人生で大事なことはみんなゴリラから教わった

著者 :
  • 家の光協会
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784259547738

作品紹介・あらすじ

世界的なゴリラ研究者である著者が、アフリカのゴリラの群れに入って目にしたゴリラたちの姿を、どの本よりもやさしい文章で伝えます。
ゴリラやサルの生活や社会の成り立ちを明らかにすることで、
人間らしさをひもとき、どう生きるべきかを語ります。
友達関係で悩んだり、自分に自信の持てない若者に向けてのあたたかいメッセージも収録。

感想・レビュー・書評

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  • 難易度は『15歳の寺子屋 ゴリラは語る』とそう変わらない。内容は『ゴリラは語る』と重複している部分もあるが、こちらの方が詳しい上、ゴリラの前に行った屋久島のニホンザルの研究や、アフリカでの生活のことなども書かれているので、興味のある人はこちらを読んだ方がいいように思う。

    ゴリラが狩られたり殺されたりするのは、森をよく知っている地元の人間が先導しているから。知らない人がゴリラの群れを見つけることは、安全に近づくことは簡単ではない。だからゴリラや自然を守ろうと思ったら、まず地元の人々への教育と(生活苦でそういう仕事をしているので)資金援助が必要である、ということは、ゴリラでなくても言えるなあ、と思った。自然を守ろうなんて思えるのは衣食が足りて平和だから。そこがなかったら、ただのキレイごとになる。紛争(内戦)にも触れているが、人間が平和でなければ、自然界にも悪影響が及ぶ。

    いつもながらゴリラの子育ての上手さ、ゴリラの子どもたちの楽しく遊ぶ様に、平和な森のゴリラとして生きたいという気持ちになった。

  •  京大総長も勤めたゴリラ研究の第一人者である山極寿一氏による本。
     中高生向けに平易な表現で書かれているものの、ゴリラの生態、個性、人間との違いを、なんとも興味をそそるように書けているのは、行間に滲み出るジャングルでの生活の過酷さ(無論等の本人には、それすらも弾き飛ばせるゴリラへの愛があるのであろうが)を土台としているからであろう。
     3歳と1歳の子供を連れて行くこと、現地の人と交じり合い、ジャングルに分け入り、ウンチをたどり、挙句にメスゴリラに噛まれ突き飛ばされ、命の危険も顧みないその情熱には、言葉で書ききれないものがあろう。
     そしてゴリラから学び、人間について最後の章にまとめられている。
    「友達をつくろうとするとき、自分がどういう人間であるかを、しっかり自覚して相手に伝え、その自分に関心を持ってもらうように働きかける必要がある」
    「大切なことは、人々とつきあうことをやめずに、自分を表現し続けることだ。それしか自分を磨き、成長した自分に出会える方法はない。」
    という言葉には非常に心に響くものであった。

  • 中高生に向けた山極先生からのメッセージがギュッと詰まった一冊。読むと元気になれます。
    ビツミーやタイタスなど、山極先生の著書ではお馴染みの個性的なゴリラたちのエピソードに加え、水を怖がらないニシローランドゴリラの話や村人を巻き込んだ自然保護活動の話など、他の著書ではあまり触れられていないエピソードも盛りだくさん。特に面白かったのは、「ジャングルで迷う」と「魔法を使うおじいさん」。真っ暗闇のジャングルで青白く光るキノコに遭遇する場面は、生死のかかった状況のはずなのに、なんとも言えず美しくて幻想的に思えました。デゥンボさんというおじいさんは、自分が何歳なのかよくわかっていない人だけど、研究者にも頼りにされる植物のプロ中のプロ。博識で親切で、どこか神秘的(森の民を呼び出して特別な植物をとってくるよう頼む、とか)。上橋菜穂子さんの『鹿の王』にも出てきそうな感じで、惹かれます。けれど、そこは決してユートピアではないということも本書は伝えてくれます。乱開発や密猟、内戦や難民など、アフリカやそこに暮らす人々、生き物たちを脅かす現代社会の歪みも語られます。山極先生がそれにどう立ち向かってきたかも、本書の一つの見所かと思います。
    「知は力なり」というメッセージを、力強く温かく伝えてくれる山極先生に、今回も感謝感謝です。

  • 少し前に、『15歳の寺子屋 ゴリラは語る』を読んで、その時も山極先生のゴリラ愛がすごく伝わってきたけど、今回、再び。
    ゴリラから学ぶ人間関係についての章が興味深かったし、なんか元気もらえた。
    1冊前に読んだ『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』に続き、こちらもさらに、フィールドワークの内容が超ハード。笑

  • 『あるがままの自分を生きる』ということの実に難しいことか。でも、それを目指さないと本当の幸せは無い。

  • 著者は、文献派ではなく実践派のゴリラ研究第一人者。
    ゴリラのそばで生活し、いつの間にかゴリラに受け入れてもらい、ゴリラの子供たちとも遊び、間近に観察したことがベースとなっている。ゴリラ愛溢れる本である。

    ゴリラを観察し比較することで、人間について改めて考えさせてくれる。
    そして「本当の信頼関係を抱くには、長い時間をかけてお互いの個性をいらなくてはいけない」と説く。実は私たちの人間関係の問題などに熱く語っているのだ。

    イラストを入れ、フリガナを振り、文章も平易にし、子供たちに「君たちはどう生きるのか」考えてほしいという思いがあふれた本である。

  • ゴリラと接する事を通じて、人間の価値観や生きる姿勢などを考えさせてくれる一冊。

    最後のまとめの章の内容が個人的には強く刺さった。
    自己表現などもしっかりしないといけない理由や、大学とジャングルが似ている理由など著者の独自の切り口が面白い。

  • どちらかと言うと子供向けに書かれた本らしく難しい漢字にはカナがふってあったし文章も読みやすかった。
    自分の好きな仕事に就いてそれを極めるって本当に素晴らしいと思う。

  • 有り S489.9/ヤ/20 棚:ティーンズ

  • 時を共にすることの大事さを感じた。

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著者プロフィール

第26代京都大学総長。専門は人類学、霊長類学。研究テーマはゴリラの社会生態学、家族の起源と進化、人間社会の未来像。

「2020年 『人のつながりと世界の行方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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