資本論 (4) (国民文庫)

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272802548

感想・レビュー・書評

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  •  マルクスが遺した草稿をもとに、エンゲルスが長年かけて書き上げたものが本書である。(この巻以降も同様に)第二巻では、資本の流通過程に焦点を当てて、なかでも固定資本と流通資本の特徴を徹底的に考察する。この巻からエンゲルスが書いたためか、マルクスのように遠回しの表現が排され、役所の文書のごとく、淡々とした文体となっている反面、読んでいるうちに何か物足りたい感じ、退屈な監視である。同じ『資本論』だが、別物といっていいくらい雰囲気が異なる。

  • 前半は貨幣資本、生産資本、商品資本それぞれの循環の考察。後半は資本の回転期間の考察。

    商品資本の循環は他の資本の循環と区別されなければならない。商品資本の循環は始点において剰余価値を含んでいること、他の個別資本の商品資本の存在を前提していることが挙げられる。前者によって、単純再生産、拡大再生産が考察され、後者によって社会的総資本を考察する契機を与えられる。単純再生産、拡大再生産の選択は資本家に委ねられているが、禁欲の精神が後者を選択する資本家を増やしたことはマックスウェーバーが指摘している通り。

    蓄蔵貨幣など資本の回転に直接関与しないが必要な資本を潜熱に倣って潜勢的貨幣資本という。ここで私の見解を述べると各価値形態は固体液体気体に例えることができ、相転移にエネルギーを必要とすることから、価値形態の転移においてもそれに対応する資本を要する。貨幣や簿記などは直接価値を付け加えない空費であるが、流通においては必要不可欠である。

    資本の回転に関連して固定資本と流動資本の考察が展開されるが、はっきり言って冗長な気がする。この辺りは結構なページを割いて説明しているが、固定資本、流動資本の説明だけなら1/3程度で理解できる。残り2/3はアダムスミス、リカード批判で流通資本と流動資本の混同、生産物の物理的属性による区分の批判など。マルクスの主張によれば生産物に価値を付け加える頻度による区分が正しい。

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