Fの悲劇 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198944575

作品紹介・あらすじ

絵を描くことが好きな少女・さくらは、ある日、月光に照らされて夜の池に浮かぶ美しい女性の姿を描く。その胸にはナイフが突き刺さっていたが、それはさくらの空想のはずだった。だが、大人になったとき、さくらは祖母から、女優だった叔母・ゆう子が20年前、京都の広沢の池で刺殺されたことを知って愕然とする。空想で描いたはずの絵は、実際に起きた事件を描いたのか。さくらは、叔母の死の謎を探ろうとするが……。究極の愛と絆を問うミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 失踪をし謎の死を遂げた女優と、二十年後、彼女の死の謎を追う女性の、二つの物語が並行して進む構成。全体的にキャラクターの魅力に乏しい話なのだけれど、ことに過去編のヒロインである元女優は、意固地で独善的でもうめちゃくちゃ。彼女がそんななのはストーリー上の要請という奴で、筋の運びで無理が出るところを、全部彼女に押し付けちゃってるから。ただ、この人が魅力的じゃないのは、物語的に不味い気がする。ミステリ的には、見え見えのトリックに登場人物が誰も気付かなかったり、結構重要な要素が幾つも後出しじゃんけん的に提示されたりで、緻密なパズラーを求める向きには合わない。けども、そういう話じゃないよね。

  • 2020.5.2読了

  • 新装版で再読。
    前回の文庫化は2012年ということで、随分と早い段階で新装版が刊行された。
    単行本は2010年の刊行で、さほど古いとも思えない……が、今の出版事情を考えると、親本の刊行から10年近く経っていれば、『古い』と言えるのか。
    岸田るり子の持ち味は『趣味の良い古さ』にあると思っていて、本書も何処かで昭和の香り漂う懐古趣味的な雰囲気がある。レトロと言うほど古くも無く、アナクロと言うほどマイナスのイメージも無い。
    その持ち味が存分に発揮されたのが本書ではないだろうか。ストーリーも作品の舞台となっている場所もまるで違うのに、湖畔に佇む『ペンション』と住人の雰囲気は、ちょっと佐々木丸美を思い出す。不思議。

    ところで、新装版になって、カバーの写真も微妙に変わっている。テイスト的には共通しているというか、かなり似た写真である。折角、新装版になるのだから、個人的には装丁をガラッと変えて欲しかった。つまり耄碌してきているのでパッと見で旧版か新装版か区別がつかなくなっているのだ。歳は取りたくないものよ……。

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著者プロフィール

1961年、京都市生まれ。パリ第七大学理学部卒。2004年に『密室の鎮魂歌』で、第14回鮎川哲也賞を受賞。著書に『密室の鎮魂歌』『出口のない部屋』『天使の眠り』『めぐり会い』ほか。

「2021年 『味なしクッキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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