新・ラグジュアリー ――文化が生み出す経済 10の講義
- クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2022年3月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784295406631
感想・レビュー・書評
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読みやすいし、内容も興味深く読みましたが、ラグジュアリーといってもいろんな側面があってちょっと混乱しました。
私はブランドには興味がないし、ラグジュアリーなものやコトに縁遠い生活をしているので、内容は面白いけど「ふーん」という『右から左へ抜けてく』感覚でした。
そもそも日本は大衆品の品質が良いし安いので、ラグジュアリーに縁遠い人が多いと思います。無印とかも地方の工芸を発信しているしユニクロのサスティナビリティへの取り組みも素晴らしい。ユニクロでいいじゃない。日本であえてラグジュアリーを選ぶ理由ってそこまで多くないのでは。というモヤモヤがあります。
本書では文化盗用の章がいちばん興味深く「自分ごと」にできたかな。例えば海外で着物がブランドとして流行らないのは、着付けや季節のルールまで海外に広めるのは難しいから?だから結局観賞用や、素材の一部を洋服に使用するくらいに留まるのかなと思ったり。
海外でヘンテコな着物の着方をしている画像をXで見かけたら、日本の着物警察以外の人でも怒り狂いそうだよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラグジュアリーという言葉、ちょうどホテルについて調べる時にいわゆる外資系ホテルブランドランクでもラグジュアリーという言葉もあり、タイトルだけで買ってしまった本。新がつくように、旧来の贅沢やハイブランド、優雅、上品といったイメージのラグジュアリーでなく、ダイバーシティ、サスティナブル、クラフトマンシップといった人々の心に寄り添うような理想的な概念として新たに位置づけられていると感じました。新たな価値、多様な価値、付加価値をつけた広義の意味で、新たにラグジュアリーをの考え方を提示している。
ラグジュアリーのイメージはファッションに繫がるところがあるものの、10の講義といっているので、歴史や海外、日本、学問として、ビジネスとして、文化やさらに広がりのあるような著書の思い等も書かれておりり、この分野について、自分の中で考えを深める点では、素敵な本に出会えたなと思った。 -
ラグジュアリーが変わってきたと。ラグジュアリーの歴史を紐解き、これまでの、今の、彼らのデザイン、アクティビティを解説しながら、これからのラグジュアリーに言及。クチネリに代表される、今のラグジュアリー、日本のラグジュアリーブランドも紹介している。ハイブランドのエキシビジョンに行ったりすると、その歴史、手仕事に触れることができ、高い理由がわかるが、たしかにサスティナビリティにどのようにコミットしているかなども大事な要素だと思う。今のラグジュアリーの勉強におススメの一冊。
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ラグジュアリーの過去、現在をさらっと見る本。
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旧型のラグジュアリーから新しいラグジュアリーへの切り替えが起こっていることはわかったが、それが何かはよくわからなかった。サステナブルなどをつきつめていくとどれもこれもラグジュアリーとなる可能性は否定できないのでは、となるとラグジュアリーというカテゴリーが何なのかわからなくなる…
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本来あるべきラグジュアリーブランドのノーススター的なものが意識できた
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・ラグジュアリーの現在地が非常にわかりやすくまとまっている。2人の著者がアカデミックとビジネスの両面から紐解いていく展開のされ方で、多面的に捉えることができる良本。今年呼んだ中でかなり上位の読後感ある。
・宇宙産業まで話に含まれたのはかなり面白かった。たしかにあれこそ金持ちの道楽、みたいに移りがちだが、ラグジュアリーの定義に照らし合わせるとピタリとハマる。なるほど。(「誘惑的であること」「豊かさをあらわすものであること」「光り輝く(輝かせる)ものであること」それがラグジュアリー。)
・現代においては「ラグジュアリーブランドはより社会的責任を果たすべき」と考えられるトレンドになってきた。旧来型の(特に日本人においては古典的だがイメージに合うLVMH、ヴィトンのような「ブランドモノ」消費は、もはや現代のラグジュアリーのメインストリームではない。
・ITや技術の進化がいつまでも続きプロダクトの改良は進んだとしても、それを評価するのは最後は人間なので、人間側のレベルが上がる(人間性、社会、)必要がある。それで初めて高品質なコンテクストのもとにラグジュアリーがラグジュアリーたる状態になる。Cf.宇宙ビジネスはラグジュアリーになれるかどうか -
第1講 「新しいラグジュアリー」の時代は静かに始まっている
人文学初のビジネス
文化を作ることの王道・教えるコース
意味の変化
第2講 「旧型」のラグジュアリー
知的で秘儀的な存在への変容
20世紀・ラグジュアリーの意味の行進
第3講 新しいラグジュアリーと「意味の創造」
職人文化の再評価
アーツ・アンド・クラフツ
第4講 ラグジュアリーとロマン主義
ロマン主義
エレガンス=抵抗
本物と偽物
第5講 日本のラグジュアリー
鼎談 最先端から見える「ラグジュアリー」の向かう場所
第6講 「ラグジュアリーマネジメント」が教えるもの
アカデミックな研究対象
歴史と国際比較
第7講 文化盗用―文化的な植民地からの解放
奴隷制の歴史
異文化への感度
第8講 「アート」が持つ意味
ハイエンド企業とアート
アートの時代
第9講 サステナビリティをラグジュアリーから見る
サステナビリティ
倫理と人間性
ラスキンの経済観・人間観
第10講 もうひとつのあり方、もうひとつの視点
意識の深いラグジュアリー
宇宙視点主義・もうひとつのあり方
人間らしさ -
文化創造=数値の間を埋めるあいまいな要素や関係を包摂した全体像
ラグジュアリー=生活と社会を変えていくソーシャルイノベーションのひとつ
見せびらかし消費 ではなく、美醜の境界を越えたスケールの大きな輝き
lust 色欲 luxus 繁茂 luxe 光 愛妾(あいしょう)経済 から生まれる
ココ シャネル コスチュームジュエリーの発明 本物の貴金属と偽物をミックス
ベルナールアルノー 1984年 世界戦略マネジメント規格型のサービス
Luxuryの反対はVuigar 下品
新しいラグジュアリー
日々の生活
真正:職人の手、創造性、オリジナリティ ガラス張りのサプライチェーン
ロマン主義 18世紀~ 独立戦争、フランス革命
美を超えた「崇高」 畏怖や不安を想像力で乗り越えた解放の果ての高揚と歓喜
常識、権威、違和感への「抵抗」 ミキモト養殖真珠 採番での闘い
Visvim アメリカンヘリテージの高級品
Suzusan 有松 日本の伝統芸の再構築
オリジナルが最大の付加価値
応援消費
ファッションは農業
異文化理解
遺産とのつながり
ラグジュアリーの大衆化とアートのビジネス化の交差
ユネスコ無形文化遺産 =上下関係のない新しいマナー
Fazioli 2021年ショパン国際ピアノコンクール 入賞者8人中3人が使用
1981年 家具メーカー創業者が満足できるイタリア音楽の音を出せるピアノを作る
スタインウェイも元は家具メーカー
響板はストラディバリウスが使った森の木を使用
本社がピアノ発祥地パドヴァからも近い人口2万の小都市
従業員はピアノを弾く人50人のみ 年間130台(スタインウェイ3000台)
文化遺産は社歴ではなく、コミュニティと質を優先した経営
フランスの貴族性とは異なる日々のラグジュアリー
クチネリ トリトーリオ 地域まるごと視野に 1000年の視野で
日常生活にエレガントなスタイルを 本社から100キロ圏内に協力工場
「自然色」ニットの白とグレーそれぞれ10色
服装全体のコーディネイトと デザインの少しづつのアップデート
500人の村に職人仕事に特化したユニバーサル図書館 40~50万冊所蔵
スフィズム =360度 宇宙視点主義 ⇔ グローバリズム=地表にへばりついた閉鎖性
STAR SPHERE SONY、東大、JAXA 人工衛星からの撮影権