刑務所しか居場所がない人たち : 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話

著者 :
  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272330935

感想・レビュー・書評

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  • 今の刑務所が高齢者施設、福祉施設と化していることがすごく分かりやすく書かれていました。勉強になった。
    結局身寄りもなく、職もなく、金もなく、さらには知的にも障害があったら犯罪をして刑務所に入って自身の生活を保護してもらうしかないってことなんですよね。外の世界に行ったって誰も助けてくれない、助けの求め方が分からないんだもの。
    幼少期から親がなんらかの福祉に繋ごうと考えたり、本人の特性を活かせる生き方を提示してあげたら何か変わるのかしら。
    でもそういうのって親も親で支援を必要としていることが多いような気もするし。でも支援の手は届ききらないんだよね。
    こういう人達を切り捨てればいーじゃーん排除したらいーじゃーんとか思いがちだけど、著者の言うとおり適材適所で働けば社会のためにもなるんだよね。難しいね。

  • 子供の頃住んでいた場所が「変な人」「不審者」の多い地域で、親から言われてきたことを思い出した。
    自分が親だったらこどもにはなんていうだろう…

  • 読了。ケーキの切れない非行少年たち」を読んで、犯罪を犯してしまう社会的弱者の問題に興味を持ったので、似たテーマの本(別の著者のもの)が読みたいと思っていた。
    前々からニュースで「親の遺体を家に放置していた」という事件の話が出るたびに「単にどうして良いのか分からなかったのでは?相談する相手も分からなかったのでは?」と思っていたのだけれど、全くそのままの案件が載っていた。

  • 生きるために万引きして刑務所に何度も入る人がいることは知っていたが、それが障害者もだとは思わなかった。
    悪くない人を食い物にする人は地獄でちゃんと裁かれてほしい。
    犯罪者を生むのは環境であり社会だなあと思う。

  • 下記の本に、「ある受刑者がつくった川柳を一句」として、
    いつまでも 待つわと言いし 我が妻の 文も途絶えて 半年経ちけり
    とあった。川柳は五七五でしょ?自由律でも、五七五七七(八)はありませんよね?これだと“一句”じゃなくて、上の句、下の句の2句だし。

      
    刑務所しか居場所がない人たち
    ~学校では教えてくれない、障害と犯罪の話~

    著者:山本譲司
    2018年5月15日
    大月書店


    殺人事件の認知件数(警察が事件だと確認した数、未遂も含む)は、ここ60年くらいずっと減少傾向で、2017年は920件。10年前に比べて270件も少ない。しかも、2004年以降、半分は家族など身内による犯行で、最近では老老介護の果てにという事案も多い。

    刑務所内にいくつもある工場の中で異質なところがある。「寮内工場」で、刑務所によって「養護工場」「観察工場」とも言う。知的障害者や精神障害者、認知商の高齢者や、耳や目、手足に障害がある人・・・たちが集められている。他の受刑者からは“塀の中の掃き溜め”なんて、ひどいことを言われている。

    心神喪失者の行為は罰せられない、心神耗弱者の行為は刑が軽くなる。これに対して憤る人は多いが、実際にそうなるのはごく一部。2016年に裁判にかけられてから心神喪失が認められ、無罪になった被告人は5人。心神喪失や心神耗弱で不起訴になった人は、不起訴になった人のうちの0.3%。

    障害者福祉の基本である手帳は3種類。「身体障害者手帳」「精神障害者手帳」「療育手帳」。知的障害のある人に発行される療育手帳には課題山積で、自治体により名称が違う。愛の手帳(東京)、緑の手帳(埼玉県)、愛護手帳(名古屋)。判定基準もバラバラ。

    知的障害があるのに療育手帳をもらえない人が大変多く、日本は障害者の人数が異様に少ないことに。全人口の7.4%。WHOと世界銀行は世界人口の15%になんらかの障害があるとしている。

    日本の福祉政策は、障害が重い人ほど多くの予算を割り当て、軽度の人はほとんどほったらかし。

    刑事罰は仇討ちのためでなく、社会の秩序を守るためのもの。もし憎しみの度合いによって刑事罰を決めたら、“目には目を、歯には歯を”のように報復連鎖社会となり、法治国家ではなくなる。

  • 刑務所には実は多くの知的障碍者がおり、その実態は多くの人が知らない。

    世の中の見えていない部分にこんなことがあるんだというのはとても衝撃的でした。

    言葉にして説明するのは難しいですが色々と考えさせられる内容です。

  • 11月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311486924

  • 全然知らなかった。

  • 978-4-272-33093-5
    C0036\150E

    刑務所しか居場所が無い人たち
    学校では教えてくれない、生涯と犯罪の話

    著者:山本譲司(やまもと じょうじ)
    2018年5月15日 第1刷発行
    発行所:株式会社大月書店
    ------------------------------
    もくじ
    序章 僕は刑務所を誤解していた

     1 シャバに出るのが怖い
    1 刑務所に居るのはどんな人?
    2 受刑者の10人に2人は知的障碍者
    3「ぶっそうなご時世」っていうけれど
    4 「るいはん障害者」ってだれのこと?
    5 障害があるから罪を犯すわけじゃない
    6 塀の中だって高齢化
    7 刑務所が福祉施設になっちゃった
    8 刑務官の子守唄
    9 家族は居るの?
    10 刑務所を出ても、行くあてがない
     2 司法は僕らを守ってくれないの?
    1 その「調書」、ウソだって気づいて裁判官!
    2 「責任能力」ってなんだろう
    3 弁護士だって仕事を選ぶ
    4 医療刑務所は高根の花
    5 法務省も満期出所後は追えない
     3 とても優しくて、少し鈍感な福祉の世界
    1「障碍者手帳」は福祉のパスポート
    2 障害があるのに「障碍者」と認めてもらえない
    3 軽度の障碍者だけじゃ福祉施設は運営できない
    4 障碍者の「自立」は誰のため
    5「福祉の刑務所化」がこわい
     4 「不審者は無視」じゃ安心な社会は築けない
    1 その「善意」がだれかを排除する
    2 必要なものだけど、私の近くには作らないで。
    3 刑務所は贅沢?
    4 被害者の気持ちはどうなるの?
    5 障碍者ってどんな人
    6 障害のある人に、どう接する?
     5 彼らを排除しなければ、自分も排除されない
    1 走り出した刑務所改革
    2 出所後の再スタートを支える「出口支援」
    3 障害者手帳が無くても困らない
    4 刑務所以外の行き先を探す
    5 「協力雇用主」は増えたけど
    6 「支援」と「役割」で人は変わる
    参考文献

    -----------------------------
    この作者さん 元議員さんです。
    で、Cコードを見ると00ですからこの書籍の内容は一般向けであって児童向けではないし専門書でもありません。普通(普通の定義は難しい判断ではありましょうけれど)児童とは就学前までとする場合と民法では20歳未満の者とされています。Cコードの児童は何歳までなのかはわかりませんが、私が読んでいてたぶん小学校の図書室にある感じの本だなって思いました。

    大人向けの言葉ではなく、問いかけ等が多用され(大人の)僕は知らなかったけれどこんなことになっていたよ。君は知っているのかい?それってどう思う?って感じで、多感で正義感ある子どもに向けて書かれているような気がした。洗脳というか思い込まされなきゃいいなと感じもした。内容は事実であるだろうけれどショッキングでもあるから。

    その割に「障害」、「障害者」という表記がなされ、「障碍」「障碍者」という表記は見当たらない。
    また、障がいのある受刑者や出所者たちの目線でもなく、健常者の僕がという(それは紛れも無い事実ではあるし、障がい者になれるはずもないけれど)何となく上からの気配が感じられた。また、被害者となった人たちのことはほぼ書かれていない。
    相手(加害者)が障がい者で、収入も身寄りもないとなれば損害を被ってもそれっきりなのか?
    それであれば、かわいそうだけれど正直身の回りに居て欲しくないな。とも思う。
    作者さんはだからこそ障がいのある人も自分を生かせる環境にって事なんだろうけど、それも大切だけれど健常者も自分を生かせる環境を見つけたいわけです。

    事実として、高齢者で身寄りもなく、交友関係も無い人は刑務所の外にもあふれていて、中には結構アブナイ人も少なくないです。それを言うなら痴呆の人も一部の精神的な病の人も責任能力の点において怪しいです。刑務所の中か外かの問題以前の事では?障碍者であれば犯罪も無罪放免、収めたこともない税金でそれなりに暮らせるってのもいかがなものか・・。


    いつの時代も、どんな場面でもしわ寄せは一番弱いところにある気がしました。
    現場の刑務官が一番つらいだろうな。

  • 日本社会が見えてくる内容です。平易な表現でわかりやすく書かれています。多くの人に読んでもらいたい!

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著者プロフィール

1962年生まれ、元衆議院議員。2000年に秘書給与詐取事件で逮捕、実刑判決を受け栃木県黒羽刑務所に服役。刑務所内での体験をもとに『獄窓記』(ポプラ社)、『累犯障害者』(新潮社)を著し、障害を持つ入所者の問題を社会に提起。NPO法人ライフサポートネットワーク理事長として現在も出所者の就労支援、講演などによる啓発に取り組む。2012年に『覚醒』(上下、光文社)で作家デビュー。近刊に『エンディングノート』(光文社)。

「2018年 『刑務所しか居場所がない人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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