琥珀の夏 (文春文庫 つ 18-7)

著者 :
  • 文藝春秋
4.07
  • (16)
  • (33)
  • (9)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 1461
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920913

作品紹介・あらすじ

『かがみの孤城』『傲慢と善良』の著者が描く、瑞々しい子どもたちの日々。そして、痛みと成長。かつて、カルトだと批判を浴びた<ミライの学校>の敷地跡から、少女の白骨遺体が見つかった。ニュースを知った弁護士の法子は、無騒ぎを覚える。埋められていたのは、ミカちゃんではないかーー。小学生時代に参加した<ミライの学校>の夏合宿で出会ったふたり。法子が最後に参加した夏、ミカは合宿に姿を見せなかった。30年前の記憶の扉が開くとき、幼い日の友情と罪があふれ出す。解説・桜庭一樹

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 誰の心にも浮かぶ様々な言葉にできない感情を、ちゃんと言葉にしてくれる
    素晴らしい作家さんですね。

    途中どんなにモヤモヤしても
    いつもラストがいいですよね。

  • 集団による隠蔽が問題になっているタイミングでの文庫化は偶然か必然か。
    様々な問題提起を孕んだ内容だったが幼少期の一夏の友情の輝きに救われる。
    誰しもが持つ遠い夏の日の思い出。

  • 辻村さんは心理描写が秀逸ですね。
    瑞々しい子供心。心細さ、悲しみ。
    大人の理想に気付いたとき。その思いのまま大人になったら。。。
    物語に出てくる泉のように色々な
    感情が湧いてきました。
    〈問答〉が怖いです((( ;゚Д゚)))

  • 序盤から不穏な空気が漂う中、時間軸を変えながら進んでいく物語にどんどん引き込まれていきました。

    一貫しているのは、人が生活の中で感じる言葉にしない、できない感情までしっかり描写されていると言うことです。
    やはり、辻村深月先生、恐るべし、です。

    負の感情(あるいは曖昧な感情)を言葉で描写するのは想像しただけでも心がすり減りそうですが、どうしてこんなにも深いところまで書けてしまうのか僕には理解できません。。

    最終章の読み応えも圧巻で、読み終えた時、一冊の本にまとまっているのが不思議なくらい、重厚な世界を堪能した気分になりました。

    めっちゃ面白かったです。

  • ミライの学校は、自由ではない。
    子ども主体で考えていくことは大切だが、
    大人にとって都合のいい子を作る場所であったと思う。幼少期の子どもと親は一緒にいるべき。ただ、その当たり前の環境にいられない子どもたちがいるのも現実。そういった子どもたちを現実の教育現場でみてきた。私たちにとっての当たり前が当たり前じゃない子どもたちに何を教え、伝えれるのか。逆に教えられることもたくさんある。
    ともに生きていくこと、生きることを考えなくては。

  • 親の義務とは、適切な養育とは?色々考えさせられたのに、この感情をどうにも言語化することが難しいお話だった。

    「ミライの学校」は、一見子どもの自主性を育む素晴らしい施設に見えて、実際には大人たちが子どもに見せたいものだけをコントロールすることで成り立つかりそめの理想郷で、子どもたちが信じた自由はすべて、大人たちが誘導する選択肢。

    親はどんな子でも、健やかであれば、いや健やかでなくても無条件に愛おしいと思いながらも、心の底では少しだけ、願ってしまうのではないだろうか。できることなら優しい子に、自立した子に、頭のいい子になってほしい。だから良い環境を与えようとするけれど、それが子どもにとっての良い環境かどうかは分からない。自分の人生のレールは、自分で敷くことしかできないから。
    親としての自信が持てずに、終わりのない子育ての正解を求める中で見つけた愛の形が「ミライの学校」だったのかもしれないし、その愛情を第三者が非難することは決してできないけど。
    子どもの「未来」は、目に見える親の愛情とともに「現在」を積み重ねた先にあるものではないのか?でも親がいなくてもまっすぐ育った子は沢山いるな?離れる愛情も関係によってはあるんだろうな?と、答えのないモヤモヤが止まらない。

  • 大人の感情、子供の感情その難しさと
    言葉だけで伝わらないもどかしさが凄く伝わる。
    ずっと親と一緒にいたい、それを言えない気持ちの
    どんなに辛いことか自分には経験がないから分からないけれど、読んでいて涙が止まらなかった。

    ノリコとミカの再会する場面は、
    ミカが誰にも信用を出来なくなってる時で
    それでも最後にノリコの事を信用して友達として
    また思えたんだなと、読んでいて良かったこれから幸せな方にもいけそうだなと思った。

    久しぶりの辻村さんの作品。
    発売日に買ってすぐに読んで没頭した。
    大好きな作家、いつも考えさせられるいい作品をありがとうと言いたい。

  • この世界観が好き
    夏が近づくと読みたくなる

  • なかなか壮大なストーリーでした。
    ずっと何となくもの悲しさが続くお話でしたが、最後はまぁ良い感じで終わって良かった(^_^;)

  • 重かった。そして読んだことあった。でももっかい読んでよかった。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
知念 実希人
凪良 ゆう
辻村 深月
夕木 春央
呉 勝浩
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×