誰? (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
3.48
  • (6)
  • (18)
  • (16)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 176
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198945770

作品紹介・あらすじ

沢田隆が晴美と出会ったのは、近所の居酒屋だった。一流企業を定年後、妻を亡くし孤独に暮らす沢田は、親子ほども年の離れた病弱で薄幸な晴美に心奪われ、しだいに彼女のために金を使うようになった。だが、ふとしたことから沢田は、晴美を留美と馴れ馴れしく呼ぶ中年女性の存在を知る。しかも女性はおかしな部屋の話もするのだ。いったい晴美の真実の姿とは? 彼女は何者なのか? それを知る前に沢田に悲劇が訪れる――。明野ワールド全開!

プロローグ
第一章 歳上の男
第二章 歳上の女
第三章 歳下の男
インターミッション
第四章 混沌
第五章 混沌の収束
第六章 破綻
エピローグ

解説 内田剛

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かった。
    ぐんぐん引き込まれてしまった。
    最初は不幸な境遇から嘘をつくことで自分を守る術を身につけたのかと思っていたがそうじゃなかった。生まれついての悪女だったんだ。
    でも、なぜか人って悪女に惹きつけられるところがあるのかな?
    いつのまにか晴美の立場に立ってどうやってこの場を言い繕って誤魔化そうかと一緒になってハラハラしている自分がいたりして、せめて沢田を殺したりしなければ良かったのに。
    悪女と言ってもやっぱりほんとの悪女になったらダメだったんだね。
    小悪魔程度で済ませておけばルパンにおける峰不二子で済んだのにとか思っちゃいました。


  • 本当に内容覚えてない。似たような話が多すぎてなんだかな。気が向いたらもう一度読もう。

  • 武藤晴美、工藤留美、吉井順子、3つの名前を使い分けながら、息をするように嘘を吐く女性が主人公。

    男を手玉に取りお金をむしり取る後妻業をイメージしていたがターゲットは70代の沢田隆、50代の小林瑞枝、30代の友野直也と年代、性別はバラバラ。
    搾取するものも金品のみならず家事一般、性的なものと様々でその視点が新鮮だった。

    淀みなく発せられる嘘には一種才能的な物すら感じるも、場当たり的でツメの甘い嘘は読者であるこちら側が不安にさせられる。

    主人公が追い詰められて行く過程に緊張しエピローグで明かされた真実に愕然とする。

  • 三人の共通点は孤独。
    そこにスッと入ってくる一人の女性、晴美。

    最初は孤独じゃなくなったこと、誰かと食事をし、会話をする、約束をして会う、彼女との日々を大切に、日々を過ごし楽しかったのだが…。

    そんななかで、少しずつ彼女の言っていることに齟齬が。そんなはずはないと思いながらも、疑ってしまう気持ちが止められない。それでも孤独よりは…と思う者、真実、本当が知りたいと動きだす者。


    晴美の淀みなく出てくる嘘、もう逃げられないんじゃないかと思っても、次から次へと嘘をつく晴美。

    彼女が最終的にどう三人と向き合うのか逃げるのか、どうなるのか気になって一気読み。

    彼女が瑞枝に語った「本当の話」が最後の方で語られて、彼女がどういう人間だったのかを知る。

  • 優しい沢田さん騙して殺したところは不快だったけど、嘘をつき続けてお金を騙し取るお話は面白かった。最後は私たちまでもが騙されていたことに気づいて驚いた。

  • 人の弱味に隙入りウソを重ねて注目を集め詐欺をする。ウソがバレたら拠点を変える日々の晴美。
    小さい頃から嘘をついて周りに迷惑をかけていたとあるので筋金入りなのだろう。晴美のウソに騙されていた人は気づいていたけど気づいた時には晴美をほかってはおけない気持ちになっていた。


    騙された人の心理状態と晴美の騙す一生懸命さ、側から見たら騙されてるから関わらない方がいいと思うが相互に必要な関係性になっている。相手をもっと知りたい欲求というのは誰にでもあるんだなぁ。

  • 孤独な人の心にスッと入り込むのが晴美だ。
    妻を失くして独り暮らしの年配男性や子育ても終わり子供は独り立ちして寂しさを抱えた主婦など…
    晴美にかかれば朝飯前だ。
    自分も孤独で、病気持ちのか弱い女性。
    恐ろしい…
    現代社会に潜む、孤独な人たちには多い。
    そこに漬け込む人たちも多い。
    そんな怖さが詰め込まれている。

    2022.2.13

  • 息をするように嘘をつく…
    どんな時でも躊躇すること無く嘘をつく
    と言うよりも、もう存在そのものが嘘のよう

    幼少期の酷い経験から病んでしまったのかと思いきや
    結末にびっくり!


  • 終わりが見えないドキドキ感。

    途中、嘘ついて騙してまた嘘ついて…の流れに
    飽きちゃったけど、最後まで誰?って感じでした。

  • 表紙のイラストと、「この女、息をするように嘘をつく」という帯に惹かれて購入。
    表紙のイラストは20代後半ぐらいの女性に見えましたが、この作品に出てくる悪女はアラフォー女性でした。

    続きが気になり、455ページ一気に読み終えました。後半になるにつれて、どうなるのか?と行く末が気になりページをめくる手が止まらずに夜更かし。とてもハラハラして楽しめました。


    まさか、ここまで嘘だとは…とびっくりした所も。

    今まで生きてきた中で、あからさまに嘘とわかる「嘘つき」の人はいましたが、こんなに巧みに嘘をつく人と関わったことが無かったので面白かった。
    (自分が気づいてないだけかもしれませんが)

    何が本当で何が嘘なのか、晴美自身も分からなくなってきていそうな危うい描写もあり。

    明野先生の他の作品も読んでみたくなりました。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

明野照葉の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
雫井 脩介
辻村 深月
呉 勝浩
柚木 麻子
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×