甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299004758

作品紹介・あらすじ

ホテルマンの爽太は、薬剤師の毒島(ぶすじま)さんに思いを寄せている。
彼女は卓越した薬の知識を持ち、薬にまつわる不思議な出来事をいつも即座に解決してくれる。
きちんと管理しているはずの認知症の薬が、一種類だけなくなってしまうのはなぜ。
筋トレに目覚めた友達が抱える悩みとは。
いつものように毒島さんに薬の相談をする爽太だったが、ある出来事がきっかけで、
彼女は「今まで自分は薬の知識をひけらかしていたのではないか」と悩むように。
心配する爽太だったが、さらに、偶然出会った小説家志望の男・影山から
「毒島さんに交際を申し込もうと思っている」と言われ……

生活に役立つ薬と健康の知識も満載の薬剤師ミステリー第2弾!
『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 薬剤師・毒島花織が様々な薬に絡む事件を解き明かすシリーズ第二作。

    認知症の薬が度々紛失する家、筋肉を鍛えている男性の手の震えというシリーズらしい事件が主人公でホテルマンの水尾爽太の周囲で続く。これ幸いと意中の毒島にまたまた相談を持ち掛ける爽太だが、何故か毒島は及び腰。なんとか毒島との距離を詰めたい爽太だが、毒島は薬の知識を説明する難しさを感じていたようで…。

    今回も薬についての興味深い内容がいくつもあった。
    前作でも強調されていたが、薬は正しく使ってこそ正しく効くもの。よく市販薬の説明書に『用法・用量を守って』とあるが、正にそういうことだろう。
    本来の目的ではないことに使うのはよくないのに、いまやネットでその手の情報が手に入りやすい時代、追い詰められた者がその誘惑に乗るのも分からなくはない。しかし医師までがその手の処方を外国でもやっているという理由で安易に出すのは驚く。

    前作にもあったが、薬剤師の仕事の大変さがよく分かる。そもそも処方箋に診断名がないために薬剤師の方々の苦労や仕事が増えるのだが、それを個人情報として伏せるならもっと医師と薬剤師との連携が出来るようにすれば良いのにと思う。
    薬剤師は日々増える薬の知識を身に付けるのも大変だが、患者に説明したり医師に疑義照会をしたりというコミュニケーション能力や説明能力も高くないといけない大変な仕事だと思った。
    またこのシリーズは主人公の爽太がホテルマンなので困ったホテル客も出てくる。今回は無銭飲食ならぬ無銭宿泊。こういう厄介な客もいるのかと思うと、接客業の大変さを感じる。
    また最終話の毒を以て毒を制す話も興味深い。

    先輩の馬場が糖尿病の危険性を知りながら飲み歩く気持ちは分からなくはないが、やはりきちんと病院に行って欲しい。行くみたいだが。
    そして毒島は薬の効能を確認するために自らを実験台に服用することもあると言っていたが、爽太の目の前でやられるとハラハラする。表紙の毒島は隙のないクールビューティという感じだが、作中では酔いやすいようだし無鉄砲なところもあるし無邪気なところもある。
    爽太と毒島の関係は相変わらずだが、もうこのままで良いじゃないかと思える。だが次は変化があるのだろうか。

  • 薬剤師の毒島さんが彼女に想いを寄せるホテルマンの爽汰が持ち込む謎を薬の知識を活かして解決していくシリーズ2作目。今回は祖母の薬が消える謎、久しぶりの友人が見せる体の異常は通常の謎解きだが爽汰の上司の馬場さんの病院受診を賭けて麻雀対決したり、毒島さんに興味を持った作家志望の影山が爽汰を煽ったりと違う要素も混ざってきたりでシリーズとして話が膨らんできた印象。提示される謎については現実の事件や問題として報道されたりもしているのでそれを知っていたらピンと来ると思う。多分。ただ途中で毒島さんが飲んでいるという漢方については若干違和感が。爽汰と毒島さんの関係の進展は低空飛行だけど最後の一行での引きは上手い。さて次巻ではどう出る?(昨年某ネタ元誌で塔山さんのインタビュー記事読みました。期待しております)

  • 薬剤師探偵、毒島花織さんの第二弾。
    そんなにネタが続かないだろうと思っていたけれど、「薬」ってやっぱり身近なネタなんだと思う。
    ダイエットや認知症、筋トレなどにからませてくるのはうまいと思った。
    毒島さんと主人公・爽太との仲がどうなるかも注目。

  • 薬剤師、毒島花織の名推理シリーズ2作目。
    病気や薬についての不思議や、疑問、質問を、語り部である素人のホテルマン水島が問いかけると、薬剤師毒島が、鋭い洞察力で的確すぎる解説と大胆な行動が物語をまわしている。
    毒島の勤務する調剤薬局と、水島の職場のホテル、それぞれの同僚達が、レギュラー登場人物として徐々に増えてきてシリーズに厚みが付き始めた。
    あとは二人のヤキモキした関係がマンネリがしないようになってほしいなあ。

  • 2020年5月宝島社文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。知識と薬は使いよう、薬は嘘をつかない、薬剤師は未病を治す、毒をもって毒を制す、の4つの連作短編。少し無理やり感やわざとらしさはあるものの、毒島さんの推理と聡太くんの絡みが楽しく面白い。

  • 今回も薬についての知識とそれにまつわる謎や事件をきっちりとまとまって書かれていて面白く読めた。
    薬にもこういう効果があるのかとか、国内と海外との扱いの差とか、身近にあるのに気にしたことがないことが沢山ある。
    健康診断を軽視しがちなのも分かるけれど、やっぱり知識ある人はその危険性が理解できるから対応も違う。
    ミステリーってだけではなくて、自身の健康管理についても考えさせられるなぁ。

    ただ、麻雀のシーンには全くついていけずほぼ読み流してしまった。
    知識も興味も全くないから、ほぼ意味がわからず…
    もし伏線とかあったとしても気付かないなと思った。

  • シリーズ2作目
    今回も毒島さんがその知識を活かして解決する話。

    前作以上に今回の薬に関しては知識が無ければ全くわからない内容だった。
    認知症の進行抑制の効果がある薬が、正常な人が使用すると記憶力を高める効果があるとか…

    睡眠薬についてもやはり患者に言われるがまま気前よく出す医者だとそれがどこでどのように悪用されるかもわからないだろう。

    病院で処方された薬について患者は疑いもしないし、薬局で薬剤師が「どうされました?」なんて聞いてくると「処方箋に書いてるでやろー」(しんどいのにいちいち言わせんといてー)と思ってたな。

    それでも医師よりも薬剤師のほうが、薬については詳しいのかもしれないと少なからず思ってしまった。



  • 【収録作品】プロローグ/第一話 知識と薬は使いよう/第二話 薬は噓をつかない/第三話 薬剤師は未病を治す/第四話 毒をもって毒を制す/エピローグ

    薬剤師の毒島花織が薬にまつわる謎を解き明かす連作。主に彼女に思いを寄せるホテルマンの水尾爽太の視点で語られる。
    薬の知識は興味深い。
    個人的には医薬分業のおかげで、薬について訊きやすくなったから薬剤師さんには感謝している。家族に持病があるおかげで自然と薬についても詳しくなり、その恐ろしさも実感している身としては、薬に無頓着でいられる人たちは幸せだなと思う。
    ただし、このヒロインも猪突猛進型で、それでへこむから、二重に苛つく。

  • なかなか進展しない2人の関係性、よくわからない麻雀の話…飛ばし読みしてしまった。

    面白いのだが、解決の仕方が強引でやや行き過ぎ感が否めない。命や健康について自分自身でもっと考えて欲しい、という想いが主人公の根底にあるはずなので自分自身を実験台にするのはいただけない。

    続編を読むか悩ましい…

  • 薬剤師の毒島さんとホテルマンの爽太。二人の関係も今後の展開と気になります。笑
    薬の知識も程よく、安定のシリーズです。
    安心して読めるので楽しみをとっておく感じで。
    いつでもお勧めです。笑

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著者プロフィール

1962年、千葉県生まれ。第7回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞、『毒殺魔の教室』にて2009年デビュー。

「2020年 『甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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