明日香さんの霊異記 (潮文庫)

著者 :
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267022401

作品紹介・あらすじ

謎を解くカギは日本最古の説話集「日本霊異記」にある。
奈良のとある神社で働く22 歳の明日香さん。身の回りで起こる不可思議な現象や謎を『日本霊異記』や地名の歴史と絡めて、カラスのケイカイさんと共に解いていく。短編全6 本。
美しい奈良の原風景と歴史が織りなす摩訶不思議な世界観を、「えんとつ町のプペル」「蔦屋」などでおなじみの六七質氏の装丁画で表現!解説には池上冬樹氏。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに高樹さんの作品を読んだのだが、こんな元気なヒロインは初めて。高樹作品をそれほど読んでいるわけではないので実際のところは分からないが、解説にも新鮮な作品のようなことを書いてあったのでやはり珍しいタイプなのだろう。

    奈良の薬師寺で働く明日香は地名オタクで説話集の『霊異記』が愛読書、さらに懐いているカラスに編纂者の景戒の名を付けるほどハマっている。
    そんな明日香に次々奇妙な事件が起こる…。

    『母は殺された』という不穏な絵馬、『日本霊異記』に奇妙な書き込みを残して失踪した少女、落雷事故で父を亡くした少女の奇怪な言動などなど。
    まるで『霊異記』をなぞるような展開だったり、ヒントを与えるかのようなカラスの動きだったりにワクワクしたりドキドキしたり。
    読み進めるとオカルトテイストだったりファンタジーだったり、はたまた合理的なドラマだったりと様々な味わいがある。

    設定は面白いし、地名に関する雑学も楽しめた。テーマになっている『霊異記』にも興味が湧く。ただしこちらはかなりの長編らしいので読むには相当気合いが要りそうだが。
    ただ個人的にはどうもこのヒロイン明日香の騒々しさに付いていけなかった。
    彼氏はよく付き合えるなぁと感心する。
    ラノベっぽいキャラクターなのだが、内容は高樹さんらしい生々しさも挟まれ、やはりラノベではない。
    ヒロインがもう少し落ち着きのあるキャラクターなら良かった。

  • 奈良の飛鳥寺にお参りに行く前にと読み始めました。

    奈良を舞台に、薬師寺に勤める主人公、明日香が日常に起こる怪異を『日本霊異記(平安時代初期に書かれた善悪の応報を説いた仏教説話集)』をもとに紐解いていく謎解き短編集。
    地名の由来や方位などが事件と絡み合い、奈良の地図を片手に読みたい本です。
    文中で「まるでオカルトみたいな話が100以上も入っていて、竹崎真美の漫画を見ている気分だ。一つ一つが短いだけでなく、それぞれに事件が起きた地名や場所が最初に記されているのが面白い。」と書かれる『日本霊異記』そのものも読みたくなります‼️

  • 奈良、薬師寺に勤める女性が主人公で、不可解な出来事の謎解きをしていくという歴史ミステリー好きとしてはわくわくする設定。日本霊異記に謎解きの鍵があるというのも面白いのだが、主人公のバックグラウンドに物語性が強いためか、短編形式で話の移り変わりが早いからか、あまり読んでいても埋没できなかった。情報が多すぎて感情移入しにくかったので、一冊かけて一つの謎を解く、という感じだったら面白かったのかなとも思う。

  • 2022年10月25日購入。

  • 想像以上にオカルト寄りで知識のない私は全くこの物語の世界に入り込めませんでした。
    知識のあるかたは楽しめるかと思います。
    難しい言葉も多い。

  • 20201020

  • 思ってたよりもオカルト?寄りだった。ちょっとこじつけのようなところもあるけど、馴染みのある奈良が舞台でそこそこ楽しめた。

  • 『日本霊異記』が愛読書で地名オタクの明日香さん。奈良を舞台に、現代に起こった不思議な出来事を千二百年前に起こった出来事と重ねて、その謎を解く。『日本霊異記』のことも少し知れて、筋書きとしては面白かった。が、オカルト寄りになったり、恋愛も絡めてライトな感じ。主人公が同じ若い女性でも、北村薫の『空飛ぶ馬』シリーズの「私」とは全然違う。そこが私の好みと異なり、ちょっと残念。せっかく筋書きが面白いのにもったいない気がした。

  • ちょうど奈良に興味を持っていたので面白かった。
    話によって好きな話とそうでないものと少し差はあるけれど。


  • 着想、古都の雰囲気は面白い。

    22歳の主人公をみずみずしく描いた、という帯を想定していたのだろう。ミステリーながら結末やロジックは軽くし主人公ばかり語る作風からも、そこに重点が置かれていたのがわかる。ライトノベル的な読みもののようだ。
    しかし文章やカタカナ言葉の使い方、キャラクターの語彙や世界観も、(単行本が出版された2014年の時点でさえ)無理して若作りをしようとしている印象が強い。時代設定を20年ほど前倒すか、または主人公や相手役が40代~50代で同じ筋書きだったら違和感がなかったかもしれない。

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著者プロフィール

作家
1946年山口県生まれ。80年「その細き道」で作家デビュー。84年「光抱く友よ」で芥川賞、94年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、95年『水脈』で女流文学賞、99年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨、10年「トモスイ」で川端康成文学賞。『小説伊勢物語 業平』で20年泉鏡花文学賞、21年毎日芸術賞。著作は多数。17年、日本芸術院会員、18年、文化功労者。

「2023年 『小町はどんな女(ひと)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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