- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167917623
作品紹介・あらすじ
累計70万部突破、読者から圧倒的な支持を受ける人気シリーズ「紅雲町珈琲屋こよみ」、ほろ苦くも胸を打つ、待望の第8弾。
紅雲町でお草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」では、近頃町にやってきた親切で物腰がスマートな男のことが話題になっていた。
ある日彼は小蔵屋を訪ね、お草に告げる。
「私は、良一なんです」
お草が婚家に残し、3歳で水の事故で亡くなった息子・良一。男はなんの目的で良一を騙るのか、それとも、あの子が生き返ったのか──?
※
小蔵屋の近所のもり寿司は、味が落ちたうえ、新興宗教や自己啓発セミナーと組んでの商売を始め、近頃評判が悪い。
そんな折、紅雲町に50歳前後の男が現れる。新規事業の調査のためと言い、短期でマンションに滞在しているが、親切で、清潔な雰囲気に「なんだかお草さんみたいだった」という客もいて、評判になっていた。
その男が、お草のもとを訪ねてきて、自分は息子の良一だと名乗る。
お草が一人で家を出た後、3歳で水の事故で亡くなったはずの息子、良一。
その男によると、じつは良一は助け出されたものの、父と後妻の間に子供が生まれて居場所がなくなり、女中だったキクの子として育てられたという。
そして、その証拠として、お草と別れた夫との間で交わされた手紙や思い出の品を取り出して見せる。
詐欺だと考えて冷たく男をあしらうものの、お草の心は千々に乱れる。
もし、あの子が生きていたのだとしたら?
真相を確かめるために、お草は米沢にキクを訪ねる――。
嘘は、人生の禍となるが、ときに救いとなることもある。
心に明るい小さな光を灯す、初夏の物語。
感想・レビュー・書評
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カチコチって時が行く音、来る音 過去と未来に揺れる音、突然良一を名乗る男性が草さんの前に現れた(良一は3歳の時死んでいる) 草は自分の過去を探ぐるように最上川方面に行く福島県か、山形県の方面と思う良一をめぐって、思いを募らせ、旅をする草さん。
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こちらはシリーズ自体知らず本屋をぶらぶらしていたら見つけたもの。
シリーズの中の一冊だけど、この巻だけ読んでも分かるお話。
初夏の訪問者ということで梅雨の時期に買ったのだけど読み終わったのが冬だった。
死んだはずの息子が訪ねてくる…ということで幽霊ものかなと思いながら読み進めた。
読んでいくうち謎が分かりそんな育て方していいの?という気持ちになったが主人公の
「命とは本当はもっと自由なものかもしれない 宇宙からの預かりものをしているだけのような」
という考えに自分自身の生い立ちのコンプレックスも癒されていくように思った。
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お草さんのもとに三歳にして亡くした息子良一を名乗る男が現れる。疑心に揺られながら何度か会い話を聞く。お草さんの切ない過去、その男の生い立ちにため息が出た。人それぞれ人生を経て今があるのだとつくづく思う。そして、お草さんが営う小蔵屋だが試飲のコーヒーとちょっとした小間物や食器類を求めて訪れるお客さんへの心遣いが暖かい。久実さんも健気で一ノ瀬さんとのこと上手くいくといいなと思う。地元情報誌のお草さんのお悔やみ報道には回りはビックリ。心配する人たち、お草さんの人柄が伺える。
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真相が早く知りたくてジリジリしながら読み終わりました。お草さんがただお人好しってだけの主人公じゃなくて人間味があるところが良いですね。
それにしても一冊読んでなかったのがあるのに気づいてショック。 -
草の生活がいちいち納得できるのは同年齢だからに決まってるけどこんなふうにはなれないよ!