寝台特急カシオペアを追え (徳間文庫 に 1-60)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198918996

感想・レビュー・書評

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  • 北海道新幹線の開業と引き換へに、青函トンネルを通る優等列車はすべて廃止となりました。「カシオペア」については、専用車両であり車歴もまだ浅いといふことで、存続に一縷の望みを抱いてゐたのですがねえ。

    JR九の「ななつ星in九州」の成功以来、JR西も東も、クルーズトレインとやらの開発に力を注いでゐます。カシオペアも、今後はさういふ団臨扱ひで残るさうですが、三泊四日の日程で、客室によつては60万円ほどの料金になるとか。
    うーん。個人的には、それだけのお金を出すなら(出せないけど)、もう少しお金を足して、本物のクルーズ船に乗る方がずつと良いと存じます。国内外の富裕層を狙つてゐるのでせうが、その前に、圧倒的多数を占める庶民が便利になるやうな列車を走らせて頂きたいものです。

    以前「サンライズ」「カシオペア」以外の夜行列車は全廃されるだらうと述べた事がありますが、結局定期列車として存続するのは、「サンライズ瀬戸・出雲」のみといふことになりますな。でもこの列車、名古屋は深夜帯といふことで停まらないのであります。
    夜行列車が無くなるといふことは、明白なサアヴィス低下であります。北海道に上陸して、朝一番から活動できる便利さが良かつたのに。今後は、青函フェリーの使用も考へねば。かつての青函連絡船を彷彿とさせ、かえつて味があるかも知れません。

    さて、この寂寞感を埋めるべく、『寝台特急カシオペアを追え』を読む。文庫カヴァーの説明文を引用すると―



    女子大生・小野ミユキが誘拐された。身代金は二億円。犯人の指示で父親の敬介一人が現金を携えて上野から<カシオペア>に乗り込んだ。十津川と亀井は東北新幹線で先回りし郡山から乗車するが、敬介も二億円も消えていたのだ! 傑作長篇。

    いかがですか。王道でございますね。人命最優先の原則通り、警察は犯人の指示に従ふのですが、結果身代金はそのまま奪はれるは、被害者の父親まで誘拐されるはで、十津川警部痛恨の失敗。犯人像に迫る十津川は、同じ刺青を入れたさるカルト集団の一味に狙ひをつけ、それは的中します。
    犯人たちは海外逃亡の時間を稼ぐため、こともあらうに「カシオペア」に爆弾を仕掛けたと連絡してきました。犯人が搭乗する飛行機も逃亡先も分かつてゐるのに、「カシオペア」の乗客を人質に取られた警察は身動きが出来ません。最後に十津川が打つた手とは......これが奇想天外といふか、前代未聞といふか、現実味がないとか、非常識だとか、要するに滅茶苦茶な策を弄するのです。賛否あるでせうが、とにかく驚きます。

    気になるのは、相棒のカメさんこと亀井刑事の発言の数々。何だかたるい台詞が多いのです。「犯人は、どうしているでしょうね?」とか「犯人も、カシオペアに、乗っているんでしょうか?」などと、十津川に聞かれても困るぢやありませんか。さういふ台詞は、もつと平凡な格下の刑事に任せていいでせう。

    なほ、わたくしは徳間文庫版を所持してゐますが、ここではより入手しやすいと思はれる祥伝社文庫版を挙げておきます。悪しからず。
    とまあ、今日は、そんなところです。またね。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-631.html

  • 十津川警部はいつも2時間ドラマで見ているので、本で読むのは新鮮でした。
    初期の話だからか、時刻表をあれこれ駆使してのトリックとかは無くて、難しくなくすっと読める内容でした。

  • 上野発の札幌行きの寝台特急カシオペアで身代金の受け渡しがあった。その列車で女性と男性の2人が死んでいたことが分かる。

    2つの事件の関連性を探る十津川警部。

    事態はどんどん以外な方向に展開する。

    刺青,恩義,友達などなど,犯人達の団結力が謎だ。
    十津川警部が犯人達の心情が理解できるところもやや不思議。

    物語の根底に流れている西村京太郎の心の風景を見てみたい。

  • 「カシオペアを追え」だけど、ちょっとだけなんだよね、追っているのは。
    まあウソではないから良しだけど。と、なんだかんだいいながら一気に読んでしまった。

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著者プロフィール

一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。

「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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