クリスマスの幽霊 (WESTALL COLLECTION)

  • 徳間書店
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198620738

感想・レビュー・書評

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  • 「クリスマスの猫」に続き、もうひとつのクリスマス・ストーリー。

    こちらは、男の子とお父さんの関係を描いたお話でした。
    後半にウエストール自身の回想録が収められているんですが、ウエストールの少年時代をもとに描いているのですね。

    クリスマスイヴの支度に忙しい家族。
    ばあちゃんがクリスマスのご馳走になる鳥を、たくましい腕で裁いています。
    そのばあちゃんのひとことで、父さんがべんとうを忘れていったことがわかり、ぼくはおつかいに行くことになります。

    父さんが働くガス工場は、ぼくにとっては魔法の王国。
    守衛の目を逃れ、王国に入り込み、父さんのいる現場まで古いエレベーターでのぼっていく。

    そのエレベーターの中で、ぼくは幽霊にあってしまうのです!
    壁の鏡に、まるでサンタクロースのようなおじいさんの顔を見たぼくは、そのことを父さんに伝えると、父さんのまわりの部下たちは、そいつはこの工場の主だったオットーの亡霊が、今夜死人が出るだろう、気をつけろと言いに来たのだと噂話をはじめる。責任者である父さんはバカバカしいと怒り始め、ぼくを引っぱって帰してしまう。
    ガス工場では、昔から危険な事故で作業員たちがいく人か犠牲になっていた。そして、オットーの幽霊が出る晩には、犠牲者がでるのだという噂があった。

    帰りの道すがら、また今夜誰かの家のお父さんが、クリスマスイヴに家に帰ってこられなくなるのかもしれない。
    また未亡人とよばれる女の人が出てしまうかもしれない。
    しまいには、事故に会うのが父さんだったらどうしよう!?と不安にかられる。

    父さんにまた怒られるかもしれない。でも…

    私の読後感は、まるでハードボイルド小説!
    お父さんが威厳のある時代だなぁ。でも、尊敬してやまない父と子どもとの関係は、ピリッとしていながらも温かいものがしっかり伝わりました。

    労働者層の、ごちゃごちゃとした町と人々の雰囲気がお話の全体を包みこむ、ちょっと不思議なクリスマスのおはなしでした。

  • ノスタルジックな雰囲気漂う、クリスマスの物語。
    「事故が起きる前に幽霊が現れる」と噂のある父親の工場で、実際に幽霊を見てしまった少年…!
    本当に事故は起きてしまうのか!?ハラハラと不穏な空気がうまく組み合わさったお話でした。
    比較的短めの物語です。
    ちなみに、スタジオジブリの宮崎駿監督は今作の著者ロバート・ウェストールのことを好きだと公言しており、監督はかなり影響を受けたようです。

  • 2021.11.29

  • 子どものころのお使いは冒険。
    いろんなものが魅力的なものに見える感性や想像力の豊かさに驚く。
    宮崎駿が好きなのもよくわかる。

  • 112

  • ウエストール自身の子供の頃の記憶を元に書かれたファンタジーと、回想録が各一編収められています。挿絵も雰囲気があって大変素敵。

  • クリスマスイブにぼくは父さんの働いている工場までおつかいに行った。するとエレベーターの中で工場の創始者オットーの幽霊に出会ったのだった。しかもオットーの幽霊が出た日には事故が起こり死人が出るという…
    併録されている回想録を読むと、作者の幼少期が色濃く反映されていることがわかります。前半1930年代イギリスのクリスマスの様子が詳細に描かれ、後半は工場に対するワクワクする想いと、父親への尊敬と愛情が描かれています。それが幽霊譚だけではない魅力となり彩っています。

  • 息子と父親の関係が、いい…分からないけど、大きな存在の父親がいい

  • 他の作家なら★三つってところだけど、ウェストールほどの作家だと、このレベルでは二つになってしまう。
    ウェストールファンなら、彼のエッセイ「幼いころの思い出」も収録されていて、読む価値があるだろうが、最初にこれを読んだらウェストールは大した作家ではないと思ってしまうだろう。
    「クリスマスの猫」は短くても様々な要素が入っていたが、これはあまりない。
    ただ、「幼いころの思い出」を読むと「クリスマスの猫」のボビー一家はウェストールの幼いころの家庭に極めて近いのだな、ということがわかって感慨深い。
    『指輪物語』のモルドールの描写を読むと父の職場を思い出して懐かしい気持ちになるというのが面白い。

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著者プロフィール

1929~1993.英国を代表する児童文学作家の一人。「かかし」(徳間書店)などでカーネギー賞を2回、「海辺の王国」(徳間書店)でカーネギー賞を受賞。

「2014年 『遠い日の呼び声 ウェストール短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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