自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう? (10代の哲学さんぽ 2)

  • 岩崎書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265079025

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。

    10代の哲学というだけあって、言葉や文章がわかりやすい。
    大人でも入門のひとつとして、読んでもいいのではないかと思った。

    本書は“自由とは”というところにフォーカスしており、自由とは何なのだろうかという疑問を哲学的に考えることができる。

    みんな自由というのはほんとうなのだろうか、
    自由とはどういう状況なのだろうか、
    自分は自由なのか、
    考えるきっかけになるだろう。



  • 自由な人間って、どんな人?
    私は自由?あなたは?
    自由な人と、不自由な人の違いって何?

    歴史上には、絶大な力を持ち、自由に振る舞う権力者たちがいる。自由とは、権力を持っていると言うこと?でも彼等は、彼等自身の欲望や情熱からは自由になれなかった。
    プラトンは、欲望や衝動を理性でコントロールする時に、人は持てる限りの自由を発揮しているのだと言った。だとすると、権力者たちは自由な人とは言えない。

    絶対的な自由、自由の本質は、想像や空想の中にしかないのではないか?私たちは重力からは自由になれない。私たちは、しがらみの中にいる時しか、自分が何をしたらいいのかを見つけられない。自由は自由による制限を受け入れる必要があるんだ。

    「生きた道具」としての奴隷がいる。1789年のフランス人権宣言、「人は生まれながらにして自由且つ平等の権利を有する」ことを前提に築かれた社会で暮らす私たちは、奴隷のいる社会を受け入れられない。

    自由は、あらゆる可能性を秘めた贈り物であると同時に重荷でもある。重荷であるからと言って、自由を捨て去ることは決してできない。自由は人の本質だから。でも、自由を行使する自由があるように、自由を眠らせておく自由もあるのだ。

    けれど、現代社会で自立した人間として生きるためには、自由の正しい使い道を学ばなくてはならない。そうしなければ、人の形をして生まれても、本当に人間だとは言えないのだ。

    自由の使い道を学べる時代と環境に生まれるのは幸運だ。私たちを取り巻く現実が、人間らしく生きることを許さない可能性だってあったのだから。

    古代ギリシャの哲学者たちにとって、「自由な時間」とは、「空っぽになる時間」「何一つ予定のない時間」のことだった。ただ静かに深く呼吸するようなひととき。

    何もしない時間を全く持たない人間は、精神の自由を持てるだろうか?
    立ち止まり、自分自身の内側に深く入っていくひとときのない人が、きちんと自分の頭で考えられるだろうか?
    いつも周囲の影響を受けていては、心の自由は手に入らない。

    精神的な自由を手に入れるには、戦って代償を支払わなければならない。すぐ挫けそうになる意志を支えながら、深く考え続けなければならない。

    自由な人間になるのは簡単なことではない。戦って考え続けても、自由な人間になれる保証はない。ある時には自由になれても、その自由はすぐに失われるかも知れない。

    私たちは自分以外の他人に縛られた時に、最も自由を失う。人間に従うより、非人間的な法律に従う方がずっと自由でいられる。けれど社会で生きるためには、他人から自分の自由への束縛を受けざるを得ない。そんな時は、自分も他人の自由を束縛している。これは人間として生きていく上で必要なことでもある。

    社会や集団からの束縛を逃れるたったひとつの方法は、考えることだ。何かを考える時、人はいつもひとりだ。自分の心や考えは自分だけのものだ。考える自由のある時こそ、人は自由でいられる。

    だが、考える心の自由も脅威にさらされる時がある。恐怖、睡眠不足、激しい痛み、耐え難い空腹…。何らかの理由で考えるのをやめてしまったり、邪魔される時がある。そうなると、他の誰かの奴隷になってしまう。

    考え続けていても、他の誰かの奴隷でいることを受け入れるような思考のゆがみに支配されてしまう時もある。

    人間は自由にも奴隷にもなれる。いつでも自分で選べる余地はある。矛盾に満ちて、一筋縄でいかなくて、厄介で魅力的な存在。それが人間だ。

  • 自由について、ギリシャの哲学者などの言葉を借りて考える。
    ちょっと難しいなと、思いましたが、古代ギリシャの奴隷と自由市民の話が印象的でした。
    school(学校)の語源が、schole(暇潰し)とは、時代による価値観の変化の象徴の様でおもしろく感じました。

  • 10代の哲学さんぽ、第2巻です。
    今回のテーマは「自由」について。

    一番好きな言葉は?と聞かれると、
    「自由」
    と答えます。
    昔からそうでした。
    でも「自由」とは何ぞや?と聞かれると「うっ」と答えにつまる。
    改めて、大好きな「自由」について、この本を読み進めながら考えてみました。

    子供用の本ですから、とても薄くて読み終えるのに大人なら30分もかからないくらいです。
    内容を分かったふりでさらさら読んでいくとそうなのですが、実際その中でどれくらい自分が分かっているのだろう?とつまづいたり、考えたり・・・さらには最初からまた読み返したくなります。

    この本では生まれながらにして自由をもたない人間が存在したこと・・・古代ギリシャでは人間として扱われない奴隷のいた事、そして今は個人の自由は保障されているとなっています。
    建前としては・・・。
    そして、実際は現代の奴隷は過去の奴隷とおなじくらい・・・もしくはもっと悲惨な目にあっていると言えると書いてあります。
    それでも人として生まれた者は誰もが自由である。奴隷であっても。
    とある。

    それなら「自由」って何?
    誰からも何からも制限されず、自分の望むことを何でも好きなようにすること?
    自由な時間のこと?
    自由な心をもっていること?
    物や自然、他人からの束縛を受けない人間のこと?

    そういった疑問をひとつひとつ、分かりやすく読み解いて、そして自分の頭で考える本です。

  • 『10代の哲学さんぽ』シリーズと言うとおり、かの有名な哲学者たちのことばを知ることができる。

  • サブタイトルに「哲学」という言葉があるように、なかなか抽象的な繰り返しが多く、子どもの視点で見るとちょっと入りにくさを感じた。
    ただ、引用で使われている哲学者の言葉の中には大変印象に残るものもあり、その言葉と出会えた価値は大きかったと思う。

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