本心 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2023年12月6日発売)
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本 ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784167921361

作品紹介・あらすじ

【映画化 2024年11月公開】

愛する人の本当の心を、あなたは知っていますか? 

「母を作ってほしいんです」――AIで、急逝した最愛の母を蘇らせた朔也。

孤独で純粋な青年は、幸福の最中で〈自由死〉を願った母の「本心」を探ろうと、AIの〈母〉との対話を重ね、やがて思いがけない事実に直面する。

格差が拡大し、メタバースが日常化した2040年代の日本を舞台に、愛と幸福、命の意味を問いかける。

『マチネの終わりに』『ある男』に続く傑作長篇小説。

〇映画情報

池松壮亮〔主演〕、石井裕也〔監督・脚本〕により映画化。2024年11月8日(金)全国公開。

ほかに三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子らが出演。
日本映画界屈指の監督・キャストが贈る、革新的なヒューマンミステリー。
 
 

感想・レビュー・書評

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  • 「自由死」が合法化された2040年代の日本。
    最愛の母を亡くした朔也は、その悲しみを埋めるため、そして自由死を望んだ母の本心を探るため、AIの技術で本物そっくりの母を再現させた。
    本心を知るため、母と関わりのあった人たちと交流をしていく中で、自分の全く知らなかった母の別の顔を知っていく。。

    ✎︎____________
    めっちゃ読み応えあったな〜
    「自由死」が認められたら、自分ならどうするだろう?
    近未来、こんな風に仮想空間が当たり前になったら、どう生きていくだろう?
    なんだか死生観とかめっちゃ考えさせられる話だった。 
    ミステリーっぽさもあり、優しさもありでとても面白かった!

    平野さん3作目♪
    丁寧な文章がなんとも心地良い♡

    映画も観たいな〜!

    • あいさん
      みひろちゃん♪こんばんは(^-^)/

      自由死の話なんだね。
      私は自由死を選ぶなぁ。
      と言っても、自由死がどんなものかよく分からな...
      みひろちゃん♪こんばんは(^-^)/

      自由死の話なんだね。
      私は自由死を選ぶなぁ。
      と言っても、自由死がどんなものかよく分からないけど。
      「プラン75」みたいな感じかなぁ。
      AIも凄いね!
      本物そっくりなんて…
      でも、AIは今のところいいかな。
      すごく考えさせられる話だねぇ。
      映画行ったらぜひ感想を聞かせてねm(*_ _)m
      私は明後日「グランメゾン・パリ」に行ってくるよ。

      明日から旦那ちゃんが仕事で私も早起きだ。
      起きられるかしら。
      きっと二度寝するね(笑)
      2025/01/05
    • mihiroさん
      ゆきさ〜ん(*´ᵕ`)ノ
      この本でいう自由死は、もう十分満足に生きたって人がまわりに認められた上で、最後に誰と過ごしどこで死ぬのかを選んだ上...
      ゆきさ〜ん(*´ᵕ`)ノ
      この本でいう自由死は、もう十分満足に生きたって人がまわりに認められた上で、最後に誰と過ごしどこで死ぬのかを選んだ上で、処置してもらうって事だと思います。
      周りにも認めてもらうかどうかが自殺と違うのかなぁ?
      AI、どこまで進化するんでしょうね〜
      あんまり賢くなられても困るなぁ笑
      2025/01/05
    • mihiroさん
      あいちゃ〜ん、こんばんは(*´ー`*)ノ

      うんうん♡「自由死」をめぐる話だったよ〜(^^)
      それを望む母と、そんな事言わないでくれ〜って言...
      あいちゃ〜ん、こんばんは(*´ー`*)ノ

      うんうん♡「自由死」をめぐる話だったよ〜(^^)
      それを望む母と、そんな事言わないでくれ〜って言う母親想いの息子の葛藤。
      ちょっとネタバレかもだけど、そうこうしてるうちに思いもよらない形で別れがやってきてしまって。。。
      なんか色々考えさせられる話だった〜( ; ; )
      深〜い感じ!←私が言うと全然深みないね〜笑

      私も自由死を選ぶかもな〜と思ったよ( .ˬ.)"
      そしてAIなんて私もいらないな〜!
      やっぱり機会が人間にはなれない気がするな〜。。

      わぁ〜!グランメゾンパリ見に行くんだね!
      私、ちょうど昨日からやっと東京を見出したとこだよ笑
      楽しんできてね!
      またそちらの感想も聞かせてね〜♡

      明日からまた日常。。ガー(꒪д꒪)ーンだね
      連休明けは辛いよね〜笑
      二度寝しちゃってもいいさ、いいさ〜笑笑
      2025/01/06
  • 近未来が舞台。
    メタバースが日常化し、格差が拡大し、「自由死」という合法な自死が認められる時代。

    もしも「自由死」が認められるようになったら。
    それを選択する人はたくさんいるだろうし、辛い事があったらすぐに人生を投げ出してしまいそう。
    「もう十分」という理由でなら合法的な心中もありなのかもとか、理由もわからず大切な人が「自由死」を選択したら朔也のように思い悩んでしまうだろうなとか、とりとめもなく考えてしまった。

    「宗教って、人生にいいことがなかった人のためのものでしょう?」「幸せな人には要らないと思う。」
    に妙に納得。

    『ある男』よりは読みやすかったがやはり文章が高尚で難しい。
    「最愛の人の他者性」とは。
    哲学って、やっぱり難しい。

  • 2040年
    人々の格差の広がり、メタバースの日常化
    政府の企みか、富裕層の企みか
    自由死という選択肢が生まれる
    そんな中
    最愛の母を事故で亡くした朔也は
    母をAIで蘇らせることにした
    生前に「自由死」を望んでいた母の
    すべてが知りたくて

    情報を得るために知り合った
    母の友人から
    次々に知らされる母の過去に戸惑いながら
    自らの生活もどんどん変わっていく

    生きていくということ
    死を選択すると言うことの意味

    さまざまな葛藤

    はたして本心は明かされるのか
    母の本心、自分の本心、友人の本心

    難しい問題が次々と現れて読み応えありすぎる
    ちょっと疲れた

  • 2040年 社会の格差は広がり、メタバースは日常化し、AIの進化により亡くなった人のVF(ヴァーチャル・フィギュア)が作れる。今の社会の延長線上に本当に実現していそうな世界。

    石川朔也は自由死を望んでいた母の死後、母のVFを作る。自由死を望む母を理解できなかった朔也はVFの母との対話を通して、母の本心を理解しようとする。

    理解しようとしてすごく時間がかかってしまった。
    話は面白かったけど、私はちゃんと分かっているのかしら?
    朔也はいろいろな出会いを重ねることで、母への考えや自分自身についての考えを深めていく。重い雰囲気が漂っていたけど最後には明るいものを感じた。
    三好彩花、イフィー、同僚の岸谷、ティリ、母、それぞれの人物の背景を知り、会話や行動を通して、感情移入し、理解したつもりになっても最後の心の奥の奥ががわからないままというか。
    人と人ってそういうものなのかしら

  • AIが更に高度に進化したら起こりうる近未来。
    VF(バーチャルフィギュア)ができたらどんなことが可能になるのか、どんな怖さがあるのか、わりとリアルに感じてなるほど!と思えた。
    自由死が認められたり、死者になってからもVFとして意思を持って生き続け働くことまでできることには驚愕した。
    そしたら死が怖いものではなくなり、自由死を選ぶ人が増えたり、権力者が居座り続けたりしそう。
    現実とバーチャルの世界が曖昧になって、どちらの世界に重きをおくか選べる未来が本当に訪れそう。
    考えてもみなかった世界を体験できて楽しめた。
    でも朔也の成長や、三吉との関係は釈然としない思いが残った。

  • 平野啓一郎の「私とは何か」を読んでから今作に挑んだ。
    内容は濃厚でとても読み応えがあった。

    今作で、重要となるキーワード
    最愛の人の他者性

    愛する人の本心を知りたいし、理解したいという思いは強い。しかし他者の本心を知ることはとても難しい。自分自身の本心すらも本心なのかと疑う場面は少なくないかもしれない。ましてや死んだ人の本心を探ることは不可能である。
    愛する人の意思、主張を尊重するのは当然だし理解しようとする努力も必要なんだけど、そもそもそれが本心なのかわからないところが厄介だと思った。わからないものをわかろうとすることが愛するということ。
    どうやって相手の本心を引き出すのか、もしくはこちらの本心をさらけ出すのか、テクニックが必要かも。

    P432

    愛する人を理解するときに、その人の考えやしたいことを尊重するということと、愛するがゆえにそこに関与しようとし、行為を変えさせるということがある。  およそ理解できないことを、この小説だと、お母さんが70歳で自由死を希望することをどう捉え、そこにどういう態度をとるのかが難しいところです。当然止めたい気持ちと理解したい気持ちの間で揺れるというのが朔也の苦しみです。   愛する人の他者性を尊重すれば認めるべきだけど、尊重しても相手の本心をどこまで理解できるのかということもある。表面的に尊重したら、本当は止めてほしかったという複雑なこともありますし、相手の本心をわかるのがまず難しい。その上で尊重しつつ関与するということがどういうことなのか、理解に絶すること、わからないものをわかろうとするのが愛する人の他者性と関わっていくことだと思います。


  • 近未来の日本の設定がディストピア。この小説は過酷を生きるであろう未来人に対する作者からのエールだとかなり勝手に思っている。

  • メタバースの娯楽利用が今より普通になっている2040年代の日本。
    (まあまあもうすぐ、それが逆にリアル)
    社会補償費は切迫し、道路修復に財源を回せないほどの日本。貧富の差は今よりも更に増し、指定医からの診断を得られれば自ら死を選ぶことができるという「自由死」が合法となっている日本が舞台。

    「自由死」を希望していた母が急逝し、その本心を知りたい思いでバーチャルフィギュア(VF)の〈母〉を制作依頼した主人公朔也。
    母を亡くした喪失感を抱えつつ、リアルアバターの仕事をしてなんとか日々のお金を稼いでいる。

    富裕層のあっち側の人間としては、お金はあるけれど自分の存在意義について葛藤し孤独を抱える車椅子ユーザーイフィー。彼の存在が物語を推進させる。

    自分の存在意義と、自由死を選ぶことの是非、倫理

    「もう十分だ」と死の間際に言えるか、死の間際何を思うか、というのも、もう一つのテーマ

    根源的には人間とは何なのだろうとという問いが立たれているように感じた。

    人間という存在は何なのだろうと。

    対象喪失を乗り越えるためにAIに縋った朔也が、人間として人にどう向き合っていくのか。
    哲学的でとても濃厚。
    参考文献もすごく、この本の多岐にわたるテーマが改めてわかる。

    ぜひ読んでみてください。

    池松壮亮さん主演の映画も見てみたいな。
    詳しい考察感想は再読記録で.

  • 映画を観た後で読みました。地の文と主人公のセリフは池松壮亮の声でした。
    格差社会、生と死、リアルとバーチャル。この作品は色々なテクノロジー(AIだったりバーチャル空間だったり)を描いていますが、本質的には生と死の物語であり、喪失からの立ち直りの物語だとおもいました。

  • 死んだ母をAIを使ってバーチャルに蘇らせるという近未来SF設定を元に、自由死(合法安楽死)を選んだ母の本心を探る物語。人の『本心』という根源的なテーマを中心に、貧困や障害や母子家庭など、格差社会の問題も深く掘り下げており、読み応えのある作品。

    他者の『本心』は、『分からないからこそ、分かろうとし続けることが大切だ』と言う事を本書で教えてもらった。そして、『自分が死ぬタイミングを自分で決める事は、人として許される事なのか』と哲学的な考えを問われる作品でもあった。

    2040年代、悲しみや不安を仮想空間や擬似的な物に満たされる時代が来るのだろうか。15年後に本書を再読し答え合わせをしたいと思う。





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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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