- Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167917302
作品紹介・あらすじ
江戸時代の大坂・道頓堀。穂積成章は父から近松門左衛門の硯をもらい、浄瑠璃作者・近松半二として歩みだす。だが弟弟子には先を越され、人形遣いからは何度も書き直させられ、それでも書かずにはいられない。物語が生まれる様を圧倒的熱量と義太夫のごとき流麗な語りで描く、直木賞&高校生直木賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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浄瑠璃に生きた近松半二。
器用に生きたという印象はなく、愚直に浄瑠璃に向き合っている一生懸命さが伝わる物語。
個人的には、半二を支えたお佐久の存在がとても魅力的。
メインで登場する人物ではなかったのにもっと知りたいと思わせる人物。女性としても人間としても見習いたい憧れに近い感情が生まれました。 -
夢中になれることはありますか。
操浄瑠璃、人形に魅せられたある男の物語。移りゆく時代の中、浄瑠璃に生き、浄瑠璃に死んでく。・・・
死ぬまで夢中になれる物を私たちは見つけることができるだろうか。
日の目を見ない葛藤、好きなものをとことんまで追求してゆく心意気。
気づき、別れ、老い、人、山、男、女
この世の全てのものが渦となって巻き込み、巻き込まれ、今に繋がっている。そんな哲学的な気づきまで与えてくれる。そんな作品。
おすすめです。
「わしらの拵えるもんは、みんなこっから出てくるのや。このごっつい道頓堀いう渦の中から」 -
人形浄瑠璃は観たことがない。歌舞伎も現代風にアレンジされたもの以外、観たことがない。言葉が分からないと思ってるからかな。昔の話が分からないのではなくて、何を言ってるか言葉が分からないだろうから、、という先入観もあって観たことがない。
時は江戸時代、近松半二という人形浄瑠璃の作者の生涯を、関西に居ない人は意味が分かるかなぁと思ったくらい思いっきりの大阪弁で語られるスタイルで話は進んでいく。最初はなかなか話に入っていけなかったけど、後半からはものすごい熱量が押し寄せてきて、ぐるぐるぐるぐる、渦の中に飲まれていました。物語はどこから生まれてくるのか。ぐるぐるぐるぐる渦の中に全部全部ある。
これだけ人を熱狂させる人形浄瑠璃、分からないかもしれないけど、観てみたい。 -
操浄瑠璃の作者・近松半二の一生。全く知らなかった人だが、人形浄瑠璃のことなど近松門左衛門の名前くらいしか知らないものな。その半二の『あちらこちらの芝居やら人形浄瑠璃やらを見にいったり、作者部屋でああでもないこうでもないと話しあったり、浄瑠璃の丸本やらなにやら読みふけったり、学びたいものがあればそれらを学びにいったり、食べたり飲んだり遊んだり、気が向けば少し遠出をしたり』といった生き様が、立て板に水の如くの独り語りや丁々発止の掛け合いの形で道頓堀の賑わいとともに創作の呻吟も暗くならずに軽やかにスルスルとテンポ良く語られる。ただ、頁に白いところがないくらいにぎっしり詰まった語り口に、これが延々と続くのには、如何に話が面白かろうと、ちと参った。主人公よりも、お末やお佐久やお三輪にお熊に絹も女たちが皆逞しいことのほうが印象に残った。こういうのを読むと、ほな一度、文楽とやらを見にいこかと、いつもはなるのだが、今回はあまりそんな気にならなかった。食わず嫌いなんだけどな、難儀なこっちゃ。
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123今まで全く興味のない世界だったけれど、軽妙な上方言葉と風俗習慣が伺えるような描写で、登場人物が生き生きと楽しそうで、ついつい一気に読んでしまいました。続編も出てるようなので買ってみます。
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物語が進んでいかない。
人形浄瑠璃の面白さがイマイチ伝わってこない。それが歌舞伎に負けていく所以なんだろうか。 -
浄瑠璃…近松門左衛門??という教科書で見た単語の羅列くらいの認識しかなく正直読み始めるまでは物語に入り込めるか疑問だったが案外するする読み進めることができた。
近松門左衛門の直系ではないが、硯を引き継ぎ小さい頃から道頓堀で浄瑠璃の渦に巻かれまくってついには大作を書き上げていく話。妹背山婦女庭訓って歌舞伎の演目として見たことがあるようなと記憶を辿りながら読んだが記憶が薄く。。改めて浄瑠璃としてじっくり見てみたいと思える作品だった。そして意識せずとも今までの人生経験や環境が溶け混ざって花開いていくのだなと感じた。 -
近松半二が実在する人物だと思わずに読んでいました。それほど会話が自然で他の登場人物との関係も面白かった。章ごとに父、幼なじみ、師匠、妻とどんどん関わっていく人が変わり、飽きません。
本題の浄瑠璃との関係も純粋で良い。今まで全く知らなかった文楽について触れることができて良かったです。
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