。
    そして無双する続きが見たいですよ。
    やっぱ色にいでにけりなんだから恋に発展してくれんと。

  • 注文の多い料理小説集で1話を読み、続きが読みたくなったので購入。
    紅緋 錆浅葱 御納戸色 鴇羽色 等、和の色名がたくさん出てくるので、いちいち調べながらで楽しい。
    歌舞伎に纏わる色や、灰色でも柳鼠、錆青磁、藤鼠、など無数にあることや、着物や昔のファッションも素敵だなぁと思った。
    お彩の逞しさに励まされる。
    続編が楽しみ!

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂井希久子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×