子どものこころとことばの育ち (子育てと健康シリーズ) (子育てと健康シリーズ 20)

著者 :
  • 大月書店
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本棚登録 : 53
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272403202

感想・レビュー・書評

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  • 著者は言語聴覚士の方で、この本は主に子どもの言葉の遅れを心配している人に向けて書かれているが、一般的に子どもがどうやって言葉を獲得していくのかについてわかりやすく書かれており、対応の仕方なども保育士として参考になるところが多かった。

    いいな、と思った言葉や、参考になるところを抜き書き。

    There are no mistakes. There are only lessons.
    失敗というものはない。あるのは学びだけだ。(27)

    なにかができるようにしてあげよう、なにか能力をつけてあげようと努力する過程を、大人と子どもが共有していく。結果的には、そのことができるようにならないかもしれないけれども、できるようにしてあげようと思っている大人といっしょにいるこの時間自体がうれしい、そういう時間を共有すること(29)

    大脳辺縁系のなかには、海馬といわれる記憶をつかさどっている場所があり、おもしろいと思うときには、海馬のはたらきが高まる。記憶は引き出しのようなものなので、おもしろいと思うときには、その引き出しがすべりがよくなり、いっぱいに引き出される。そこにべんきょうしたことをしまって閉めればらいしゅうになってもちゃんと覚えていられる。(40)

    乳幼児健診は検索し診断する検診ではなく、健やかさを診査する健診(55)

    テレビなどの音が常にバックに流れていることによって聞く、集中するというはたらきが育ちそこなう可能性がある。脳のなかの電線のある場所には切り替えスイッチがあり、自分が興味をもつ音が入ってきたらスイッチをいれて脳まで送り届け、興味のない音はスイッチを切っている。(59)

    ことばの遅い子や集中力の乏しい子に対しては、遠くから大きな声で何回も声をかけるより、近づいて耳元で「○○ちゃん、今からなになにするよ」と話してあげるほうがわかりやすい。(62)

    「ほら見てごらん」と言って子どもの注意をこちらに向けさせ」ほらバナナだよ」と教えるより、子どもが見ているものについて話してあげるほうがいい。(65)

    触覚の働きに「防衛系」のものがあり、子どもによってはそのスイッチが常にオンの状態になっているような子がいると考えられる。だから何が触ってもびくっとしてしまう。(82)

    感覚統合(85)

    世の中の大半の人はまだまだ「ことばが遅ければことばを教えればいい」と単純に思っている(92)

    障害や発達の遅れやその心配があるとしても、「大丈夫、みんなでやっていこう」と言ってくれるのが、ほんとうの文明社会なのだと思う(93)

    どんな子であれ、どんな親であれ「責めない」ことが原則。
    「上手でない」お母さんも、とても育てやすい、発達の早い子を持っていたら、とてもじょうずな子育てができていたかもしれない(107)

    親の接し方にいろいろな欠点があるとしても、それを正面から直すようにと指摘するのではなく、そのなかで「よりよい方向」を探し出し、実行可能なことを見つけ、具体的なアドバイスをする。(108)

    発達の遅れがあろうとなかろうと、子どもを評価の目でみない。
    「今」「ここ」にいることそれ自体を楽しむ態度が必要(127)

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著者プロフィール

◎中川信子 なかがわ・のぶこ
言語聴覚士、子どもの発達支援を考えるSTの会代表
東京大学教育学部教育心理学科卒業。国立聴力言語障害センター附属聴能言語専門職員養成所卒業。旭出学園教育研究所、神奈川県総合リハビリテーションセンター、調布市総合福祉センターなどを経て、現在は東京都狛江市特別支援巡回専門家チームスーパーバイザー。子どものことばの育ちの支援と保護者支援にとりくんできた。
ホームページ:中川信子 そらとも広場 http://www.soratomo.jp/
おもな著書に、『Q&Aで考える保護者支援』(学苑社、2018年)、『発達障害の子を育てる親の気持ちと向き合う(ハンディシリーズ発達障害支援・特別支援教育ナビ)』(編著、金子書房、2017年)、『発達障害とことばの相談(小学館101新書)』(小学館、2009年)、『ことばの遅れのすべてがわかる本(健康ライブラリーイラスト版)』(監修、講談社、2006年)、『ことばをはぐくむ』(ぶどう社、1986年)など多数。

「2023年 『ことばの不自由な人をよく知る本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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