その朝お前は何を見たか 〈新装版〉 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198945138

作品紹介・あらすじ

妻の隠された
真実を
知る勇気が
あなたには
ありますか?

最悪の妻をめぐる物語のラストは、
あなたの心をきっと
救ってくれる。

休日は必ず息子の友彦を連れ、調布飛行場へ行き、
ぼんやりと過ごす三井田久志。
実は彼はジェット旅客機のパイロットだったのだが、
ある事情から乗れなくなり、今は長距離トラックの
運転手をしている。

ある日、関西で起きた女子大生誘拐事件の
犯人の声をラジオで聞いて、愕然とする。
それは、息子を置いたまま、蒸発した妻の声だった。
彼は、息子を隣人に預け、妻の行方を捜すそうとする。

第一章 誘拐の声
第二章 追跡の眼
第三章 暗黒の血
第四章 着陸の顔

感想・レビュー・書評

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  • 休日になると息子・友彦と飛行場で一緒に過ごす三井田久志。旅客機パイロットだった彼はある事情で乗れなくなって退職した過去があった。ラジオを聴いていると、蒸発した妻・沙織の声が誘拐犯の声として流れ──。

    「わたしを、捜さないで下さい。友彦を、お願いします。」
    その置き手紙を見た久志は妻を捜すこともなく、情緒障害となった友彦とともに暮らしていた。長距離トラック運転手に転職した彼は、団地の隣人・結城母子のサポートに助けられながら過ごす日々。そこに飛び込んできたのが、まさかの妻の声!

    京都で発生した「紅蘭女子大生誘拐事件」。誘拐されたのは東西銀行・頭取である藤宮善次郎の娘・陽子。彼女は六甲山の山荘から誘拐された模様で、最終的に誘拐犯との交渉は決裂──公開捜査となった。誘拐犯は男女。その女の声が妻・沙織。その声に敏感に反応する友彦。友彦には愛情を注いでいたはずの妻がなぜ蒸発したのか。
    「今日まで、捜そうともしない人間だったのに……」
    こんな状況になって妻を捜すことになるなんて!なんという皮肉!

    久志は友彦のために、妻の足取りをたどっていく!誘拐ミステリというよりは、妻が何を見たかを自分の目で確かめていくヒューマンサスペンス。その結果が誘拐の謎と、家族の再生へと繋がっていく。途中で出会う男たちが憎めなくて好き。相棒としてついてきた浜名がいい味を出しているんだよね。表紙はドロドロしているのに、読み味は爽やか。特にラストシーンはベタベタな王道で気持ちいいほど。久志が目的をブレさせないところがよかった。そこが男たちとの謎の友情へと繋がったというか。ラストシーンのその先までもうちょい読みたかった。大仕掛けはないものの、読んでよかった話だった。


    p.106
    「親戚も他人も、変わりない。むしろ、他人のほうに深い縁がある。他人さまは、親切だよ」

  • 初めての笹沢作品。

    なんとなく途中で展開が読めてしまったけど‥
    ラストが清々しくて良かったかな

    あの後、三井田さん親子がどうなるのか
    淳子さんとの関係も気になる◡̈

  • 最近は狂気的な作品ばかり貪っていたので、
    TSUTAYAの特集コーナーで見つけて
    ジャケ買いした作品です。
    この著者の作品ははじめてです。
    カバーの色彩とタイトルのイメージは
    読んでみると想像と違いました。
    ヒューマン作品でした。

    止まっていた時間を、ある事件をきっかけに、
    取り戻すため主人公が動き出す。
    親子の再生の物語でした。
    ほっとするラストでしたが、
    タイトルの言葉を呟くものの、
    難しい解釈でした。

  • ちょっと最後が残念だった作品。

    ヒューマンサスペンスであり、妻を探そうとすることろ、探していることろはらしさはあった。(けれども話の展開の仕方はずっと同じ)

    クライマックスであるシーンのページ数が1番少なく、流し読んでいたら終わってしまった感じがする。

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著者プロフィール

1930年生まれ。1960年、初長篇『招かれざる客』が第5回江戸川乱歩賞候補次席となり、本格的な小説家デビュー。 1961年『人喰い』で第14回日本探偵作家クラブ賞を受賞。 テレビドラマ化されて大ヒットした『木枯し紋次郎』シリーズの原作者として知られ、推理小説、サスペンス小説、恋愛論などのエッセイ他、歴史書等も著し、380冊近くもの著書がある。2002年、逝去。

「2023年 『有栖川有栖選 必読! Selection11 シェイクスピアの誘拐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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