ジブリの教科書5 魔女の宅急便 (文春ジブリ文庫 1-5 ジブリの教科書 5)
- 文藝春秋 (2013年12月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784168120046
作品紹介・あらすじ
キキはどうして飛べなくなったか?魔女のキキが飛べなくなること、黒猫のジジと言葉が通じなくなること、働くということ……内田樹、上野千鶴子、青山七恵らが、少女の成長物語の金字塔「魔女宅」の魅力を読み解く!
感想・レビュー・書評
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ジブリの教科書5冊目。
どんどん面白くなってくる。
今までは作品ひとつずつを楽しんできたけれど、ジブリの歴史の中でどんな意味を持つ作品だったのかを知ることが出来る。
そして、気付いてなかった宮崎駿監督作品の共通点なんかも。
この本に収録されている文章は驚く程具体的な実感を伴っているように感じる。
「魔女の宅急便」について語ることは書き手の人生観を語ることに近いようだ。
自分のことを考えると、働き始めてから「魔女の宅急便」を観ていない。
今観たら新しい発見があるのかもしれないなと思う。
でも、教科書に書いてあることを答え合わせのようになぞってしまいそうだから、忘れた頃に観ることにしよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジブリの教科書第五弾。大好きな魔女宅の当時の裏事情や改めて今、当時を振り返った話などが収められていて胸が熱くなった。
大好きで何度も見たし、イメージアルバムも何度も聴いたしで、読む文章読む文章全部シーンや曲やキャラクターのセリフ、声が浮かび涙がぶわぁとこみ上げる。本当にそれほど好きなんですよ、魔女宅。この本を読みながら、また見たくなってしまった。
それにしても、私はキキと同じ思春期だった当時に子供の心で魔女宅を見、魔女宅を見ながら成長することができて良かったと思う。本書の某さんの書評を読んでぼんやり思った…あまり考えが好きではなかった。そこが残念。 -
初めて映画の「魔女の宅急便」を見た時、妙に中途半端な話だなと思った。そして、キキの年齢設定に、なんとなくモヤモヤしたものを感じた。おまけにキキはトンボさんとの関わりの中で、ある時急に飛べなくなってしまう。
これは、何かの隠喩なのか、と思ったものだ。
本書の中では、そのことに触れているのは上野千鶴子さんだけである。彼女のフェミニズム的な読解は、明らかに本書の中で浮き上がっている。その内容に全面的な共感は持てなかったけれども、自分がこのくらいの年齢の少女を主人公にして物語を書こうとするときに、第二次性徴を避ける事はできないのだ。だから、そのことについて考察していることは興味深かった。対談している他の誰も、そのことについて触れていないから。
宮崎さんは男性だから、そのことについての実感は持てないだろうし、想像することも難しいだろう。もっと、概念的で、精神的な方面にしか想像は及ばない。
実は、原作のキキも「生身の女性」としては描かれていない。児童小説のジャンルだからだろうか。トンボさんへの屈折した思いも、決してあからさまには描かれない。まだ「子どもの体と心」を持っている状態で読んだなら、きっとうっとりしてしまうだろうなあ、と思いながら原作を読んでいるのだが、少々じれったいし、まだるっこしい。
原作にはない映画のダイナミックなラストは、それはそれで映画的なカタルシスがあってよかったと思う。そのあたりの、宮崎さんやプロデューサーの意図もわかって、大変興味深く読んだ。 -
解説書、流し読みにはとても良い。
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制作陣のインタビューは見る価値あり。
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初っ端から内田樹。読むしかない。キキが飛べなくなること、黒猫のジジと言葉が通じなくなること、働くということ、才能についてなど。「魔女の宅急便」を深いところまでじっくりと。こんなにいろんな要素があったとは。こんなに深いテーマがあったとは。踏まえた上でまたじっくり観返したい。原作も再度じっくり読み直したい。ますます「魔女の宅急便」が好きになった。
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幼ない頃に映画を観た当時は、なんて嫌味な孫娘なんだ!(ニシンのパイの彼女)と自分のことを棚に上げて思っていたが、今となっては彼女の気持ちも、キキの期待していたもの(感謝)が得られず落ち込む気持ちも十分理解できる。
ちょっと深読みし過ぎでは?という考察もいくつかあったが、このシリーズは中盤に美術ボード?という美しいイラストが必ずあるので、それを眺めるのも楽しみ。
個人的に印象に残っている、キキが早朝お手洗いに行った帰り、パン屋の主人をやり過ごす何てことないシーンには、誰も触れておらず残念だった。
ーー再読ーー
天から授かった才能を持っている人の悩みは凡人には理解できないなぁ、と凡人の私は他人事で観賞できる。作家や大学教授などそれぞれの得意分野から掘り下げた寄稿が多いが、子どもから大人まで単純に楽しめて専門家は考察が捗る奥が深い映画だと感じる。ジジの言葉がわからなくなった理由は、本書を読んで腑に落ちた。昔からウルスラの絵が大好きなので、この絵をじっくり眺められるのも魅力の1つ。 -
作品ができるまでに経た様々な過程を知ることができる。知れば知るほど奥が深いと感じた。制作関係者のみならず、評論家による多角的な読み解きもあり、読んだ上でまた作品が観たくなる。
ウルスラの絵の原画『虹の上をとぶ船』が近くにあるので、いつか観に行きたい。