沙門空海唐の国にて鬼と宴す〈巻ノ3〉 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931346

感想・レビュー・書評

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  • もう『陰陽師』のパラレル・ワールドもしくはこのお話の空海&橘逸勢ペアが後の夢枕版:安倍晴明&源博雅ペアの前世と考えて読むことにしました。そうしたら、どうして同じような話なんだろう…という邪念が消えて、素直に楽しめるようになりました(笑)

    この巻はそれなりに話が動いたのでクライマックスへ向かってのワクワク感がありました。高力士さんから阿倍仲麻呂さんへの「手紙」がもったいぶっていた感はありましたが…。

    密教の話は、晴明さんが博雅さんに話す「呪」の本質と同様わかったようなわからないような感じだったけれど、なんとなく普段感じない角度から「人生」を考える「種」がもらえたような気がしたかな。般若心経の「受想行識」とか自分なりに考えてみたり…。

    いずれにしても玄宗皇帝がダメ男ってのがすべての騒動の「種」って気がしました。

  • 【最終レビュー】

    Amazon・中古本通販にて入手。

    〈2月下旬公開予定:映画『空海―KU-KAI―美しき王妃の謎(チェン・カイコー監督)』〉

    原作本・3冊目。

    *公式サイト

    http://ku-kai-movie.jp/

    佳境の一歩手前といったところ。

    *男達が繰り広げる

    [心理戦・謀略・弱肉強食・権力抗争・皇族間(味方同士)の内紛と裏での駆引・謎が謎を生む構図・保身・愛憎・嫉妬…]

    *重版出来に近い要素=書物の編纂

    *五蘊という名の心の動き

    *『本然・変転・天地…』

    それぞれの言葉に秘められたメッセージ

    *呪術の力

    *隠語

    *心の輪郭をなぞる瞑想法

    *眼に見えない楽の音

    *人の本来持っている本心とは…

    ネタバレにならない程度で、私的に特に印象に残ったポイントでした。

    〈生命さえもかけた、空海を筆頭に、一人一人それぞれの闘い・人間味あるドラマの数々〉

    あらゆる場所で繰り広げられていたこと。

    これらのメッセージを通して

    私達読者が、何を感じ取るかを試されているかのような作風といったところです。

    昔も今も変わらず

    このような構図があったことを改めて痛感した次第です…

  • 文庫版で読んでいたのだけれど、ノベルス版の表紙をネットで見てみたら書体が…書体が…!

    気づいていた人のほうが多いと思うのだけれど、自分は片手間に読んでいたせいで丹翁とドゥルジ尊師の正体について全く思い至らなくて、三巻も後半に入ってきたあたりでやっとウワアアアアお前らかよー!と

  • ゆるゆると謎はほぐれて・・・

    【内容】
    もうひとつの手紙とは?

    【感想】
    しだいに高まる緊張感。
    速度はゆるい。

    (2013年07月19日読了)

  • おもしろい!!
    伝奇小説も良いものですね。
    テンポのよさが心地よく、ついつい次のページへ進んでしまう。

  • いよいよクライマックスヘ!

  • まあ学術書じゃあないのでこの1巻を以て『般若心経』を理解するなど端から不可能事ではあるが、一瞬なれども読んでみたいと思わせる力があったのは確か。(結局は一生読まないと思うがσ^_^;)3巻は宦官である高力士が阿倍仲麻呂に託した手紙で終わる。大唐王朝の秘事が綿綿と綴られる巻物は1章(約130頁)を費やしてもまだその終りを見ず、第4巻の次章へと果てしなく流れていく。将にネバーエンディング手紙の章。巻中では憎しみ故、絶望の深さゆえ最後にはお互いの生きた時間を認め合うしかなかった老いさびた宿敵同士が描かれている。

  • 根気がなくて2巻で早くもダレてきた私には、正直言ってこの3巻もだんだんと読むのがじれったくなってきていた。内容が水増しなのではないかと疑いさえしてきていた。

    しかし、第26章の呪法宮の章を読んで、感動してしまった。一気に目が覚めたような気持ちになった。
    空海と逸勢の「想いが人ならば、それは尽きることがない」という言葉に始まる問答を読んで、びっくりしたのである。
    そこには、なぜ仏法があるのか、なぜ人は仏法を必要とするのか、というひとつの答えがあった。
    そして私はその答えにとても納得したのである。
    どうしてこんなに哀しいのか。この哀しみを、いったいどうして乗り越えればいいのか。
    それを作中で空海が語っていたのだ。

    「この天地の法である仏法を知ったからとて、人が永遠に生きられるわけではない」
    「人は老い、死んでゆく。何ものもこの地上にとどまることはできない。哀しみも、天地の法を知ったからといって、消えるものではない。それを、(仏法で)はっきりと知ることによって、人は哀しみの前に立つことができる」
    「哀しみすらも、輩(ともがら)として、それを受け止めることができるのだ」
    「安心するがいい。哀しみすらも、永遠には続かない。それを知ることによって、人は、悲しみと共に立つことができるのだ」

    なるほどなー、と思ったのである。
    そして、胸が震えたのである。

    やっぱり夢枕さんの仏教的世界観は、フィジカルでわかりやすい。

  • 夢枕獏さんの本は壮大でいい。

  • 巻の2に引き続き、どんどん読めてしまいます。でも話としては、ちょっと長いかな...

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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