バスが来ない (徳間文庫 し 14-4)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198906870

感想・レビュー・書評

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  • 日常のとてつもなく小さいことから日本の大きい歴史まで幅広く触れた短編集です。表現がいちいちツボだった。特に最低なねぶこもち艶笑譚、ほぼでたらめの語り伝えの歴史の二つが自分的に面白かった。

  •  清水義範の作品らしい,たわいもない話ばかりの短編集。バスが来ない,お通知表,マイルド・ライト・スペシャル,宗派不問あたりがなかなかの秀作。清水義範好きなら十分楽しめる。★3で。

    個々の作品の所感は以下のとおり

    ○ バスが来ない
     時間どおりにバスが来ないバス停での,人々の心理の葛藤を描いた作品。このようなどうでもいい話を,これだけ面白く描けるのは,清水義範らしい,人間観察のたまものだろう。

    ○ 私の履溺書
     一代で財を成した人物の自慢の手記という体裁の作品。にやりとさせる描写がされている。

    ○ お通知表
     会社で社員に通知表を出すというアイデアで書かれた作品。新入社員のどうしょうもなさと,絶対評価の通知表のむつかしさを,清水義範らしいユーモアとひねくれた目で描かれている。

    ○ マイルド・ライト・スペシャル
     昔,たばこを吸っていた頃,ここまでマイナーではないが,結構マニアックなたばこを吸っていたので,この作品の主人公の気持ちは分かる。たばこに限らず,なかなか手に入らないものがあれば,意地になって探してしまう人の気持ちは分かる。

    ○ 宗派不問
     お葬式を舞台にした作品。お葬式をビジネスとしてとらえることへの,皮肉な目線で描かれている。

    ○ きぼこおたく
     こけしおたくの人々の話。おたくという文化を皮肉な目で描いている。

    ○ 戦慄の寒冷地獄
     節電,節電とうるさくなった現代では,もはや懐かしく感じてしまう,夏の極寒の冷房地獄を描いた作品。もう,こんな時代は来ないだろう。

    ○ 祭りの夜
     みんなが同時にぐわぐわしゃべる物語。まさにまつり。作品のできとしてはイマイチ

    ○ ねぶこもち艶笑譚
     読みにくい。清水義範は,たまにこのような作品を記載するが,好みの作風ではない。読むのがめんどくさい。清水義範の作品は,もっと何も考えずに読みたい。

    ○ 語り伝えの歴史
     歴史を口授するという文化そのものを描いた作品。それを文章にするとこうなるというのがプロットか。これもイマイチ。

  • 日常のよくある風景などを描いた短編集。

    表題のバスが来ない、の心理的葛藤はよく分かる!という感じ。

  • 清水節全開。表題作のような日常の些事をうまく切り取った話から、「お通知表」「語り伝えの歴史」のような「ありえる」と思えるような「もしも」まで。「ねぶこもち艶笑譚」はただただバカ。

  • ブクログで笑える本と紹介されていたのを6冊、図書館で予約して借り受けた。これは1冊目。
    期待通りにニヤニヤさせる巧さの短編集。ゾッとしたのが「お通知表」。新入社員のモチベーションを上げるべく、人事部長が考えた手法が、小学生の娘の通知表を参考に作った評価表。さもありなんと笑えるがしかし。こういうので評価してやりたい人、ホントにいるよと思ったら、相手が馬鹿なのか、自分が幼稚なのか、わからなくなった。両方か。

  • 新規購入ではなく、積読状態のもの。
    2018/9/20

    日帰り奈良出張の電車行き帰りで読了。約20年ものの積読本。清水さんらしいウィットに富んだ短編集。古い作品ではあるが、内容的には全く古さは感じない。

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著者プロフィール

1947年愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部国語学科卒業。1981年『昭和御前試合』でデビュー。1986年『蕎麦ときしめん』が話題となり、独自のパスティーシュ文学を確立する。1988年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、名古屋文化の神髄紹介とユーモアあふれる作風により第62回中日文化賞受賞。『永遠のジャック&ベティ』『金鯱の夢』『虚構市立不条理中学校』『朦朧戦記』等著書多数。また西原理恵子との共著として『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』『いやでも楽しめる算数』『はじめてわかる国語』などがある。

「2021年 『MONEY 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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