野村克也 野球論集成

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198643874

作品紹介・あらすじ

選手として監督として一流を極めた野村克也氏。それを支えたのは現役時代から、みずからの野球理論を詳細に書きとめたノートだった。今日まで60年の歳月をかけて書き継がれた、その“門外不出の野球ノート”を完全初公開。
「私にとって最初で最後の実践向け野球書。プロ野球関係者だけでなく、野球を愛し、楽しんでいるすべてのひとに届けたい」(野村克也) 
基本技術、原理原則、醍醐味――。稀代の名将がそのすべてを教える。

感想・レビュー・書評

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  • 「書くこと」は「考えること」と、試合後だけでなく事あるごとにメモしてきた"野村ノート"を体系立ててまとめ直したもの。
    エッセイのようにくだけた文体だが、実態はまさしく野球理論書・野球技術書である。
    プロ野球界で生きていくための選手向け指南書であるが、観戦中心の野球ファンにとってもプロ野球選手がプレー中に何を考えているかがわかって面白い。

    目次は以下のとおり(カッコ内はページ数)
    野球と人生(30)
    野球とは(28)
    投手論(104)
    捕手論(98)
    打者論(78)
    走塁・作戦論(32)
    守備論(26)

    ノムさんだから捕手論にボリュームを割いているが、走塁・作戦論と守備論が面白かった。

    例えば、走者1,3塁の場面。
    1塁走者は何を考えるか、3塁走者は何を考えるか?
    バッターは?
    守備側のセカンドは?ショートは?ライトは?
    1点勝っている場合、1点負けている場合、最終回の場合、1アウトの場合で優先することがどう変わるか。
    バントのサインが出た場合、ヒットエンドランのサインが出た場合はどうか。

    単に走者1,3塁と言っても同じ状況は殆どない。
    イニング、アウトカウント、走者の脚力、球場の広さ、ピッチャーの調子、守備力、打者の力量、監督の采配などにより変化する。
    走者が出た場面でのプレイをよく見ることで、チームがどれだけのことを考慮し、実践する準備をしてきたかも見えてくる。

    2塁のベースカバーにはセカンド、ショートのどちらが入ったか?
    ライトに打球が飛んだ時、センター、レフトはどう動いたか?
    高校野球や少年野球では特にプレイに直接かかわらなかった選手の動きに注意して野球を見るとチーム力が分かります。
    どの場面でも「投手vs打者」の比重が大きいのが野球ですが、時にそれ以外の選手に注目してみるのも面白いです。

    今年度のプロ野球の開幕がようやく近づいてきました。
    日本シリーズまで中断されることなく実施されることを祈るばかりです。

  • ノムさんの本はタイトルが違えど中身は同じというパターンが多いですが、アマゾンのレビューを参考にして読んだ本書は違いました。
    完全な技術書です。

    投手論・捕手論・打者論・走塁作戦論・守備論と詳細に語られており、なかでも捕手論の配球論と内角球論が読みごたえがありました。

  • 野村克也の文字通り野球論の集大成。

    野村の本を何十冊も読んだ自分としては、特段真新しい内容はないものの、体系立ててわかりやすく書いてた。
    また、息子克則のために書いただけあって、その中身は愛情と示唆に溢れていた。

  • 野球をやっている人でなくても、具体的な選手やプレーの評価、カウントごとの投手と打者の意識などが興味深かった。

  • 野球バカ必読書だ。
    オリックスの選手全員が蛍光ペンでハイライトしてボロボロになった本書を片手に、iPadで新たな野球ノートを綴って毎日勤しんでいると信じたい。


    以下、心に留めておきたいメモ:
    財を遺すは下、業を遺すは中、人を遺すは上とす by 後藤新平

    不器用な者は、器用な人がやらない経験をしている。それを遠回りととるか、自分だけの貴重な経験と考えるか。後者だと受け止めて、最後には不器用な者が勝つんだ、と自分を励まし続けてきた。


    一に無視、二に称賛、三に非難


    判断に必要なものは、原理原則、現在の状況の把握、専門知識、相手の最新情報など。これらに自分自身の能力を加味して、何をなすべきかを決める。
    覚悟に優る決断なしというように、決断は常に賭けである。
    判断は、首から上でやるべきもの。決断は体を張ってやらなければならないもの。
    まず正しい判断をし、いざ必要となれば覚悟をもって決断する。この順番を間違えてはならない。

    君子は和して同せず、小人は同じて和せず
    つまり協調性をベースにして、主体性を保つ。


    志は、高く持たなければならないが、現実から離れすぎてはいけない。
    思考は、緻密であるべきだが、些末なことにこだわりすぎてはいけない。
    感情は、あっさりしている方がよいが、冷たくなりすぎてはいけない。
    意思は、岩のように固くあるべきだが、激して頑なであってはいけない。

  • ID野球って凄い

  • 平易な文章で論理的に野球を突き詰めていく。数多い著者の本の中でも、様々な局面における具体的な戦術や心構えなどが、体系的に纏められており、投手や打者など立ち位置ごとに、各カウントにおける状況判断を説くところは特に出色。比較的新しい(2017年)著作なので、古今のプロ野球から例を引き、古色蒼然さも極力排除している。名捕手あるいは大打者、あるいは名監督として、一球ごとに細心の注意を払い、精度(可能性)の高い選択をし続け、偉大な結果を残してきた野球人ならではの知識の蓄積は、野球好きなら一度は目を通しておきたい価値があるはず。ライトな野球ファンにとっては、途中内容が重たくなるかもしれないが、プロ中のプロはどこに目をつけているのか、大まかに掴むだけでも、観戦の手引になると思う。キャラクター的に、文中に苦言が散見されるものの、くどくない所に老成を感じもした。

  • ここまで野球を体系的に書いた本はあったかなぁ??ID野球なんて名ばかりだと思っていた自分が恥ずかしくなるような凄い内容。
    ノムさんにはもう少し長生きしてもらって、野球界を盛り上げてもらいたかった。

  • 野球の基本的な考え方が投手編、捕手編、打者編、走塁、守備編と分けて事細かに
    書かれている。
    教科書のような本だ。

    特に野球をやっている人には役に立つであろう。
    見ている方もここまで考えていることがわかり野球を見るのも面白くなるでしょう。

  • 初めて監督をやる前に読んだ。技術的なことも然りだが、相手がいる心理戦ということが1番の印象。
    ◆でる→すすめる→かえす
    ◆ファーストストライクの投手心理
    ◆エンドラン時の備え→どちらがベースに入るか?投手のコントロールは?

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著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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