天の光 (徳間文庫 は 40-2 徳間時代小説文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198941772

作品紹介・あらすじ

柊清三郎は福岡藩の普請方の三男。十七歳で仏師の修行に入り、師匠の娘おゆきの婿に望まれた。しかし、仏性が見出せず、修行のため、三年間京に出る。戻ったとき、師匠は賊に殺され、妻は辱めを受け、行方不明に。妻のおゆきが豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明し、お抱仏師に志願して、十一面観音菩薩像を彫った。しかし、抜け荷の咎で小左衛門が磔となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。清三郎はおゆきのため、姫島に渡ろうとして…。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。けど、ちょっと物足りない
    仏性を見出そうとした仏師の物語。

    ストーリとしては
    師匠の娘おゆきを妻とした清三郎は、自ら修業のため、妻を博多に残し、京に上がります。
    しかし、戻ってみると、師匠は賊に殺され、おゆきは辱められて行方不明に。
    自らの3年を悔やむ清三郎
    ここから、おゆきを取り戻す旅が始まります
    おゆきは豪商の伊藤小左衛門の世話になっているとのこと。
    すると小左衛門の屋敷のおかかえ仏師として、小左衛門のもとへ
    ここで、小左衛門、息子の甚十郎の真の暖かさをしります。
    しかし、おゆきは清三郎のもとには戻らず...
    さらに小左衛門たちは抜け荷の咎で磔に、おゆきも姫島に流罪になってしまいます。
    すると、今度は清三郎も姫島にわたります。
    おゆきの心を清三郎はとりもどすことができるのか?
    島抜けしようとする罪人たち
    その罪人たちからおゆきを守ることができるのか?
    といった展開です。

    そして、最後の最後
    一途なおゆきへの想い、命がけの想いが最後には叶うことになりますが..
    この終わり方はちょっと納得いかない..

    しかし、仏性を見出すにあたって、本書で語られる仏道が心打ちます。

    お勧め

  • 理想とする仏像を彫ろうと、京へ修業に行った仏師清三郎。
    彼の留守に、賊に襲われ凌辱され行方不明となった妻を探し、離れてしまったと思える彼女の心を取り戻したいと旅に出る。
    仏師としての求道小説であるとともに、妻のために命を賭ける恋愛小説とも言える。
    和歌や漢詩に造詣の深い著者は、小説に巧みに取り入れ格調高い作品となっている。本作では、仏像や仏教知識を遺憾なく発揮し、作品の肝としている。
    妻への思いとともに、清三郎が次々と彫る仏像についての話が淡々と進むのかと思いきや、捕縛された妻を取り戻さんと流刑島へ渡ったあたりから、一気に冒険活劇的となる。
    島抜けを図る悪党どもとの手に汗握る攻防は、エンターテイメントの魅力躍如である。

  • ひさしぶりの葉室麟さん
    今回の求道者は仏師の清三郎さん

    うーーん
    いつもの葉室節に乗り切らせてもらえず
    なぜか中途感が漂ってしまった

  • 己れの弱さを克服しながら一途に求道と夫婦の道。一閃…愚斎、小左衛門、甚十郎の切れ味の鋭さ。

  • 久々の時代小説。幸福とは失って初めて気付くものなのかもしれない。ラストは読者に委ねられているが、どちらを選んでもこの愛は色褪せることはないだろう。
    あらすじ(背表紙より)
    博多の仏師・清三郎は木に仏性を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎で小左衛門は磔となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。

  • 博多の仏師の清三郎は、自らの仏像に限界を感じ、師やその娘でもある妻をおいて京に3年修行に出る。京でも得心の仏像を彫れないまま帰郷した清三郎が博多に帰ると、師匠宅は盗賊に襲われ、師は死亡、妻は辱めを受けて現在行方不明となっていた。

    清三郎が妻を探しつつ仏師としての道を開眼する話だろうな、と想像し、事実そういう展開なのだが、想像していた感じではなかった。妻自体は早々に清三郎の前に姿を見せるが、妻の心は帰ってこず、妻にはいわれのない試練が次々に襲い掛かるという展開に至る。

    清三郎自体は後半まで執着粘着っぽいヤツだし、妻は境遇上仕方ないとはいえネガティブ思考だし、葉室麟小説の主役格にしては清廉さに欠けるように思えてちょっと想像外。その分脇を固める人々に清々しさや強さしたたかさがあるのだが。

    とんでもないネタバレになるので詳細は避けるが、最後の最後は俺は好きじゃない展開だった。タイトルにも絡む大事なことなのだが、そうなるにしても、そうじゃないだろうと。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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