【文庫】 死刑台の微笑 (文芸社文庫 あ 3-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784286158303

感想・レビュー・書評

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  • 4人を殺害した3人の少年の裁判。一審判決は1人が死刑、残る2人は無期懲役。判決に納得できない被害者家族、一人娘を殺された母親、弟を殺害された姉が復讐を試みる。控訴審判決は3人とも死刑。そして上告する加害者、弁護士、支援者たち。終盤は何度も話がひっくり返るが、勧善懲悪的な感じでスッキリ。

  • 「死刑は命を奪われるからではなく、一切の希望を強制的に断たれるから究極の刑になるのではないか」

    殺害に至るまでの描写が生々しく、残虐極まりない。
    狡猾に責任を押しつけ合う加害者達に同情の余地なく、未成年といえども凶悪犯であることに変わりはない。

    どう足掻いても消えてしまった命は元には戻らないのだから、せめて真実を知りたい、そして極刑を望む被害者遺族の想いと、
    法律(少年法、死刑制度)や人権派弁護士そして支援団体が立ちはだかる理不尽な壁。

    「少年犯罪の遺族に救いはないのか」

    社会や法律は決して弱者だけを守ってくれはしない。

  • 4人も殺しておいて少年法に守られてる。
    少年法なんているのか?
    完全なる悪意で人を殺したのなら
    年齢関係なく実名で報道するべき。
    少年法で守ったって被害者が増えるだけ。
    3人とも死刑判決が決まってよかった。

  • 三人の少年によって、四人の人間が殺される。前半は、その裁判の場面で、それぞれの立場から同じ殺人事件の詳細が語られるのが、残虐な上、くどく感じられた。後半でいろんな人物の関係が明かされていくのも、あまりに出来すぎてる感があり、前に読んだ「死の臓器」が面白かっただけに残念だった。

  • 裁判シーンのくどいまでのリアリティに比べると復讐パートのフィクション感は否めませんが、個人的にはスッキリできて面白かったです。

  • 1人娘がいる母親としては他人事とは思えなかった。


    本当に裁判を傍聴しているかのような気になる程細かく描かれていて、この裁判を母親はどんな気持ちで傍聴していたのかと思うと腸が煮えくりかえる。


    内容が重くて中々ページをめくる手が進みませんでした。


    終盤が一気にB級映画かって展開だったので残念。

  • 重いけれども読み応えある作品。最後は溜飲が下がったし、伏線の回収も見事でありました
    しかし、物語の舞台が怖いくらい私の地元。リアルな地元感。なんなら記憶になかったことまで呼び覚まされた。本ってほんとうにすごい、こわい、私は元気に生きててよかった(感想が意味不明)

  •  3人の少年によって、自らの娘とその恋人を惨殺された小宮清子は、地裁での意見陳述に全てをぶつけた。他にも人を殺していた3人に、検察も極刑を求めたが、結果は1人だけが死刑であとの2人は無期懲役という納得のいかないものだった。弁護側、そして検察側もこれを不服としたため、控訴審が行われることになったが、清子も自ら犯人達の周辺を調査することにした。

     裁判所でのやりとりが物語の大部分を占めていたが、これがちょっと冗長すぎる気がした。少年達の行動や態度は、当時幼かったというだけで決して許されるものではなく、清子の心情は理解できるが、そもそも被害者の母親がここまで彼らの周辺で彼らについて調べることができている状況にリアリティが薄れている。本来ならもっと、腹立たしい程に少年法が立ちはだかるのではないだろうか。

  • そういう結末になるとは全く想定外だったなぁ。加害者の家族が次々破滅していくのが 偶然ではなく 仕組まれたものだったとはねぇ。
    ほんと全く思いつかなかった。
    少年犯罪ものって 加害者家族が感じる理不尽さや 加害者少年やその家族へのやりきれない怒りに焦点がいくか または被害者家族からの復讐としての殺人になるかが多いように思うけど こういう復讐もあるのね…。ある意味すごい完全犯罪だね。しかも最終目的であろう死刑へとちゃんと導いてる。
    この行為を 良い悪いと線引きすることは わたしにはできないけど 理解はできる。コワイけど。
    不思議なタイトルだと思ってたけど 最後まで読んで なんとなくタイトルの意味がわかったような…。

  • 残忍な殺害方法で4人もの命を奪い、法廷でも全く反省の色を見せず、仲間への罪のなすりつけや見せかけだけの反省の言葉を並べる少年たち。被害者遺族は、そんな彼らを裁判傍聴で目の当たりにし、怒り、彼らの過去や生い立ちに迫り、加害者家族を巻き込んだ復讐劇を繰り広げていく。「少年法」や「死刑制度」とテーマは重いが、被害者遺族の怒りや苦しみが巧妙に描かれ、トントン拍子で復讐が進んでいくところは単純に読み物として面白かった。時系列が前後し読みづらい部分はあったが、プロローグからラストへの繋がりは溜飲が下がる思いがした。

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著者プロフィール

1950年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ブラジルへ移住。サンパウロのパウリスタ新聞社勤務を経て、1978年帰国。高橋幸春名義でノンフィクションを執筆。1987年、『カリブ海の「楽園」』で第6回潮ノンフィクション賞受賞。1991年、『蒼氓の大地』で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。麻野涼名義で、社会問題をテーマにした骨太の小説を次々、発表。  著書に、高橋幸春名義で…『死刑判決は「シルエット・ロマンス」を聴きながら』(林眞須美 著、長冨俊和との共編、講談社、2006年)『日本一のわたしの母へ涙でありがとう』(東林出版社、1998年)『日系人その移民の歴史』(三一新書、1997年)『愛が引き裂かれたとき』(石飛仁との共著、解放出版社、1996年)『車椅子の挑戦者たち』(東林出版社、1996年)『絶望の移民史』(毎日新聞社、1995年)『パウラちゃんのニッポン日記』(国土社、1995年)『悔恨の島ミンダナオ』(講談社、1994年)『蒼氓の大地』(講談社文庫、1994年)『日系ブラジル移民史』(三一書房、1993年)『ドミニカ移民は棄民だった』(今野敏彦との共編、明石書店、1993年)『行こか戻ろか出稼ぎジャポン』(講談社、1992年)『蒼氓の大地』(講談社、1990年)『カリブ海の楽園』(潮出版社、1987年)、麻野涼名義で…『GENERIC』(徳間書店、2007年)『闇の墓碑銘』(徳間書店、2006年)『国籍不明 上』『国籍不明 下』(講談社、2003年)『天皇の船』(文藝春秋、2000年)などがある。

「2007年 『満州「被差別部落」移民』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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