災厄の絵画史 疫病、天災、戦争 (日経プレミアシリーズ)

著者 :
  • 日経BP 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296114931

作品紹介・あらすじ

ベストセラー「怖い絵」シリーズ著者最新作!

パンデミック、飢餓、天変地異、戦争……
人類の歴史は災厄との戦いの歴史でもある。

画家たちは、過酷な運命に翻弄され、抗う人々の姿を描き続けてきた。

ムンクは疫病で死にゆく者が生き残る者へ示したあふれる愛を、
ミレイは天災から立ち直ろうとする若者の強靱さを、
ゴヤは怒りでいっぱいになりながら人間の蛮行を、
それぞれキャンバスに塗り込め、叩きつけた。

本書は、そんな様々な災厄の歴史的背景を解説しながら、現在も人々の心をつかむ名画の数々を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 日経ビジネス「災厄の絵画史」連載開始 - 中野京子の「花つむひとの部屋」(21/03/24)
    https://blog.goo.ne.jp/hanatumi2006/e/629abc94e2315a4f70f79b4497f375a9

    災厄の絵画史 | 日経BOOKプラス
    https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/10/25/00450/

  • パンデミックや戦争といった、人災、自然災害をテーマにした絵画を取り上げ、そこに描かれているものを読み解いていく一冊。

    文学作品には、文字で表された、線的な展開の面白さがあるのだけど。
    絵画作品には、一枚という制限の中で、枠外を含めて表現されるものの面白さがある。

    筆者は何度も、この「コロナ禍」を、現代の画家はどう描くのか?と投げかける。
    そう言われると、今まさに、災厄の絵画史にとっては描かれる時なのだなと、思う。

    そうして、100年先に、私たちは語られる時代として存在するのだろうか。不思議だなぁ。

    絵画を見開きで配置すると、どうしても見えないものが出てくるのがイマイチな点。

    人だけでなく、天使や悪魔が当たり前に存在する絵であっても、知れば知るほど、虚構に生々しさが加わるのは何故だろう。

  • やっぱり西洋史の話は面白いなあと思いました。
    しかもカラーの絵つきだし。

    コロナにちなんでということでしょうが、
    思ったほど暗くないです。
    あ、暗いか。
    でも中野京子さんがジョークまじえて
    楽しませてくださるので。

    『レディ・ジェーン・グレイの処刑』のエピソードは
    「何であれ、納得しがたいことがあれば、
    まず前提から疑ってかかれ」という大切なことを
    私たちに教えてくれるのですね。

    〈ピエロ・デ・コジモの描いたように、
    山火事という災厄によって人面獣が陽の下に出てきた。
    一つの闇が露になったのだ。
    コロナ禍の今も、世界中のいくつもの闇に光が当てられているのが
    現況ではないか〉

    〈いま現在、世界中を苦しめている新型コロナを、
    今後画家や作家たちはどんなふうに芸術化するのであろう〉

    さすがだー、中野京子さん。

    でも私もすごいですよ。
    今いくつかレビュー見たけど、
    どこにも書かれていなかった。
    誰も気づかなかった?

    「タケへ」がない!!
    どうなさったのでしょう?中野京子さん!

  • 絵画で見る災厄のお話。
    洪水や飢饉などの自然災害はもちろん、ペストやコレラ、梅毒などのパンデミック、戦争などの人災まで。
    ナポレオンの進撃もここでは「災厄」として取り上げられていたことには驚いた。
    戦争も災厄、まして侵略される側にしてみれば、どこかの英雄も災いか。
    ましてナポレオンは自国民へ与えたダメージもでかいし(シベリア遠征で何人お亡くなりになったか)

    「怖い絵」展に絡めた話題もちょくちょく。
    興味深かったのは、日本人が思う天使像と宗教世界における天使像のそのギャップ。
    「怖い絵」展でも話題になったとか。
    天使は天の御使いであって、人類を救ってくれる存在とは限らない。
    今回、それをまざまざと思い知らされるエピソードはインパクトあり。
    怖や怖や。

  • いつもながら的確な一文が胸に沁みる。過去作とダブるのもあるが、視点の違いでこんなにも鑑賞に違いがあるのかと思った。

  • タイトル通り、描かれたものを通して
    世界の疫病や天才の歴史をみる一冊。

    写真もなかったような時代にあって
    聞き「描き」だったとしても
    これらの絵画は人々に広く知らせる
    報道や広告の意味も持ち合わせてたんだなぁ。
    過去にもワクチン推進と反対の
    両派の争いを取り上げたものやら
    ペストが収まったから観光に来て!という
    ヴェネチアを描いたものがあったり。

    前に読んだ『医学探偵の事件簿』同様
    肖像画から病歴を推測するのも
    興味深かったです。

  • 個人的にはあまり見ることのない作品であり非常に興味を持って読むことができました。今のコロナ時代を芸術家たちはどういう風に捉えるのか作者ともちょっと被ってますが非常に興味のある命題です。

  • タイトルのとおり有名な疫病・天災・戦争について絵画を使って歴史を説明されている。説明がわかりやすくて世界史に詳しくない人でも理解しやすいし、説明が簡潔でボリュームが多すぎないため読みやすい。
    ただし紙の本では絵画の印刷が見開きにまたがる場合に間が見えづらいのが残念。絵画の解説で見開きの合間の見えない部分に言及されることも何回かあった。本書は紙よりも電子書籍で見る方が良いかもしれない(紙の本でも、ググって出てくるならそちらを見れば良いかもしれない)。

  • 2015年にデンマークが獣姦禁止法制定、理由が獣姦愛好家が集まったからで「世界は広く、幾層にも重なり、闇は深い」に笑ってしまった。法を潜り抜けようとしてはいけない。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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