- Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
- / ISBN・EAN: 9784267012105
感想・レビュー・書評
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ベートーヴェンの生涯を軸にして進む、二人の人物の音楽の物語。
一人はウィーン生まれの貴族のフランツ。父親に「"ルードウィヒ"という名前の奴は、お前の母親の仇」と教え込まれ、その名のついたものはすべて憎むようになる。
一人はドイツ古典派音楽家ルードウィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。
数年後、二人は出会い、事あるごとに因縁を重ねていく。…という話。
本書は『コミックトム』(潮出版社)に連載され、作者の死去により未完となった。
手塚氏は音楽好きで、ピアノを弾くのもプロ並みの腕を持っていた。仕事部屋にはピアノを置き、時々気分転換に弾いていたらしい。
(ネットより部分的に引用)
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フランス革命の描写あり、ルイ16世、マリー・アントワネット、ヨーゼフ2世、モーツァルト、ハイドンといった歴史上の人物の登場あり。
歴史的背景が載っているので、興味深く読めて楽しい。さすが手塚治虫さん!すごいなぁー。
モーツァルトの登場では、映画「アマデウス」が思い出され、観たくなる。
また"音楽"を"絵"で表現するのがすごいなと思った。音が伝わってくる感じ。
音符や鍵盤が踊って弾んでうねって飛び出てくるような、自然界が動き出すような…(私の表現力では伝えられない^^;)。
本書でのベートーヴェンは20代前半までで、これから名曲が生まれる、といったところで未完となってしまった。
私はピアノソナタ「悲愴」が好きなのだが、手塚氏ならどのように描いただろうか。残念でならない。想像するしかない。
小さなベートーヴェンが可愛かった。
また遊び心のある描写も良い。例えばこの時代はビデオカメラなんてないのに、「召使いが録画した。(ご覧ください)」と、映画のコマのような絵で話が進行するページがあり、読者を飽きさせない。
手塚氏自身による絵エッセイや、漫画家萩尾望都さんによる解説も載っていて嬉しい。
【初めて知ったこと】
・モーツァルトはピアノのペダルを踏まなかった→演奏はコロコロと弾力的で軽快だった。
・ベートーヴェンはペダルを多用した→ズシーンと響く効果を狙った。
(※当時ペダルは音を濁すものとされたので、皆を驚かせた)
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内容紹介(amazon)
手塚治虫が描く、ベートーベンの波乱の生涯耳にハンデをもちながらも、音楽の才能を開花させるルードウィヒ・B。不幸な生い立ちからルードウィヒを憎む貴族・フランツ。2人の交差する運命とは!? -
続きが読みたい…!
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ベートーヴェンの生涯をたどる伝記作品。最晩年の作、そして『グリンゴ』、『ネオ・ファウスト』と並ぶ未完の絶筆ながら、漫画における新しい取り組み(音楽の表現方法等)が成されていて、まるで若さが溢れているようです。「手塚先生、いつまでも成長していたんだな〜」と何だかしんみりきちゃいます。
個人的には、貴族フランツのどうしようもなく歪んだ心がユリシーズの出現によって今後どう変化していくのかが楽しみでした。