慣れろ、おちょくれ、踏み外せ ——性と身体をめぐるクィアな対話

  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255013480

作品紹介・あらすじ

“みんな”でいたくない“みんな”のために「LGBT」に分類して整理したら、終わりじゃない。「わからない」と「わかる」、「マイノリティ」と「マジョリティ」を 行き来しながら対話する、繊細で痛快なクィアの本。 ときに反抗的で、しなやかな態度は明日への希望に――。性、恋愛、結婚、家族、子孫、幸福、身体、未来――バラバラのままつながった壮大な「その他」たちが、すべての「普通」と「規範」を問い直す。「『普通』や『みんな』という言葉に己を託したり託さなかったり、託せたり託せなかったりする読者のみなさんを、風通しのよい、というよりは強風吹きすさぶ場所へと連れて行ってしまおうというのが私たちの企みです。どうぞ、遠くまで吹き飛ばされてください」(森山至貴「はじめに」より)「ワクワクだけでも足りません。ヒヤヒヤするかもしれませんし、何か責められたような気分でイライラしたり、何様だコイツ、という思いでムカムカするかもしれません。逆に、全然言い足りてないぞ、と思うこともあるかもしれません。そのくらいのほうが普通じゃないかと思います。そのくらいでないと、私たちも語った甲斐がありません」(能町みね子「おわりに」より)

感想・レビュー・書評

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  • クィアは本来強烈な侮蔑の言葉。
    それを逆手にとって、森山先生と能町さんがクィア・スタディーズを語り合う。
    かなり踏み込んでいるから、LGBTなどのベースになる知識がなかったら読み進めるのが少し難しいかも。でもとても面白く意義深い対談なのでぜひ読んでほしい。
    今まで思いもしなかったLGBTQ+だけでは片付けられないクィアなことについて、なるほどと新たな発見を多々得ることができました。
    LGBTなどの(それに限らず)マイノリティにある立場の人に対して、受け入れるって言葉を使うのは受け入れないという選択肢があるということでもある、それはおかしいんじゃないか、むしろマイノリティ扱いしないで当たり前にそういう人たちがいることに慣れろという考え方には目から鱗で、そっか、わざわざ受け入れてもらわなくていいんだ。と勇気をもらえました。
    他にもたくさん感想を言いたいところはありますがこの辺で。
    マイノリティって言うけど、本書はたくさんの立場の人たちにも焦点を当てて書かれており、LGBT以外の人たちも包括すれば、もうこれはマイノリティではないのでは?という思いが生まれました。マイノリティなんだけど、堂々とやっていこうと思えました。
    ぜひさまざまな人に読んでほしい一冊です。

  • 「慣れろ、おちょくれ、踏み外せ」書評 「揺さぶること」が広げる生き方 |好書好日(2023.09.23)
    https://book.asahi.com/article/15011675

    はじめに/森山至貴 | 【試し読み】慣れろ、おちょくれ、踏み外せ――性と身体をめぐるクィアな対話(森山至貴×能町みね子) | あさひてらす
    https://webzine.asahipress.com/posts/7310

    慣れろ、おちょくれ、踏み外せ | 書籍 | 朝日出版社
    https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255013480/

  • 著者の森山至貴さんについてはまったく存じ上げなかったが、能町みね子さんの名前に惹かれて読んでみた。自分の身体や性の悩みや不安は他人とは比べられないし、人それぞれ好みも考え方もいろいろ。つくづく当事者にしかわからないこと、言われてみればなるほど、と思うことも多くて楽しく読みつつも、無知故に無神経な言動もあったはずの自分にため息しか出なかった。

  • 「朝日新聞」書評(20230923)
    https://digital.asahi.com/articles/DA3S15749014.html

    書誌情報(朝日出版社) 目次・著者紹介
    https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255013480/

  • タイトルのインパクトと「クィア」って何?と思い読んでみました。

    クィア・スタディーズを専門に研究している森山先生とエッセイストの能町みね子さん、二人によるクィア・スタディーズについての対談形式の本です。

    いわゆるLGBTQ+の「Q」は、「クエスチョニング」と「クィアQueer」二つの言葉の頭文字を表しているそうです。

    「クエスチョニング」はなんとなく意味わかりますよね。自分自身の性自認や性的指向がまだ定まっていない、またあえて定めていない人たちのこと。

    それに対して「クィア」って耳慣れない言葉ですよね。私も今回初めて知った言葉でした。元々はとても侮辱的な言葉なんだそうで、あえて日本語に訳すと「オカマ」だそうです。

    「クィア」とは、私的にまとめてみると…
    性的マイノリティの人々は実際に「いる」のだから、受け入れるとか受け入れないとかではなく、「いる」ことに「慣れろ」というスタンス。分類して整理したら終わりじゃない、カテゴライズするのではなく、そこから踏み外して世界を広げようというような、いわば生き方だったり心意気のことのようです。

    多くのセクシャル・マイノリティのアイデンティティの総称として、以下の13個が上がってたんですが、いくつわかりますか?

    L:レズビアン
    G:ゲイ
    B:バイセクシャル
    T:トランスジェンダー
    Q:クエスチョニング
    Q:クィア
    I:インターセックス
    A:アセクシャル
    A:アライ
    P:パンセクシャル
    P:ポリアモリー
    O:オムニセクシャル
    2S:トゥー・スピリット

    私はこの本を読むまでは7個しか知りませんでした。でもこれ以外にもまだまだいろんなセクシャリティがあるようです。そういえばアロマンティックもノンセクシャルも入ってない…。ちなみに異性愛者のことはヘテロセクシャルといいます。

    正直なところ、カタカナ用語がめちゃめちゃ多いし、頭の良い方たちの対話なので、知らない言葉や考え方が当たり前のように話されていたりして、内容を理解するのがちょっと難しかったです。でも改めてセクシャリティってグラデーションだよなぁと。男とか女とか言う前に人間であること。たまには凝り固まった固定観念や「普通」を疑って問い直していかないといけないなぁ…と切に思いました。

  • うーん意外と普通かな〜?知識として新しく学んだところもあるけど、意外と私が考えたことある範囲をでなかった。
    既存の男らしさ/女らしさを打開すべきだという考えもある一方で、既存の男らしさ/女らしさに依拠して性別の再配置を行うこともある。なんだか論理で考えようとすると複雑になってしまう気がする。もちろんどっちの考えも認められるべきだと思うし。
    やっぱりアイデンティティや個人の尊厳に関わるところは論理よりもアート(文学とか)の方がパワフルかな。

  • とてもわかりやすい。そして、安心して読める。

  • クィアやトランスをめぐっては、やはりわかりにくいところがある。もちろんそれぞれ好きにすりゃいいと思う。

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著者プロフィール

作曲家、社会学者。1982年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得満期退学。第22回朝日作曲賞受賞。第13・18・20回朝日作曲賞佳作受賞。大学院生時代には東京大学コーロ・ソーノ合唱団の学生ピアニストとして松本望氏の合唱組曲『むすばれるものたち』の初演に携わった。作品はBRAIN MUSIC、音楽之友社、教育芸術社、Pana Musica、カワイ出版から出版されている。現在、早稲田大学文学学術院准教授。社会学者として大学での研究、教育もおこなっている。

「2023年 『混声合唱とピアノ連弾のための組曲 いつか必ず光は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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