働かないニッポン (日経プレミアシリーズ)

著者 :
  • 日経BP 日本経済新聞出版
3.35
  • (3)
  • (6)
  • (14)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 141
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296118182

作品紹介・あらすじ

やる気をなくし早々に〝窓際族〟を目指す30代エリート、   世帯収入3000万じゃないと就職する意味がないと嘯く女子大生、   「普通に暮らせればいいです」が口癖のZ世代会社員、「今まで頑張ってきたから」を言い訳に会社に寄生する50代、人生諦めたまま老いていく中年氷河期世代……  「仕事に意欲を持っている日本人は5%しかおらず、世界145位中最下位」   いま、何が日本人から働く意欲を奪っているのか?   健康社会学者である著者が、会社員へのインタビューをもとに    「働かないニッポン」の構造的な問題をひもとく。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本の帯に、「仕事への熱意、145ヶ国中最下位/増殖する新種の「働かないおじさん」とあり、これってうちの夫のことかも笑?まぁ、私も仕事への熱意があるとは言えないな、などと思いつつ購入。
    また、「働き損社会」の影に「ジジィの壁」あり!と書いてあって、これは団塊世代のうちの父のことか?とも思いました。
    さて中身を読んで・・・

    私も夫も「就職氷河期世代」なのですが、この本によると(まぁ他の本でも言われることですが)、今の40代就職氷河期世代は被害者で、頑張っても報われない無間地獄を生かされている。それに立ちはだかっているのが「ジジィの壁」ということです。
    だからやる気をなくして、「無難」「普通」を選択する。確かにその通りかな、と思います。
    私も氷河期世代なのでかなり苦労しました。苦労した結果、今のところ仕事(職場)に恵まれたので、それだけで十分、さらなる飛躍とかは望まない、ってなっちゃいますね。夫の場合は、企業なのでもうちょっと仕事に欲があってもいいはずだとは思うけど、多分私(妻)に安定収入があるから仕事への熱意・貪欲さが欠けているのではないかと思う。更に仕事よりは子どもと家で過ごすことが好きなので(←これは本書のテーマとは関係ない)。

    興味深かった内容↓
    働き過ぎと言われていた日本人。オイルショックから立ち直る時期に、長時間労働が当たり前になってきた。そして1970年代後半、中間管理職の突然死が散見されはじめ、ある産業医が「過労死」という概念を発表。すると医学界から「過労死なんて病名はない」と批判され、遺族が労災を申請しても一向に認定されなかった。その状況に立ち上がったのが、弁護士で、裁判で次々と勝訴を勝ち取り、1988年頃には「過労死」という言葉が社会に広まった。

    何事も、最初に気づいて、行動を起こした人たちの苦労や努力で、世の中が変わっていくのだなぁと思った。

    また、「働く」は意義あることだが、多くの人は今、お金のためだけに我慢して「労働」をしている。つまり働かされている。働いて心理的報酬を得て、有意味感を強くするには・・・
    1.「普通」を疑う
    2.仕事はカネのためだと考えない
    3.仕事にやりがいを求めない
    4.年齢を言い訳にしない
    5.信頼されようと思わない
    6.愛をケチらない
    とあり、特に「仕事はカネのためだと考えない」の説明の中の以下のことが心に残りました。
    人は「仕事」「家庭」「健康」という3つの幸せのボールを持ち、これらを一つも落とさずに、ジャグリングのように回し続ける働き方・働かせ方をしないと幸せにはなれません。(中略)私たちは境界の内側にある「自分の人生にとって大切なもの」を握りしめていたいと願うからこそ、いかなる困難や苦悩に遭遇しても最善を尽くし、大切なものが境界内にちゃんとあることで幸福感を手に入れることができる。

    まさに私は、その3つのボールを必死でまわしている日常だな、と思う。みんなそうかな、と思う。そしてこれからも頑張って回し続けるぞ!と思う。

    フロイト:愛と仕事、仕事と愛、それが人生のすべて

  • なんでこんなにも日本人は心までも貧相になってしまったのだろうか。
    いくら頑張っても報われない、何も変わらないと思う気持ちはとても良くわかり、何か行動を起こすのではなく単に文句だけ言っている人種に成り下がってしまった。

    それを解決するためには、自分の意識を変え、手の届く範囲への愛を与えることだと言う。確かに…愛だよな、愛。

  • 一億総モラトリアム社会、意欲を失って無難を求める若者世代の描写は共感できた。それが何故なのかについてははっきり分からないままだった。
    「脱働かないニッポンのためにできること」これからの目標の提示があったのは良かった。特に仕事がない状態の高齢者や生活保護受給者が「仕事がしたい」と言うというのが驚きだった。
    人は「仕事」「家庭」「健康」3つのボールを落とさないようにしないと幸せになれない。自分に意味があると感じられるような仕事をしていくのが大切。

  • 働かないおじさんやすぐ辞める若者について、日本の構造的問題を深く掘り下げるというよりは、どうすれば幸せに暮らせるかという視点で描かれている。
    働かされる労働ではなく、人の役に立つためにはたらく、そうすれば私も幸せになれるし、私が幸せになれば、日本も幸せな国になれる。
    共感した。

  • 5章を先に読んで満足した人は他は読まない方がいいかも。
    働かない日本の実態をつらつらと書いている気がする。

  • 東2法経図・6F開架:B1/9/507/K

  • 著者の書かれていた、あかん方に当てはまることも多く反省。
    問題提起だけして何もしない、我がことととして当事者意識がない等、特に気をつけたい。
    “生きてりゃしんどいこともあるよ。それはそれとして、明るく生きようぜ!”
    この考え方は大事だなと思った。
    大きなことは出来ないが、半径3メートルの世界なら、何とかなりそうな気がする。
    これから実践して行こう。

  • 特に序盤、非常に深く共感したというか、世代的にその通りだな、と思ってしまう。
    仕事とプライベートは別。
    仕事に求めるのはやりがいなんかではない。
    改めてなんで働いてるんだっけ?と考えさせられた。

  • 働くとは、他人のためでもあり自分のためでもある。そして、そう思うのは、みんな同じ。なら、自分のためだけでなく、人にどう接するか考えたらいい。「仕事」「家庭」「健康」という3つの幸せのボールがあることを思った働き方。これも、みんなそう。なら、自分に何ができる、ということを考え働きたい。最後の章で、心が暖かくなりました。

  • 働き損の国:潜在的影響 働かされ感 1億総モラトリアム社会 意欲を奪われる若者たち:窓際座奥を目指す新入社員 組織社会科家庭の欠損 役割の獲得 最近の若者論 ワクワクする 日本の20歳≒スウェーデンの65歳 無難に埋没 身分偏差値 富裕層互助会 中高年無理ゲー社会:ステレオタイプ脅威 雇用保蔵者数・社内失業者 大ジジイという魔物  働く意欲喪失:日本的マゾヒズムの変貌 呪縛から逃れる:集団のSOC↑ 有意味・把握可能・処理可能感 脱働かないニッポン:有意味感を強くするための6カ条 フロイトー他者とつながる

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。

「2020年 『コロナショックと昭和おじさん社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

河合薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
鈴木 おさむ
四角 大輔
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×