山の怪異大事典

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 72
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299012166

作品紹介・あらすじ

日本の国土の7割以上を占める山地。山自体が神社などのご神体として祀られているなど、日本人にとって山は神聖な雰囲気をまとった存在として崇められてきました。一方、不気味な存在が出没する場所として、恐れられてもきました。
本書には、都道府県別に山やその周辺で語り継がれてきた怪異を掲載。様々な文献やネット上で語られている怪異譚を集めました。400ページの大ボリュームで、読み応え抜群です。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の山とその周辺の場所での怪異と妖怪を集めた事典。
    北海道・東北地方  関東地方  中部地方  近畿地方
    中国・四国地方   九州・沖縄地方  全国・場所不明
    コラム、五十音順索引、参考文献有り。
    各項目に、出典・情報源有り。
    今も昔も、山は怖い。伝承される怪異や妖怪の存在。
    伝承から昔話、噂、都市伝説までを纏め、事典と成している。
    都道府県の分類の中に更に・・・山・山道・峠・水場・巨岩・
    山村・家屋・神社・仏閣・墓場・祠・炭鉱・鉱山・姥捨山・
    山城・トンネル・戦場跡・火山・洞窟と、特定の場所を付記。
    約400ページに膨大な量の、伝承から昔話、噂、都市伝説が
    掲載されています。底本では、松谷みよ子先生の本の多さに驚き。
    古い時代の怪異事典と思っていたけど、SNS等の都市伝説も
    かなり掲載されていました。でも、読んでみると、
    噂については簡易ながら検証しているものもあり、
    別の話が混同されている指摘もありましたし、
    不法侵入等の安易な行いや話には警告も成されています。
    幽霊を作り出すのは、死んだ者よりも情報に左右される
    生きた人間たちという言葉にも、重みがあります。
    それにしても、怪異や妖怪の地方色が濃いなぁと、しみじみ。
    歴史上の争いや戦争の影響も、しみじみ。
    何といっても、全国的にトンネルの怖さは共通と、しみじみ。
    幽霊が出る噂のトンネルでは、その裏側に10人の人骨が発見
    されていた事実があり、ゾッとしました。

  •  山に関する様々な怪異や伝説、都市伝説を扱った本。山というものは異界として不思議なものが住むところだと考えられていたようだ。
     昔から現代まで様々な怪異や怪談が語られており、なんだか流行りの怪異などの移り変わりもなんとなく見えてくる気がして面白い。また部分的に似ている話や掲載されている別の昔話と似ている都市伝説などもあり、広まり語り継がれ分岐していくフォークロアとその語り手の息吹のようなものも感じられる。
     また山の中に住む人達の話は多く、昔は、もしかしたら今もこうして山の中に世捨て人的に住む人がいたのだろうか?と妄想される。

     最も気になっている点として狐や狸や天狗などよく知られた妖怪の仕業とされる怪異も多いことである。しかしそれらには実際にみて確認されていないものも多く憶測にすぎない。意味不明なものに馴染み深いものを被せて理解しようとする先人の心持ちが伝わるようで、なんとも言えない不気味さがあると思う。

    たが数ある怪異の中で一番驚いたのは、志合谷の泡雪崩である。猛烈な雪崩の勢いで、建物の三階と四階が吹き飛び600mも飛んだというのが実話だということに驚かされる。現実は小説よりも奇なりというが、なるほどこれほど不思議なことが起こる山というスポットならば人々が怪異の舞台に選ぶのも納得だと思った。

  • 日本全国の『山』にまつわる怪異を収録した「山の怪異大事典」。

    山という大きな括りを「山」「山道」「峠」「水場」「巨岩」「山村」「家屋」「
    山小屋」「神社」「仏閣」「墓場」「祠」「炭鉱」「鉱山」「姥捨山」「山城」「トンネル」「戦場跡」「火山」「洞窟」の20項目に区分けしています。こういう細いこだわりみたいなものが、朝里樹の癖が見えるようで楽しいです。

    20項目の中で、怖さを感じるものというと「トンネル」でしょうか。一番身近にあるもので、最も異界を感じるからです。トンネルそのものに感じる怖さももちろんあるのですが(夜中に歩行者として通るなんていいおじさんになっても躊躇します)、単純にこちらとあちらを分けているという存在理由が怖いのです。このトンネルを抜けたら別世界に通じている、という感覚。暗闇が深ければ深いほど、それは周囲もそうだしトンネル内部もそう、この感覚は研ぎ澄まされていき怖さも増してゆきますね。
    ガリバートンネルみたいなトンネルなら大歓迎なのだけど。

    トンネルにまつわる怪異で記憶に残っているのは、昔見たテレビ番組。心霊特集で場所は覚えていないのですが、視聴者映像だったと思います。
    肝試しで行った山中のトンネル。その入り口でビデオに写っていたのは、という流れ。
    トンネルに入り口に差し掛かった時、道路の脇に体育座りしたちびまる子ちゃんの姿の幽霊が手招きしていたんですよ。それがとにかく怖くて。小学生だったかなぁ。佇んでいるとかでなくて、手招きしている、というのが異常に怖かったです。いまだに覚えているぐらいですからね。
    あれに招かれていたら、どうなっていたんだろう、という恐怖。
    あの映像が本物か偽物かはわからないですが、怖いという記憶は本物です。

    北海道・東北の項の「豊浜トンネルの魔人」は覚えていますね。‘96年の落盤事故の
    時に起きた騒ぎです。テレビで見ていて、発破で崩れた斜面が人の顔のようだ、と思ったものの不謹慎と思って黙っていたのを思い出します。騒ぎになってしまったので、自分だけの見間違いではなかったのだと思いましたね。変なもも、見てはいけないものを見てしまったのでは、という感覚でした。

    怪異・怪談になるということは、少なからずその原因になる事件や出来事があるもので、それは人の生死に関わることも多々あります。怪異・怪談に触れる際は、そこに留意して興味本位で騒ぎ立てるようなことはしたくないものです。
    なんというか、何かしらの思いが存在しているであろうものに対して、土足で踏み込み蹴利散らかすようなことはやってはいけないと思うのですよ。

  • 「山の怪」みたいに、一つの言われがストーリー展開になってる方が、
    私としては楽しめる。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50248471

  • ヒダル神を登山ではよく知られるあの現象と示唆したのは良い。

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著者プロフィール

監修:朝里樹
怪異妖怪愛好家・作家。1990 年、北海道に生まれる。2014 年、法政大学文学部卒業。日本文学専攻。現在公務員として働く傍ら、在野で怪異・妖怪の収集・研究を行う。著書に『日本現代怪異事典』(笠間書院)、『日本のおかしな現代妖怪図鑑』(幻冬舎)、『日本現代怪異事典 副読本』(笠間書院)、『歴史人物怪異談事典』(幻冬舎)、『世界現代怪異事典』(笠間書院)、『つい、見たくなる怪異な世界』(三笠書房)、『山の怪異大事典』(宝島社)、『日本怪異妖怪事典 北海道』(笠間書院)、『21 世紀日本怪異ガイド100』(星海社)、『玉藻前アンソロジー 殺之巻』(文学通信)、「放課後ゆ~れい部の事件ファイル」シリーズ(集英社)、『続・日本現代怪異事典』(笠間書院)ほか。

「2023年 『日本怪異妖怪事典 九州・沖縄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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