感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか

著者 :
  • 日経BP
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296107049

作品紹介・あらすじ

歴史学の視点から見たとき、感染症は世界をいかに変えてきたのか――。
この問いに歴史学者として答えることを通じて、新型コロナウイルスがぼくらの社会にもたらす変化を予測する材料を読者に提供したい。

社会経済史を専門とする歴史学者である著者が、緊急事態宣言発令下で芽生えた切実な関心から文献を集め、読み解いた、感染症史です。
「感染症と人間社会の相互作用(人間社会の変化が感染症に影響し、感染症の変化が人間社会に影響する)」という観点から、ペスト、天然痘、コレラ、インフルエンザなど、過去に感染爆発を起こした代表的な感染症について、概説します。
ウイリアム・マクニールの論考を枠組みとして用いながら、信頼できる情報を体系的、かつコンパクトにまとめました。
各章末には、それぞれの感染症についてより深く理解するうえで役立つ名著、良書を紹介するブックガイドを付しています。

感想・レビュー・書評

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  • コロナの影響によりこの1年で世の中は変わってしまった。マスクをつけて外出し、食事の団らんはなくなり、友人との集まりは避けられるように。人間らしい活動が制限されているのだ。
    本書では、これまでの歴史における感染症をペスト、天然痘、コレラ、インフルと追いながら、当時の人々の生活や社会の変遷が描かれている。歴史的な民族移動や戦争も大きく関係するようだ。
    終盤は抗菌剤の開発やエイズ、エボラなど最近話題の感染症も話題としながら、では感染症は本当に社会を変えるのかとも考察している。どのみち我々は未来に進むのだと。

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/674045

  • 感染症と人類の歩みを知る 社会を進歩させる契機にも
    2021/10/30付日本経済新聞 朝刊
    新型コロナウイルス感染症が日本で確認されて1年10カ月、人々は感染防止のためにウイルスの知識を身につけてきた。関心が高まったこの機を逃すまいと、人類と感染症の歴史を紹介する本の出版が続いている。

    ウイルスへの関心の高まりを受け、人類と感染症の歴史をまとめた本の刊行が相次いでいる
    ペストのパンデミック(世界的大流行)はモンゴル軍による広大な地域の支配が引き金となり、14世紀の欧州での流行時にはデマによりユダヤ人の大虐殺が起こった。幕末の日本では黒船来襲後にコレラが流行し、国民の心情は攘夷に傾いた。『世界史を変えたパンデミック』(小長谷正明著、幻冬舎新書)はこんな事例を紹介し、感染症が歴史をどう動かしてきたのかをまとめている。

    後半は人類と感染症の闘いを医学者の視点で記した。例えば、天然痘で娘を亡くしたスペイン国王カルロス4世は19世紀初め、ジェンナーが開発した種痘を植民地の人々に無償で施す使節団を派遣した。痘苗として数十人の孤児を連れた使節団はアメリカ大陸からアジアへ渡り、最終的に世界を一周した。旧大陸の感染症を新大陸に持ち込み、多くの人命を奪った欧州のもう一つの顔だ。

    社会経済史の観点で人類への影響をまとめたのが『感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか』(小田中直樹著、日経BP)。例えば、14世紀の欧州ではペストの流行で多くの農奴が死亡し、人手不足が農民の社会的地位を上げていった。19世紀には結核が流行する原因が工場での劣悪な環境にあるとして労働条件の改善が進んだ。英仏では児童労働が禁止され、子どもは工場労働力から学校で教育を受ける存在に変わっていった。

    8月に出版された『時を漂う感染症』(新垣修著、慶応義塾大学出版会)の副題は「国際法とグローバル・イシューの系譜」。感染症が国際協調にどんな影響を与えてきたのかを振り返る。1851年にパリで第1回国際衛生会議が開催されて以降、主要国は貿易・交通の阻害要因を最小化する目的で検疫など感染症の拡大を防ぐ国際規範をつくった。1980年代以降に健康や命の保護という使命が加わり安全保障や人権保護の視点も含むグローバル・ガバナンス化に向かい始めた。

    パンデミックは多くの悲劇を生む。一方で歴史を振り返ると、社会をよい方向に進歩させる大きなきっかけになった例も少なくない。新型コロナが自国優先主義の台頭などで世界に分断と混乱をもたらすのか。それとも人類は新たな進歩を手にするのか。答えはまだみえない。

    (編集委員 柳瀬和央)

  • 【琉球大学附属図書館OPACリンク】
    https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC01340895

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50207739

  • いろいろな感染症についてさらりと学ぶにはよいかも。
    社会にパンデミックがどのように影響を与えたのか、その影響はパンデミック後の社会を変えたのか?いくつかの事例があっておもしろい。

  • 途中で飽きてしまった。世界史は難しい。

  • 493.8||Od

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50207739

  • 過去に起こった感染症がどの様に起こり、世界がどう変わってきたかをまとめた本。
    感染症の専門家では無い経済学研究科教授が、歴史学者としてまとめ上げた本。
    感染症の歴史を理解するには良いと思う。

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著者プロフィール

1963年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科単位取得退学、博士(経済学、東京大学)。東京大学社会科学研究所助手などを経て、現在、東北大学大学院経済学研究科教授。専門はフランス社会経済史、歴史関連諸科学。著書に『フランス7つの謎』(文春新書)、『フランス現代史』(岩波新書)『歴史学ってなんだ?』(PHP新書) 『歴史学のアポリア――ヨーロッパ近代社会史再読』(山川出版社)などがある。

「2022年 『歴史学のトリセツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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