パチンコ 下 (文春文庫 り 7-2)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920753

作品紹介・あらすじ

イサクを亡くし、劣悪な環境下で戦中を生き延びたソンジャ。二人の息子を育てた彼女の前にハンスがまた現れる。ハンスは日本の裏社会で力を持ち、陰でソンジャを支えていた。しかし大学生になった長男のノアが実の父について知ったとき悲劇が起きる。国家と歴史に翻弄されながらも生き抜く家族の姿を描いた、比類なき最高傑作完結!

感想・レビュー・書評

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  • ミン・ジン・リー『パチンコ 下』文春文庫。

    梁石日の小説で味付けした『おしん』のような小説なのだが、国家や歴史に翻弄され、祖国を失った在日韓国人家族の苦難の物語である。子供たちを想う母親の愛と在日韓国人であることの苦悩。

    こういうエンディングだったか。少し意外であり、物足りなかった。


    大学入学を目指すノアと、学業を嫌い、喧嘩に明け暮れるモーザス。モーザスは学校を辞めて、在日韓国人の後藤が経営するパチンコ屋で働き始める。

    モーザスは寝食を惜しんで働き、後藤に気に入られ、フロア長となり、さらには店長に昇格する。やがてモーザスは後藤が懇意にする仕立屋で針子として働く在日韓国人の裕美と結婚し、息子をもうける。息子にソロモンと名付け、新居を構え、母親のソンジャと祖母のヤンジャと家族で同居するモーザスだったが、突然の悲劇が襲う……

    一方、早稲田大学に合格したノアはハンスの学費援助を受け、早稲田大学に入学する。勉学に明け暮れるノアは同級生の梅木晶子という日本人女性と付き合う。しかし、月に一度のハンスとの食事の場に晶子が現れ、余りにも我儘な振る舞いをする晶子にノアは別れを告げる。さらにノアは、ハンスが自分の実の父親と知り、ヤクザ者の援助を受けていたことを知るや、大学を退学し、自分の力で身一つでゼロからやり直そうと決意し、長野へと向かう。

    時は流れ……

    本体価格960円
    ★★★★★

  • 【公式】イ・ミンホ&ユン・ヨジョン出演ドラマ「パチンコ」、3月25日にApple TV+全世界公開決定│韓国俳優・女優│wowKorea(2022/01/27)
    https://www.wowkorea.jp/news/enter/2022/0127/10333017.html

    意中のドラマ「Pachinko パチンコ」に出演の南果歩さん…「1年生のような気持ち」で新しい扉を開く喜びを経験 : 読売新聞(2022/04/07)
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/20220406-OYT1T50197/

    内田樹が観た、ドラマ『Pachinko パチンコ』──日本を舞台にしながら、日本で黙殺される理由とは? | GQ JAPAN(2022年7月1日)
    https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220701-pachinko-review

    「アジア系活躍」はうわべだけ? かつて「本物の日本人じゃない」と言われた在日コリアンの俳優の問い | ハフポスト アートとカルチャー(2023年07月22日)
    https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6489547ae4b025003ee0e408

    文春文庫『パチンコ 下』ミン・ジン・リー 池田真紀子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167920753

  • 上巻より下巻の方がページをめくる手が早かった。
    それだけ話の展開が早かったのだが、原爆被害の苦しみ、出自の苦しみ、そして大切な家族の死など胸が痛むシーンも多かった。パチンコ業界は、朝鮮系が多いと聞いていたが、こういう歴史があって成り立っているんだと改めて知った。でもタイトルは、そういう意味でのパチンコではなく、人生に例えておりとても納得感があった。それにしてもノアの人生は辛すぎた。

  • 親子三世代に渡る在日コリアンの一大叙事詩。
    "人が何者かであるかを決めるのは血だけではない"
    理不尽な差別に人生を狂わされながらも、逞しく生き抜いた人間の言葉に心打たれる。
    ソンジャにあなたの人生は幸せだったと言ってあげたい。

    Black Lives Matterなんてよその国の話と思っていたけど、日本も他人事ではない。
    しかし、それをことさら批判的に描くのではない。
    血が違えど信頼し合える人と支え合って生きていくのだ。
    ソンジャがまるで国と歴史をひとりで背負っているかのような壮大なドラマでした。

  • 文庫化にて再読。

  • 読んで本当に良かった

  • さまざまな事情が絡まり合い、期待しているようには全く進まない人生の数々。貧困、日本人による朝鮮人差別、アメリカ人によるアジア人差別、歯がゆい思いをしながら物語に引き込まれた。上巻の途中からページをめくる手が止まらなくなったが、下巻の途中からの話の展開の速さとあまりにも多い死に残念な気持ちはあった。

  • 在日、コリアン、ってその単語自体がなんとなく蔑称のように思ってた。当時日本が、日本人が、その人たちにしたこと、その事実を変えることは出来ないけど、その事実をしっかり受け止めて考えることは出来る。そうすることが、今の私たちの義務だと思う。
    私の周りにも、半島出身の人たちになんとなくの嫌悪感を抱いている人たちがいるけど、そういう人にこそ読んで欲しい作品。
    隣の人に優しくする、シンプルだけど意外と難しいのかもしれない、そのことだけはきちんと忘れないようにしようと思った。

  • 苦労しながらも、自分の生き方に誇りを持っていて、背筋がのびていた人物の描き方が、平坦になり、特にハンスは、賢くて、自分なりに愛を貫いていたのに、完全にヤクザになっていてとても残念。

    波のような歴史の中で、二、三、四代目となってもなっても、在日であるが故の苦悩と葛藤が、とてもしんどかった。 アメリカで暮らした筆者が、在日と呼ばれる多くの人に思いを馳せ、この本が、アメリカて注目を浴びたということを知った時、同じように移民として苦労してきた多くの祖先たちのいる彼らにとつて、心を通わす小説だということに思いが至った。

  • 初読

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