キリエのうた (文春文庫 い 103-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920616

感想・レビュー・書評

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  • 一昨年拝読した、岩井俊二さんの『零の晩夏』がとにかくよかったので、読みました。
    2023年10月公開の映画の原作らしいですね。


    キリエという名の路上ライブをして生活している若い女性シンガーの物語です。

    彼女はイッコという帯広の高校で一緒だった広澤真緒里と一条逸子という名で再び巡り会います。
    イッコはキリエ(本名は路花)のマネージャーになります。
    キリエは歌は唄えますがとある事情から声を出すことができませんでした。
    帯広ではイッコはキリエの血の繋がりのない兄の潮見夏彦から大学受験の家庭教師をしてもらい、キリエを紹介されました。

    キリエと夏彦の関係は夏彦は高校生でしたが震災の時、石巻でフィアンセを亡くしました。
    その時、行方不明になっていたフィアンセの実の妹がキリエだったのです。
    キリエというのは路花の亡くなった姉の名前でした。



    読み終えて、これは恋愛ものだとよかったのに~!とまず思いました。私は別なラストシーンを想像していました。不完全燃焼でした。

    映画ではきっと、キリエの歌がとても上手く人を惹きつける設定になっているので、キリエ役の歌自体が映画の見どころなのかなと思います。

    • まことさん
      あちゃ太郎さん、初めまして♪

      フォローにコメントありがとうございます。
      『零の晩夏』は一昨年読んだ小説の中でも私は一番心に残るもので...
      あちゃ太郎さん、初めまして♪

      フォローにコメントありがとうございます。
      『零の晩夏』は一昨年読んだ小説の中でも私は一番心に残るもので、『キリエのうた』は映画の原作ということで、軽く書いている感じがしました。
      『零の晩夏』の方がミステリー要素が強く、恋愛小説としても面白かったです。ブクログの『零の晩夏』に私のレビューもありますので、よかったら見ていただければ嬉しいです。

      伊坂幸太郎さんは大好きな作家さんです。
      『マリアビートル』の映画は私も見ていません。
      殺し屋シリーズは来月『777』が出るのでもう一度読んで復習しておこうかとも思っています。
      2023/08/06
    • あちゃ太郎さん
      早速、ありがとうございます。読むのが楽しみです。
      キリエは、映画の原作だからか、例えば、夏彦が風美に過去を語る場面は映像シーンでなければ本来...
      早速、ありがとうございます。読むのが楽しみです。
      キリエは、映画の原作だからか、例えば、夏彦が風美に過去を語る場面は映像シーンでなければ本来無理だなぁと思いながら読みました。
      ついでに質問
      手当たり次第に伊坂幸太郎読んでみたのですが、色々です。殺し屋シリーズ的に、読むとしたらどんな順番?がいいですか?777も楽しみですね。
      2023/08/06
    • まことさん
      あちゃ太郎さん♪

      殺し屋シリーズは『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX
      』の順番です。楽しまれてください♪
      あちゃ太郎さん♪

      殺し屋シリーズは『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX
      』の順番です。楽しまれてください♪
      2023/08/06
  • この小説は、「映画」だなと思った。
    映画版を観た人、これから観る人にはぴったりの本なのだと思う。
    どちらでもない私にとっては、正直良くも悪くもないという感じだった。
    路上シンガーの話なので、音楽にストーリーをのせると、また感じ方が変わるのだろうなと思った。

  • 映画を先に鑑賞して、その後小説を読みました。
    岩井俊二監督が、ずっと心に引っ掛かっていた物。
    それは若者達が成長していく過程で、きっと誰しもが経験しているであろう、先の見えない不安や大人達への不信感。
    成長していくこと、それは心が傷だらけになって生きていくこと、、
    そんなメッセージが込められているようで、心が締め付けられる物語です。

    これからはきっと東日本大震災についての作品が映像や言葉でもっと表現されてくることでしょう。
    メディアでは「震災の記憶を忘れない」と言って被災者の悲しみを取り上げることが多くあるように思います。 でも災害の当事者たちにとってはその辛い記憶はきっと忘れてもよいことであり、「もっと前へ進む気持ちを持つこと」が大切だろう。と自分は思います。
    忘れてはならないのは「記憶」ではなく「教訓」ですから、
    だから当時を生きた若者達には「記憶」を乗り越えて前へ進んで貰いたい。
    そんな気持ちが沸き上がった作品でした。

  • ページをめくる手が止まらなかったです。

    この作品を読んでいる期間は歩いている時、バイトをしている時、全ての時間、キリエのうたの登場人物のことが頭から離れなかったです。

    この作品は映画化されているそうですが、彼女らを演じた役者さん方々、かなり難しい役であったと思います、ぜひ映画も見てみたいなと思いました。♡

  • 東日本大震災が話の重要な部分を占めるので面白かったという感想はよくないのかもしれないけど、読み終わった後不思議な気持ちになる作品でやっぱり面白かったということなのだと思う。

    数奇な出会いと別れを経て再び交差するまでとその間の13年間は文字通り映画を観ているようでした(映画化のための原作なわけで当然と言えば当然なのですが)。

  • 震災で大切な家族を喪い、歌うことでしか声を出せないキリエ。キリエの姉への想いを引きずりながらもキリエのことを気にかける夏彦。キリエのマネージャーのイッコ。
    大切な人を奪われた悲しみや喪失感は消えることはなく生き残った人をずっと苦しめ続けていると思うと胸が締めつけられる。
    音楽が大好きなキリエの仲間が増えていき、その仲間たちと一緒にいられる幸せを感じて歌うキリエの歌はこれからもたくさんの人達の心を感動させていくに違いない。
    アイナ・ジ・エンドさん主演の映画も観てみたくなった。

  • 歌しか歌えない路上シンガーのキリエ。女を売り物にして生きるイッコ。二人と繋がっていた夏彦。

    映画を見てから小説を読みましたが、映画ではなかった場面も小説では書かれており、それぞれの登場人物の背景をより詳しく知ることができました。

    特に、真緒里がいかにして一条逸子になったのかという顚末や、夏彦の生い立ち、医者を目指すようになった理由について知り、二人も複雑な人生を歩んできたのだと改めて感じました。

    みんな、幸せになってほしいと思いました。

  • 普段は声が出ないが、歌う時は声が出る少女キリエの過去が徐々に明らかになるにつれ、彼女のことを応援したくなってくる。
    彼女の自由な歌はきっと道行く人を惹きつけるし、心に残るだろう。

    キリエ中心の話かと思いきや、彼女をサポートする逸子さんや、彼女が義妹になるはずだった夏彦などの過去も描かれ、面白いと言えば面白いのだけどちょっととっちらかった印象。最後の方は読んでいて誰が誰とどういう関係性だっけ?となり、ページを遡ったことも。(私の読書が散漫だったせいでもある。)

    キリエにこの先も路上でずっと歌い続けていってほしいと素直に思えない。なんて言うか、シンガーソングライターって聞こえは良いかもしれないが、苦労も多いと思う。
    家族は失ったが、幸い彼女には見守ってくれている人たちがいる。その人たちとこの先も居られれば良いと思う。

  • ギターを手に街角に立ち歌うストリートミュージシャンのKyrie(キリエ)。聴く人の心を震わせる歌声をもつ彼女はしかし、歌以外では声が出せず満足に話すことさえできなかった。
    思いを声にできるのが歌だけだなんて、まるでファンタジーのような小説だなと思って読み始めた。まったくの思い違いだった。読み進めるにつれ、彼女の周りにいる風変わりな人々の過去が明らかになり、彼女自身が背負っているものが見えてくる。絶句した。涙があふれた。
    この作品は岩井さんご自身が映画化されている。残念ながら公開時に観られなかったので、機会があれば観てみたい。

  • 岩井俊二はやはり映像作家であって、小説家ではない。

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著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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