密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 宝島社 (2022年12月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299037329
作品紹介・あらすじ
密室トリックマシマシ! 増量! 『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作、続編!
密室のスペシャリストの前に立ちはだかる7つの密室。
密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある――“密室殺人”に初めて無罪判決を下した元裁判官も加わり、謎を解くため奔走する!
日本有数の富豪にしてミステリーマニア・大富ケ原蒼大依が開催する、孤島での『密室トリックゲーム』に招待された高校生の葛白香澄は、
変人揃いの参加者たちともに本物の密室殺人事件に巻き込まれてしまう。
そこには偶然、密室黄金時代の端緒を開いた事件の被告と、元裁判官も居合わせていた。
果たして彼らは、繰り返される不可能犯罪の謎を解き明かし、生きて島を出ることができるのか!?
感想・レビュー・書評
-
★5 密室が7つも?! 令和時代の密室トリックが目白押し ガチ本格ミステリー #密室狂乱時代の殺人
面白い★5
まずプロットがウマイ、明らかに前作よりバランスが取れていて読み物として面白い。パズル解き小説になっちゃうのではと懸念してましたが、全くそんなことはありません。
次々出てくる密室をトンデモ解法でびっくりさせてくれながらも、物語を上手につなげてどんどん熱中させてくれる。ミステリー小説としての完成度が高いです。
登場人物も面白いキャラをバランスよくかけていて絶妙。例によってヘンテコさんの集まりですが、ひとりひとりの特徴や魅力が伝わってきました。
なにより先生のミステリーへのこだわりがスゴイ。ちょっと遊んでみましたといレベルではなく、密室に関しては妥協しないぞ、という意思が伝わってくる。
バラエティに富んだ密室殺人だけでなく、孤島、見立て殺人、各章のタイトル名、その他細かいディティールにいたるまでやり過ぎ。私が一番ささった「この密」ですかね、爆笑です(略してますが読めばわかる)。このキーワードを発想した先生は間違いなくアホだと思いました。
そして主役の密室トリックですが、前作にも増してバラエティーに富んでいて強烈。
実現度はともかく、読者を楽しませてくれる、いや明らかに作家先生本人が楽しんでいるのが手に取るようにわかる。
今までにある密室トリックをオマージュしつつも、大技小技の新しい工夫をこしらえて、令和時代の密室トリックに仕上げています。ミステリー好きは、ぜったい面白いから読んどけってレベルですね。
以下、各密室の感想です。ネタバレにならないように密室名自体もほぼ伏字にしてます。
【1】ゲ〇〇の密室
最初なので事前にヒントを出してくれてるんですね、親切。
ヒントから想像はつくけど、一番のキモ部分はわからなかった。
【2】コ〇〇〇の密室
この手のトリックはどこかにあるだろうなと思いましたが、解法は強烈です。
【3】地〇〇の密室
前作もそうでしたが、ここの構造に拘るレベルになると、いい意味で変態としか考えられないですよね。
【4】首〇〇の密室
天才的発想ですね、このトリックを思いついても、成立させきるところがスゴイ。
【5】十〇〇〇〇の密室
解法部分も面白いけど、一連の読者への情報提供、考察パート部分で読者を悩ますのが上手。
【6】カ〇〇〇〇の密室
これも目からウロコですね、シンプルながらも思いつかなかった解法。
なんか自分でもできそう。ぐふふ
【7】天〇〇〇の密室
解法がシンプルながらも色々と工夫がされてて面白い、度肝感も高くてGOOD!
なにより最後の密室を迎えて、先品全体をまとめているのが素晴らしい。
いやーどれもケッサクですが、特にお気に入りなのは【1】【3】【5】【6】ですね。こだわりがキモすぎて最高。たくさんの密室トリックを楽しませてくれて、ありがとうございます。
正直これを超えてくるのはなかなか難しいだろうというレベルの出来で、鬼面白かったです!読者としては次回作も期待しちゃいます~詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『密室狂乱時代の殺人』の概要と感想です。
前作『密室黄金時代の殺人』では、イエティ探し……、こほんっ(咳払い)。雪の館で起きた数々の密室殺人に主人公(葛白香澄)と愉快な仲間たちが爽快に謎を解いていくクローズドサークルミステリのハウダニットでしたが、今作はかなり強引な密室殺人という印象ですね。でも面白かった♪
本作『密室狂乱時代の殺人』は金網島という大富豪が所有する孤島に何故か招待された葛白香澄と愉快な仲間たちが、チュパカブラ探し……ではなく、密室トリックゲームに参加することから始まります。
孤島=クローズドサークルは定番ながら、その島には様々な宿泊を兼ねたコテージが設けられ、あれよあれよと想定外な密室殺人が起きてしまう。さてさて、葛白香澄と愉快な仲間たちは無事に島を脱出できるのか?
次回作への期待が高まる終わり方も含めて、やはり青崎有吾さんの裏染天馬シリーズと似て、私にとって好きなシリーズ作になりました♪ -
「解き明かされない密室での殺人は無罪」な日本で起きる連続密室殺人事件第二弾。今回は密室マニアの大富豪が主催する孤島での密室ゲームに招待された葛白君。変人揃いの参加者の中には日本最初の無罪条件を満たした密室を構成した蜜村漆璃と判決を下した裁判官黒川ちよりという因縁の相手まで。お約束通り起こる大量の密室が前回以上の力技過ぎて逆に楽しい。コテージ密室とか地下室密室とか空中に浮かぶ部屋での密室とか。でも密室作成最中に誰か気付かないか?と思うのは野暮か。しかし成立条件からいくと犯人あの人しかいないぞ…となってからの変速技の畳み方はちょっと無理がある気がした。葛白君の幼馴染夜月が前作よりは活躍してたけどまだ影薄いなー。もっとはっちゃけるキャラだと思ってたので。
-
密室縛りの中で、次々に起こる密室の連続殺人事件。
個性的な名前の登場人物なのは前作と変わらず。
トリックも大掛かり過ぎて現実味が乏しいです。『密室全覧』と呼ばれる密室殺人請負人と次は直接対決でもあるのかな、と思わせる終わり方でした。 -
密室狂乱時代。第2弾。
中々大掛かりなものから、扉まで、トリック満載。
登場人物が次々と殺されるので、人物像が分からないまま、トリックを見破るのが優先されるので、
動機などはほぼ関係ない。
まだ最大の密室は解かれずなので、続きも期待。 -
面白かった。epilogueからはすらすら読めました。
次作が出れば読みたいですね。 -
とにかくめっちゃ密室です。
殺される人たちみんな密室
前作を読んでなくても楽しめますが、ところどころ前作の話が出てくるので、気になる方は前作を読んでからの方が良いかもです。
密室殺人が好きな人は刺さると思います!!-
2023/09/18
-
-
大富豪・大富ヶ原蒼大依(おおとみがはらあおい)が主催する密室トリックゲームに招待された高校生・葛白。場所は30mものフェンスで囲まれた孤島・金網島!そこへ変人揃いの探偵たちが集まる時、本物の密室殺人事件が次々と発生し──。
「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」ことが裁判で示された日本で巻き起こる密室ミステリ第二作。今回は絶海の孤島が舞台に!孤島ならではのネタも盛り込みつつ、前作を超える密室トリックやワクワクする仕掛けを惜しみなくぶち込んでくる鴨崎先生に敬意を表したい。面白そうなものを全部乗せしちゃう!って感じが伝わってくる。密室という箱の中だけではなく、それを取り巻く人々など、密室から外へと扉が開いていくような展開が気持ちいい。
しかも今回は葛白・蜜村・夜月の前作トリオに加えて、蜜村が作った「始まりの密室」に無罪判決を言い渡した裁判官・黒川ちよりも登場!密室黄金時代を起こしたキーパーソンが集うという胸熱展開に。さらには『密室全覧』と呼ばれた密室殺人専門の殺し屋の影まで!読んでる方は楽しいけど、絶対に行きたくない絶海の孤島だよね(笑)
設定、トリックの妙だけではなく、キャラの軽快なかけ合いも楽しい。因縁の蜜村とちより!再会しちゃったー!とハラハラしてたけど、密室に対する考え方や謎解きにもアクセントになってよかった。葛白・ちよりコンビは可能性を見たなあ。それでも、蝶番について五百時間考えた密室ガチ勢・蜜村には負けましたの一言。ミステリとしての密室と合わせて、蜜村の心という密室を開けることができるのか!ほのかな青春の香り。シリーズはまだまだ続いてくれそうで楽しみ。
トリックについてはネタバレになるので触れないけど、なるほどすげえ!と思いつつも、こんなことしたらバレない?とかプロすぎない?と思うものもあり。ツッコミどころはありつつも、満足感があるミステリだったのは間違いない。 -
大富豪大富ヶ原に招待され金網島にやってきた香澄や漆璃たち。そこで次々と起こる密室殺人事件。誰がどのようにして事件を起こしたのかを探るのだが…。
前作の『密室黄金時代』よりも密室具合がパワーアップしてる!、
とりあえず好きなのは
・トリックがちゃんと図解されてるとこ
・登場人物の名前と属性が分かりやすいとこ
これでもかというくらい密室殺人事件が起こり、なおかつ最後に+αで、満足。