- Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198621131
感想・レビュー・書評
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18世紀の英国を舞台にした物語。行商人オーティスは望まれない赤ん坊を孤児院に連れて行く慈善家として知られていたが、その実は子どもを労働力として売りさばき預かった赤ん坊を殺し、手数料や口止め料を稼ぐ悪党だった。
その息子ミーシャクはからっぽの器と言われ、知恵と感情に乏しかった。ミーシャクが天使と心を寄せる少女が産んだ子を、父親から殺せと言われたミーシャクはその子を抱いて逃亡するのだった。
音楽に魅入られた少年と領主の父親との軋轢と、児童売買の闇を両輪に進む物語。つらい社会情勢が描かれ、その中で必死に生きていく子どもたちの姿があり、そんな子どもらを愛する大人と食い物にする大人が出てきます。
中でもミーシャクが印象深いです。父親からひどい扱いを受け、死んだ子を埋め、その子らの聞こえない声にさいなまれる。
そんなミーシャクが心惹かれた天使。その天使には近づけないけれども、天使の子が自分の腕の中に来た時、ミーシャクは「おいらの天使」を手に入れる。
愛されることのなかったミーシャクが欲したもの。愛する存在と愛してくれる存在。「おいらの天使」を守るために、奪われないためにミーシャクがしたこと。余りにも純粋で、それが故に余りにも自分勝手だとも言えること。
しかし最後に一言ミーシャクに「愛している」と告げてあげて欲しかった。大好きだと笑顔を向けて欲しかった。
様々な人たちの感情と行動が入り交じる群像劇。勧善懲悪の物語でもない、時代の波に呑まれた人々の生き死に。誰に感情移入するかで読後感も変わってくるのでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミーシュが可哀相。
悲劇。結局主人公はミーシュなのかな?