あの子の殺人計画 (文春文庫 あ 78-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920982

感想・レビュー・書評

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  • 終盤のスピード感あふれる伏線回収。
    面白かったです。

  • ミステリーとしても素晴らしかったですが、きさらにとても共感できすぎてフラッシュバックで苦しみました。虐待の描写は白けてしまう小説も多いですが、こちらは割とリアルな内容だと感じました。またラストもとても良かったです。

  • 母子家庭で育つ小学生5年のきさらと、
    神奈川県警・捜査一課の真壁の
    2人の視点で物語は進んでいきます。

    きさらは母親からネグレクトなど
    虐待を受けていますが、きさら自身は
    虐待を受けている認識はありませんでした。
    クラスメイトの翔太の話していくうちに
    自分は虐待を受けていると気付き、
    母親を殺す計画を立て始めます。

    一方、真壁は風俗元締めの女の殺人事件を
    所轄の宝生と共に追っていきます。

    子供の虐待という重いテーマ。
    それだけで社会派小説が1本かけそうです。


    序盤で犯人が分かるので、どのような
    アリバイトリックを使ったんだろう…と
    推理しながら読みましたが、全く当たらず。

    どんでん返しが何度も襲いかかってきます。
    しっかり騙されました。凄すぎる…。

  • きさらと真壁の視点がメインで物語が進んでおり、読みやすくスラスラと進めていたら、まさかの展開。え?なになに?そうだったの!…と、途中頭の中の整理が必要になった。依存、支配、裏切りといった人間の弱さがつめこまれており、苦しくなりながらも共感している自分もいた。

  • 「希望が死んだ夜に」の余韻が抜けないまま、
    文庫発売を知り、発売日当日に書店で購入しました。
    -------------------------
    あらすじより
    母子家庭で育つ小学五年生の椎名きさらは、
    母親から罵倒され、食事を抜かれても
    躾だと信じていた。
    周囲から「虐待だ」と指摘されるまでは。
    一方、神奈川県警の真壁は
    風俗店オーナーの刺殺事件を捜査。
    きさらの母親を疑うが、
    娘と一緒にいたというアリバイを崩せない。
    行き詰った真壁は、
    少年事件が特異な仲田に協力を仰ぎ――。
    -------------------------
    今作も、登場する警察官は真壁と仲田。
    自身も片親で貧しいながらも自身で道を切り拓いていった真壁。
    加害者、被害者の少年少女たちに寄り添う事で事件を解決に導く仲田。

    私自身も両親がとても大好きで、
    共働きの期間もあり、
    なかなか一緒に過ごせなかった時間もありましたが、
    愛情を持って育ててもらったと思っています。

    だからこそ、
    きさらのような子が、
    どこかにいるかもしれない、
    今日も震えながら耐えているかもしれない、
    と思うと、胸が痛みました。
    信じてた母親への感情が変わる瞬間、
    これは虐待、ネグレクトなのかと気づく瞬間。
    驚きと恐怖のきさらの目が。

    隣の家で本書のようなことが行われていたとしても、
    たぶんわからないです。
    ドアとコンクリート一枚しか隔ててないのに、
    物音や悲鳴がなければわからない。
    そう思うと、何とも言えない気持ちになりました。

    なんとか抜け出そうとする子どもを搾取する卑しい大人。
    天祢さんの描く世界は、
    本当に存在しそうで、
    だからこそ余計に辛くて怖い。

    あの時あなたがいたら、
    一緒に戦ってくれたら、
    ここから連れ出してくれたら、
    タラレバがどんどん溢れてきます。
    読んでて痛くて辛くて悲しいのに、
    読む手を止められない。
    天祢さんの作品、すごいです。

    ほとんど呼吸せず読み終わり、
    (読んでて集中すると呼吸が浅くなるんです。苦笑)
    疲労と興奮と余韻がぐるぐるした頭のまま表紙を見ると、
    空をバックに逆光の少女。あなたは誰?きさら?

    でも、絶望して諦めてはいけない。
    真壁と仲田がそう思わせてくれます。

  • 前作のことがあったため、ドキドキしながら読みました。
    今回どうかな〜どういう展開になるのかなぁ〜と楽しみまながら読んでいたら…

    いやー!!!!そうきたかー!!!
    そのトリックだとは…!!!
    ネタバレ注意!!!
    叙述トリックものです!!
    何かあるのだろうと気を付けてはいたけど、まさか叙述トリックだとは思わず。
    (元から叙述トリックものだと知っていれば気をつけて読むので案外わかったりする)
    いやぁー、確かに怪しいところあるね!!!

    そして最後の彼の招待ネタバラシ。
    出来過ぎとはいえ、びっくり読みました。

    そして前作と変わらないのがバリバリの社会派ミステリー。

    とっても面白かったです。




    @手持ち本

  • 風俗店の女性経営者が殺害された。
    容疑者は元風俗嬢。アリバイは虐待を受ける娘の証言。最後、二つの時代が入り乱れて、犯罪が証明される。殺害の理由が残酷でせつない。

  • 読み始めは、混同してしまったが、読み返して納得。切なさや現実世界なのにどこか非現在感もあり、ラストのセリフにこめられた意味は、まさに現在を生きる私達に向けられたものだと感じました。

  • 2人の視点で2つの話が進んでいく、
    意地悪な言い方をするとよくある構成なんだなと
    油断していたら、
    後半1/3くらいのところで急にえっそっち?と
    思わせる仕掛けがあり思わず読破してしまった。

    そしてなんとも言えないやりきれなさが残る(いい意味で)。
    天祢涼さんが本作シリーズで
    社会に問いかける相対的貧困と虐待問題は
    悲しくやるせない連鎖を生み出し、断ち切れない。

    それにしても私がこの問題に触れても、なんて他人事、なんて綺麗事、、、。悲しくなる。


    このお話は
    虐待を受けている小学生の女の子の視点と、
    ある事件を追う刑事の視点で描かれている。
    小学生の女の子の方の視点は、
    考え方は子供らしくあどけないのに、
    それを全部言語化してしまえてる点に
    (視点人物なのだから当たり前ではあるが)
    なんだか読者の存在を意識しすぎてるように感じてしまい、少し違和感があった

  • ネグレクトを受けている少女と警察官の二つの視点で描かれている作品として読み進めていましたが、後半で事実が判明してからは秀逸だった。
    虐待が虐待をよぶというが、それを受けてきた人は自分はやらないと思っても経験としてある以上、何かをきっかけに起こしてしまうのかもしれない。
    自分の周りにはいないと思っていても、実は身近なところであるかもしれない、家庭内で起こるからこそ深刻な問題だと思った。

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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