- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784199003509
感想・レビュー・書評
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天涯孤独な身の上から一転、由緒正しい名門御所泉家の遺産相続人に指名されてしまった晶。その次期当主になる条件は、三ヶ月後に控えた一族お披露目の式までに、完璧な紳士になること――。そんな晶の教育係に指名されたのは、容姿・才能いずれも劣らぬ名家の嫡男の三人。同時にそれは、晶の後見人選びも兼ねていて…!?見習い王子様と三人の騎士のスリリングLOVE 。
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天涯孤独な身の上から一転、由緒正しい名門御所泉家の遺産相続人に指名されてしまった晶。その次期当主になる条件は、三ヶ月後に控えた一族お披露目の式までに、完璧な紳士になること――。そんな晶の教育係に指名されたのは、容姿・才能いずれも劣らぬ名家の嫡男の三人。同時にそれは、晶の後見人選びも兼ねていて…!?見習い王子様と三人の騎士のスリリングLOVE
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神奈木先生の作品だったので買い。表紙の美形な皆様方に圧倒されつつ、叫びました。
個人的に皇がかっこいいv -
冷泉司(28)×松本晶(17)。母が亡くなり、天涯孤独と思っていた晶の元に「運命を変えてやる」と司がやってくる。実は晶は資産100億の御所泉家の直系の跡取りだという。司、雫、皇の3人に跡取りとして恥ずかしくないようしごかれる晶だったが・・・。晶の生まれつきの品格と素直さと強い意志。みんなが惹かれていくのがよくわかる。ありきたりなシンデレラストーリではあるが、晶のがんばりぶりが面白かった。
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●あらすじ●</br></br>
天涯孤独な身の上から一転、由緒正しい名門御所泉家の遺産相続人に指名されてしまった晶。その次期当主になる条件は、三ヶ月後に控えた一族お披露目の式までに、完璧な紳士になること---。そんな晶の教育係に指名されたのは、容姿・才能いずれも劣らぬ名家の嫡男の3人。同時にそれは、晶の後見人選びも兼ねていて・・・!?見習い王子様と騎士(ナイト)のスリリング・ラブ。</br></br>
●感想●</br></br>
先日感想を上げた一冊に似たような内容の本があって酷評してしまったんですが---。こちらは面白かったです。どこが違うのか・・・主人公がとにかく負けず嫌いで前向き、それを巡る3人も性的対象として好きなんじゃなくて、まず晶という人間が好きなっていく。多分、設定的には皆ノーマルだと思いますよ。変に3人で晶を取り合って争う・・・ということもなく、目的通り当主を育てる段階で晶の人間的魅力に惹かれ本心から片腕として『鞘』になりたいと願う。最終的に晶は誰を選ぶのか---ハラハラしながら読むことが出来、ラストも納得。更にしたたかに強くなった晶がカッコいい満足できた一冊です。厚いので読み甲斐もありました。
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「松本晶に関しては、正直言って予想外だったな」</br>
「え?」</br>
「彼の写真は、もちろん僕も見てるけど。なんて言うか、イマドキの小綺麗な男の子って感じでさして興味も湧かなかったんだよね。でも、あれは実物の方が断然いい。小柄で目が大きいから一見甘く見えるけど、表情がちっとも可愛くないしね。なんか、撫でようと思って手を出したら噛みついてきそうな感じ。あれって、生意気な目つきのせいかな」</br>
「雫・・・」</br>
「御所泉家には、今までいなかったタイプだよ。僕は、あの子がただの勝ち気な少年か、それとも生来の器がそうさせてるのか、ちょっと見極めたくなってきた」</br>
楽しげに語られる感想に、司は(そうかもしれない)と密かに同意する。初めて晶に声をかけた時、彼は酔った客と一触即発の状態だった。あの時に見た、他を圧倒する凛と冒しがたい迫力の正体は、晶の内側に眠る非凡な『何か』の表れかもしれない。</br>
その『何か』を確かめてみたい。
だが、それには彼に選ばれる必要がある。</br>
「面白くなってきたじゃない」</br>
司が少しずつその気になったことに気づいたのか、雫がウキウキした調子で言った。</br>
「実に愉快だ。僕らのうち一人が、あの子の『鞘』になるなんてさ」
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『鞘』というのは御所泉家の家宝を当主と共に手中に収め当主の後見人を兼ねる。『剣』となる当主の運命共同体。『鞘』候補は前当主の遺書で指定された司、雫、皇の3人。三ヶ月後のお披露目の会の席上で晶が晴れて当主と認められれば、晶の口から指名される。そしてそのお披露目の式までの教育係を3人が受け持ち、当主として相応しい人間に晶を育てる。</br>
司は口下手で冷たい印象のアンティークのディーラー。御所泉コレクションの基礎知識や礼儀作法、言葉遣い、英会話・・・担当。冷たいようでいて常に晶を気遣う。晶のことを思うあまり、『鞘』候補から外してくれと晶に懇願。気持ち的には凄く分かるんだけど、晶が可哀想だよ〜。</br>
雫は過去に映画化されたりもした純愛小説のベストセラー作家でも、現在はスランプ中。和洋食のテーブルマナーと御所泉家の歴史担当。ふわふわした優男のようでいて、実は策略家でゲームに滅法強く、皇も司も畏れている。でも、実際は一歩引いたような感じで普段と違う司の態度を面白がっているものの彼に花を持たせてる感じ。晶の素直な言葉に刺激を受け、スランプを抜け新作を執筆することになるまで吹っ切れた。</br>
皇はアジア圏でも売れっ子の人気俳優。古典芸能、オペラ、バレエ、クラッシックのコンサート等の一流舞台を見せ目と感性を養わせる芸術部門担当。真っ直ぐに晶に向かっていくため、晶も皇には言いたいことが言える。皇は一番年下で今まで二人に勝てた試しがないので二人を出し抜こうと必死。晶も元々俳優としての皇のファンだったために、憧れと尊敬の目で皇を見るが、どうもポジション的にお兄ちゃんか?
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「訊きたいことがあるんだけど」</br>
「うん?」</br>
「当主の『鞘』選びの話って、俺はいつ知らされる予定だったんだ?」</br>
「晶・・・・・・」</br>
「言えよ、雫。まさか、お披露目の当日まで黙ってるつもりだったんじゃないだろうな」</br>
それまでの軽快なおしゃべりをピタリと止め、雫が急に真面目な顔を作る。司は二人の様子に注目しつつも、あえて口を挟んでこようとはしなかった。</br>
「・・・皇だね?」</br>
「・・・・・・・・・」</br>
「まぁ、仕方ないか。今夜の彼は、だいぶ感情的になっていたから。ねぇ、司?」</br>
晶の表情からある程度は察していたのか、割合あっさりと雫は認める。やれやれとばかりに吐息を漏らし、続けて「怒ってるの?」と訊いてきた。</br>
「僕たちは、何も君を騙そうと思っていたわけじゃないんだよ。ただ、最初から『鞘』の話をしてしまうと、晶が変に構えてしまうのが心配だったんだ。僕たちがどういう人間かわかってもらってからの方が、おかしな先入観を与えないでいいと思ったし」</br>
「おかしな先入観て、『鞘』になりたくて取り入ってるとか、そう言う意味?」</br>
「何を・・・」
</blockquote>
晶は凄く好きなキャラ。負けず嫌いで頑張り屋さん。『鞘』のことを知ったあとも卑屈にならず、どうしたらいいか思い悩む。確かに3人の内、誰か一人を選ぶのは厳しいなぁ。雫と皇は甘やかしてくれそうだけど、割と早い段階から晶の心は決まっていた感じでした。3人と接して3人も変わったし、晶も成長していく。なんだか健気で頑張れ〜って応援したくなっちゃうんですよね。こういう、主人公が人間的に成長していく話は大好きです。色っぽい話はあまり無いですけど満足できるストーリーでした。</br>
司は自分の心を隠し通したままならば『鞘』になるつもりだったんでしょうね。馬鹿正直って言うか、真面目って言うか・・・そんなところに晶も惚れたんでしょうけど。ラストはどうなるのか読めませんでした・・・。でもきっと現時点でベストの選択だったと思います。『鞘』が3人ってのもアリかな?とも思ってたので。</br>
3年後もきっと誰か一人に絞ることなく、きっとこの制度自体を晶がなくすのでは?と思うのですけど。だってこのまま後継者は絶えるわけだしね。でも、ぱらぱら読み返してみて思ったんだけど晶の仕事は?いや働かなくても資産は十分あるけど・・・。資産管理して暮らすのかしら?なんだかそれに満足するような晶じゃないような気がするんだけど・・・。何年か後の彼らの話が読めたらいいな〜。
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