あれこれ気にしすぎて疲れてしまう人へ 精神科医30年のドクターが教える傷ついた心の完全リセット術

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198652463

作品紹介・あらすじ

精神科医30年のドクターが教える「消えない不安」との付き合い方を大公開!
読むだけで「クヨクヨ」「モヤモヤ」「どんより」「うつうつ」がスーッと軽くなります!

・人間関係の問題
・プライベートでの悩み
・仕事のストレス
・メンタルヘルスのトラブル
・これからの生き方への不安

これらのことが気にならなくなる考え方や行動のヒントが満載!
注目の「認知行動療法」をもとに、心がラクになるためのスキルを学べます。

◆本文より一部抜粋
・嫌いな人とうまくつきあう方法
・人と比べて嫉妬しない方法
・お金の不安が軽くなる方法
・SNSと上手につきあう方法
・仕事上の悩みを抱えなくなる方法
・上司への苦手意識がなくなる方法
・気持ちを安定させる方法
・「まわりに振り回される自分」から抜け出す方法
・自分を変えたいという悩みを解決する方法
・やりたいことがみつかる方法

感想・レビュー・書評

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  • 認知行動療法について、とても温かみのある表現で抽象・具象をしっかり分け説明がなされている1冊でした。
    清水先生が、生きづらさを感じている読者に向けた慈愛を感じられ支えられている感覚を持ちました。

    認知行動療法の【感情】【認知】【行動】の分離については頭でわかっているものの、本著ではもっと具体的かつ簡便な方法として【記憶の書き直し】が提唱されています。
    ステップ1:トラウマを思い出す
    ステップ2:客観的に振り返る
    何が起こっていたのか、その時の自分の感情を俯瞰して思い起こす
    ステップ3:満足できるシナリオに書き直す
    大人の自分をステップ2に救世主として登場させ、今の私が当時の自分を救い出す。それにより認知の歪み、行動の制限から修正され、今の自分の視点も広がる。

    これならば辛い出来事を消化して、現在の自分の物事の考え方・見方・捉え方、或いは行動についていくつものオプションを加えられそうです。

    最近理解が進みつつある「カサンドラ症候群」についても被害者の轍にはまり込むのではなく、実際に起こっていることがどういうことなのか、そして対策のような考え方が記されていて、とても救いになりました。
    以下一部抜粋です:

    「本当は、夫は私の気持ちを理解してくれない人で、毎日が苦しいのだ」と(他人に)告白しても、(社会的には成功している場合もあり)「そんなことはないでしょう」とまったく信じてもらえずに、ストレスを抱えてしまいます。いくら心や言葉を尽くしても人情の機微をわかってもらえない夫を持った妻がうつ状態になることもあります。
    以上。

    私は人情の機微や互いの気持ちを理解しあえる関係性がずっと欲しかったことに改めて気づきました。
    息子たちもなんだよなあ…。

    さらに私自身外的な刺激にとても敏感で感情や気分がすぐ反応してしまうことに自責の念を感じ、疲れ切っていたので、こちらにもかなりの頁を費やし、温かみのある解説がなされ、とても心強く感じました。

    視覚・聴覚含めて、細かな部分に気づきやすく、他人の気持ちと自分の境界線が曖昧で、あれこれ考えが止まらず反芻を続けること数十年。こんな自分が嫌でしたが、感受性が豊かで敏感なタイプの人間はそれを修正しようとする必要はないと強く説かれています。

    小さな悦びや幸せも他人以上に気づき味わえる機会が与えられているのであり、考えるべきは「どうしたら生きづらさが減るか」という方法論だということでした。

    自分の心と身体が健やかに日常を送るには、自分を変えるのではなく、むしろ「何も考えない」「何も対策をしない」「放っておく」と思考のグルグルを意識的にとめてしまうこと。

    脳の使い過ぎによって過剰にエネルギーを消費して、体にまで影響を与えたり、睡眠不足をもたらすので、ここ一番脳のエネルギーを発揮するためにも、脳のエネルギーの酷使を意図的に止めてみるという発想は目から鱗でした。

    メディアやSNSでは、いつも元気で前向き、溌剌と日常を送る人を取り上げがちですが、人間はそもそもアップダウンのある時間を乗り切りながら年齢を重ねていくものです。

    嬉しい出来事があったり、やりたいことがかなったりと気分がハイテンションのときもあれば、ことが思い通りに運ばず落ち込むときもあります。他者からの思いもよらぬ行為によってどん底に落とされる時もあります。

    でもなかなか注目されませんが、その間には「ほのぼのとした暖かみのある心地よい状態」もあり、こちらを大切にする生き方が大切だと説かれています。

    「誰かに守られている、頼っていい、支えられている、プレッシャーがかかっていない、甘えていい」などです。成育環境で私はこの感覚が分からず、すべて自分で抱え込みパンクしやすいので、自ら「助けて・手伝って・教えて」というSOSの言葉を多用することで、安定感を得たいと思いました。

    読んで本当に良かった1冊でした。
    清水先生、ありがとうございました。

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著者プロフィール

千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教授、医学部附属病院認知行動療法センター長、子どものこころの発達教育研究センター長。精神科医。
1965年山梨県生まれ。1990年千葉大学医学部卒業。千葉大学医学部附属病院精神神経科、プリンストン大学留学等を経て、現職。
専門は認知行動療法。
精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、公認心理師。

「2023年 『認知行動療法でつくる 思考・感情・行動の好循環』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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