主婦 悦子さんの予期せぬ日々 (潮文庫)

著者 :
  • 潮出版社
3.60
  • (4)
  • (13)
  • (11)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 137
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267023910

作品紹介・あらすじ

のんびりした老後を夢見る59 歳の主婦・悦子。
ところが、定年間近の夫とのビミョーな関係、就職しない息子、
シングルマザーとして生きようとする娘、
さらに、80代の母は恋…!? と次々に想定外の出来事が。
平凡な家庭に巻き起こる波乱の日々は、深刻なのに、なぜか笑えて、心にしみる。
スッキリ痛快な家族小説!

「ニヤニヤ笑いがとまらない。まるでテレビのホームドラマを見ているような気分だ」
――解説は池上冬樹氏(文芸評論家)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 15)久田 恵さん(ノンフィクション作家) | 別冊!月刊新松戸(2015年4月1日)
    http://www.shinmatsudo.info/2015/04/5058/

    「家族がいてもいなくても」連載500回記念 久田恵さんインタビュー 子連れでサーカスの賄い係にも 「めちゃくちゃだけど、そのときには理屈があるのよ」 - 産経ニュース(2017/6/1 07:12)
    https://www.sankei.com/article/20170601-TODYREYOT5I4NGNC4BBH6QBE4M/

    「ガマンしない、決めないのがいい。自由を求めて施設の暮らしを選びました。」(ノンフィクション作家・久田恵さん) | くらしにいいこと | クロワッサン オンライン(2022年09月17日)
    https://croissant-online.jp/life/173419/

    【潮文庫】主婦 悦子さんの予期せぬ日々 | 潮出版社
    https://www.usio.co.jp/books/ushio_bunko/24842
    (単行本)
    https://www.usio.co.jp/books/paperback/1990

  • あとがきで「心温まる家族小説」と紹介されているが、まさにそうで、喜劇を見ているようで楽しく読み進められた。家族といっても、性格も考え方もばらばらの個人の集まりであり、お互いを気遣ったり心配したりくよくよ悩んだりと忙しいが、結局人生思いもよらぬ方向に進むのだからどんと構えているのが良い、という話で前向きな気持ちにさせられた。こうした日常生活に根ざした話がやはり好きだなぁと改めて実感した。

  • 家族のドタバタ劇が期待以上に面白かった。
    母は子供や自分の祖母や弟の、祖母は娘や孫の。孫は夫や婚家や実家の。
    みんな誰かの家族を巻き込み巻き込まれ、家族って本当に濃くて面倒だなーと思うが、その顔がニヤニヤしてしまう。

    娘は母とやり合って、母を一度ボロ雑巾のようにするものだというくだりと、
    男って必要なことも家族に話さないというくだりに深く同意。

    自分の家族を顧みて、私も我が家のドタバタの主役の1人じゃん!と気づく。ドタバタを初めて前向きに捉えられた気がする。
    年末年始恒例の、義理実家・我が家が、義理姉一家に振り回される件がなんだか楽しみになってきた?!

  • 悦子さんだけでなく、登場人物全てがホームドラマのようなくせがあるが実は良い人ばかり。
    おかげで楽しく読めました。
    自分の家族も他から見たらこんな感じかもと思うと少し気が楽になる。
    自己肯定には良い本。
    初出は少し前だが、今でも十分楽しめます。

  • 気楽に、しかもあっという間に読めた。
    タイトルの主婦悦子さんが主役だけれど悦子さんの母、妙さん(80歳)の視点でも話が進むのでダブル主役?みたいな感じ。私の年齢的には悦子さんに近いけど共感したのは妙さんの物事の捉え方。彼氏に急に抱き締められても慌てつつも冷静な考え方。その妙さんの彼氏、秀二さんの助言「他者の課題を背負ってはならない、事態を混乱させるだけだから」も深く首肯。波乱の家族模様もひとまず明るい未来へ展開するが悦子さんのバリキャリ友達が抱えている事情のカミングアウトをラストに持っていくこととその設定が古いと思った。
    そもそも悦子さん、働く59歳かと思って手にした私でした。。。

  • ドタバタ劇。
    この本を読んで思ったことは、
    人の気持ちは本人にしかわからないなということ。
    発した言葉でわかることもあるけれど、
    すべてを話すとは限らないし、
    相手によって伝えることも変わるということ。

    わかってはいたけれど、
    現実世界でどこまでそれを意識できているだろう。
    言葉は大切だけれど、
    言葉にのみ頼るのは危ういかもしれない。
    そんなことを考えた一冊だった。

  • 「面白かった!」というのが素直な最初の感想。初めての作家さんだったし、失礼な言い方をすれば「あまり期待していなかった」だけに余計に楽しめたように思う(変な期待を抱いてガッカリということがないので)。まあ、ツッコむとすればタイトルと違うよね!っていう。タイトルからは「悦子さん」に何かあったのかと読み取れるけれど、どちらかと言えば母、弟、夫、娘、息子と周りの人に様々な出来事が起きて、「悦子さんが予期できないような日々」が展開されている・・・むしろ、悦子さんは蚊帳の外っていう(笑)まあ、ある意味それも予期せぬ日々なのか・・・。楽しく読み終えたのをなんやかと説明されたくなかったので解説までは読みませんでした(すみません)。

  • 久しぶりの面白いなーと思える一冊。
    もう少し若いとまた違ったかもしれないけど、悦子さんに近い年代にはわかるわかるって部分も多かった。
    まぁなかなかこんなドタバタが一度に来るような家は無いだろうけど。
    先が見えず雲の中にいるような時も、どこから新しい風が吹いて雲を吹き飛ばしてくれるか、雲から出たら思いもしない所だったりとか、人生ってまだまだわからないもんだなーと思いました。
    ちょっと疲れた時に読むとふふって気分になりそう。

  • よみやすかった〜

  • 小説は久しぶりだった。小説は読みやすいかそうでないかが顕著に表れる。書き手の傾向とか読み手の読解力にも関係する。この小説について言えば前者!非常に読みやすかった。疾走するように読めた。面白い2時間ドラマのようだった。読んでいて情景が浮かぶ。主人公のキャラクターに負うところもあるが、やはり作者の力量だろう。主人公は59歳の主婦「悦子」さんを中心に、定年間近の夫65歳、シングルマザーの娘、バラサイトの息子の4人家族。ほかに一人暮らしの老母に年下の恋人、最近離婚してきた57歳の弟が織りなす物語だ。
    普通の家庭、どこにでもいるような家族に訪れるリアルな波乱の日々、深刻なのになぜか笑える「こういうことってあるよね」と感情移入しやすいことも多い。でも心に染み入る話だった。
    「悦子」さんは先走りしやすく自分が正しいと思うことを家族に押し付けるきらいがある。例えば娘の結婚相手を「年下だから、大卒でないから、何より定職についてないから」と反対する。それは自分の娘が不幸な目に会わないようにと親心な訳で、彼女の経験値からも失敗している事例を多く見ている、そんな覚悟の上からだ。そのへんは自分も親として理解はできる。たが彼女は真っ向否定から入る。そうなると娘もだまっていない「ママの考えって最低、人を学歴や年齢、職種で判断するわけ?俗物すぎる、軽蔑しちゃう、人としてどうよ」と反論され、以後絶交状態に入る。結果的には別の理由で娘は離婚しシングルマザーになるのだか、反対にそれを乗り越え、たくましく生きることになる。人生はわからないものだ。人生はなるようにしかならない。計算しても計画しても予期せぬ出来事が起きる。憧れや羨むような他人の人生もその人の真実は知り得ない。人生誰しも起伏の中で生きている。波風のない人生ってあるのだろうか。生きて行けば何かしら抵抗がある。それを前提で生きていかないと自分で悩みを拡大してしまう。ムダな悩みを再生産してしまう。悩みのスパイラルから抜け出せなくなる。先ずは何が起きても受け入れる。起きるすべてのことは人生の彩りと考える。すべてはここから始まるのだろう。考えても、求めても人生に正解はない、子育てにも正解はない。正解を求めることや「こうあるべき」の思考は自分を苦しめる。どうあがいたって人生は予測不能、想定外な方向に展開するものだ。悦子さんは最後に気づく。彼女にはなんでも相談したり愚痴を聞いてもらっていた唯一の親友がいた。聡明で理知的で合理的、常に将来を計画的に生きて来た憧れの存在だった彼女。その彼女と数ヶ月も連絡が取れなくなったのだ。悦子は思う「彼女に愚痴をたれ流し何でも聞いてもらっていたがついに嫌われたのだ」狼狽する悦子。なんとか転居先を探しあて謝罪に向かう。しかし彼女にも事情があった。予期せぬ出来事からうつ状態に陥り悦子からの電話も取れるような状態ではなかった。悦子は彼女の人生にも当たり前に波瀾があるなどとは考えても見なかった。ただ自分の事情だけを優先させていたことを恥じた。人生はすべて想定外、それは誰の人生も同じ、その時に『たじろがない』ことを親友と確認し合うのだった。

    還暦を迎える人、またすでに迎えた人にも共感できる内容だった。あ〜人生を達観するのは難しい。
    もしこの小説をドラマ化するなら「悦子」さんはぜひ『天海祐希』でキャスティングして欲しい。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年生まれ。ノンフィクション作家。『フイリッピーナを愛した男たち』(文藝春秋)で第21回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。主な著書に『母のいる場所――シルバーヴィラ向山物語』(文藝春秋)、『シクスティーズの日々』(朝日新聞社)、など。両親の介護歴20年。現在、花げし舎を主宰し、編集&取材チームを率いている。

「2018年 『100歳時代の新しい介護哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

久田恵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×