コロナ漂流録

著者 :
  • 宝島社
3.21
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本棚登録 : 268
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299041821

作品紹介・あらすじ

未知のウイルスは世の中を恐怖に陥れただけでなく、腐敗した政治をも露わにした――。
2022年6月――東城大学医学部附属病院では、学長の高階が学長室を退去、子飼いの田口と部屋の交換を提案する。そんな黎明棟でホスピス病棟とコロナ病棟の責任者を兼務している田口に、新任の中堅医師・知覧が叛旗を翻し、独立を宣言。この問題を解決するため、田口は禁断の一手、厚生労働省の火喰い鳥・白鳥圭輔を東城大に召喚した。

感想・レビュー・書評

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  • 今回もすごく面白かった。
    海堂尊さんの社会的貢献は素晴らしいと思います。
    本が出版されれば、必ず購入するようにしています。。

    今回はコロナシリーズ三部作の最終作「コロナ漂流録」です。
    五輪、ワクチン開発補助金、万博を取り上げながら、うごめく裏の世界。
    補助金を出したのなら、きっちりと検証が必要?
    やっぱり首相がよくない??
    今の日本は一部の利権だけが、いいように振る舞っている気がしてなりません。
    とにかく面白く読みました。

    メモ

    安保宰三首相の銃撃事件、奉一教会、エンゼル創薬、東京五輪、浪速万博、広告代理店 電痛、人材派遣会社 ダンボ、効果性表示食品、



    最後の章に海堂さんの思いが。

    間違えることは罪ではない。
    人類の繁栄は試行錯誤の上に成り立っているのだから。
    だが、間違えたことを隠蔽することは、人類に対する罪になる。
    同じ間違いによる厄災を、後世の人々に繰り返しもたらすことになるからだ。

  •  このシリーズ、楽しみにしてました!前の2作でハマって、この作品は最終作だって…どんな風な落としどころになっていくのか…だって、今でもってコロナが収束したとは決して言えないし…。とか、考えちゃう方が混乱のもとなのかな…なんだろ、残念なことに期待通りの読了感を私は得られませんでした。前2作と読んでから、この作品を手にするまで間が長くなっちゃったからかな…。

     ストーリーは2022年7月から2023年1月の期間が描かれています。東城大学医学部付属病院で、コロナ病棟とホスピス病棟の責任者を兼務している田口公平は、新たに赴任してきた洲崎の対応に困惑し、厚生労働省技官の白鳥に声をかけるのだが…。

     元首相の襲撃事件、国葬儀、特定保健用食品、オリンピックや万博、ワクチンやコロナ治療薬…フィクションなので個人名も言い回しも変えているけれど、いっぱいいっぱい詰め込まれた感じで…私には読みにくくそして理解もしにくかったので残念でした。田口医師と洲崎医師(暴走ラッコ)、白鳥技官のやり取りは面白かったです。

  • "コロナ黙示録"、"コロナ狂騒録"に続く第三段。

    コロナ対応に加え、狙撃された安保元首相の国葬儀を英国女王の国葬と比べて偽国葬だ揶揄したり、狙撃犯の奉一教会とのかかわり、宗教法人の解散をめぐる問題などが描かれ、どういう形で終わるのかと、途中まではワクワクしながら読み進めた。
    現実世界でも(?)、まだ結論の出ていない状態ということもあるのか、二作目までほどのスッキリ感はなく、少しモヤモヤが残る終わり方だったが、それでもこれだけのことを書き込んだ作品、著者はスゴい!

  • このシリーズは読んだことがなかった。作者の追及の姿勢に圧倒された。こうしてみると、ここ数年に渡ってのコロナ禍には、怒涛のように色々な出来事が押し寄せてきたのだな。コロナウイルスは身体を蝕むものであると同時に社会の膿をも出すのかもしれない。長期安倍政権下での「中抜き」や「不正補助金」にすっかり慣れきってしまった私たち。驚きも憤りさえもしない不感症の日本国民、それがウイルスよりも恐ろしい。新型コロナウイルスに特効薬が見つからないのは、社会の不正につける薬がないのと同じだ。

  • <鼻>

     あ,そうだった海堂尊も医師作家だった。最近,現役医者の作家となるとどうしても先日読んだ『ヨモツイクサ』の著者 知念実希人のインパクトが大きいので,ほかにも何人か居る同医師作家のことは失念しがちなのだ。海堂尊もそうだった。すまぬ。  そしてふーむこれは書下ろし作品なのか。雑誌などに連載した作品はたいてい面白い。もちろん僕にも作家さんの好き嫌いはあるので連載作品なら誰のでも良いという訳ではないが。ところがまあこの作品は書下ろしとは思えない章立になっていてかなり面白い。

     まあ ストーリーは前作同様に実際に起こったことをモチーフにしてそれをいつもの大学病院関連への出来事へ発展させて面白おかしく書いているだけ。辛らつに言うと,とてもプロ作家の作品とは思えない。新型コロナバイラス禍津について小説の形で詳しく書き残しておくこと自体は悪い事ではないと思う。が,今作はあまりにもメインとなるストーリーが史実のまんまなのだ。これはもはや「作文」ですらない。強いて言えば「まんまノンフィクション」として刊行すべき内容のものだろう。尊さんよ,もうバチスタの頃の目の覚める様なアイデアは出尽くしたかっ!?

     今回改めて思った事は登場人物の言動を特徴付けるコードネームとして「ハウンドドッグ」だの「ヒクイドリ」という言い方を性懲りもなく使い続けていること。海堂がその昔これらの言葉を使い始めた時は物語がその言葉を強調するストーリーだったせいか,やけにシックリきてかっこ良かった気がするが,今はもうダメである。同じ登場人物なのだろうがいつまでも昔にしがみついてるんじゃないっよ。いちいち鼻につく。それともその言葉を使わないとイメージがわいてこないのかな。やれ寂し。

      気になる表現があったので書き出す。学長室のソファーで寝てしまい朝の光で起こされた田口センセー曰く「寝入った事に気づかなかった・・・」?? 果たして寝入った事に気づく人っているのだろうか。本書はまたもや校正や推敲無しでの出版なのであろうか。紙に印刷して行う校正行為はもうたぶん無くなったので,こういうミスには気づかないのだろうか。そのことは僕の様な天邪鬼な読者の感想文筆記欲を満たしてくれて誠に嬉しいのだが。笑う。

     本書と同時並行的に,今敏先生の『赤の調査ファイル(ST捜査シリーズ)』を読んでいる。STの方は毎巻違ったテーマで物語られるのだが,今読んでるのは偶々医療事件に関する調査ファイル。本書『コロナ漂流記』と非常に似通ったところがある。STの方は20年も前に書かれた作品で,全く異なったプロットによる作品なのだが,しばしどっちの物語だったか分からなくなってしまう。それはなぜか。医療の抱えている根本的問題がもう20年来基本的には何も解説していない事を物語っているのであった。様々な利権がからむ日本の医療事情が真に患者の為のモノになる事はこの先永遠に無いのであろうなぁ,と哀しい気持ちにさせられる両ストーリーなのである。

     この本には「THK」という作者は架空のつもりで書いた会社の名前がしばしば登場する。NHKをもじったつもりの 帝国放送協:THK だ。ところがこの社名を正式名称とする会社しかも一部上場(今はなんだっけプライム市場上場だっけ。ま どうでもいいが)の大手会社だ。地震の揺れの制振装置の試験結果で,その値をでっち上げた事実が明るみになって社会的大問題になった会社なのだ。そういえば,その満足な性能が発揮されない制振装置があちこちのビルやマンションの基礎として使われている件はその後一体どうなったのであろうか。まさか海堂はそこまで読んだ上でTHKなのかぁ。まあそれはないなw。

      なにが”実に百人一人じゃ” このあほが。
    旦那 最後に辛らつな結言を書いておきやしょうかい。海堂尊さん,あんた(たぶん)立派な医者なんだからさ,もうこんな三文小説書くのはやめて,医者業に専念しはった方がええんとちゃいまっか。もしどっかの出版社から無理やり頼まれて書かされているなら,そんな出版社なんかこの際無視したかてかまへんのんとちゃうか。あ,正真正銘僕りょうけんの本音です。尊さん消えてください。

    • ryoukentさん
      あ,間違えてた。制振装置の件はTHKではくて カヤバ だった。すまぬ,と謝って訂正いたします。まあ,誰も読んではいないだろうけど。わらう。
      あ,間違えてた。制振装置の件はTHKではくて カヤバ だった。すまぬ,と謝って訂正いたします。まあ,誰も読んではいないだろうけど。わらう。
      2023/07/08
  • コロナ年代記の第二弾。実際の出来事に沿って進む。結構読むのが大変だった。

  • 難しい事を小説というエンターテイメントとして簡単に分かりやすく書いてくれているのはありがたい事と思う。
    しかし、かなり現実のアレのことだなと分かるだけに、それが真実と思い込まされてしまう面も気をつけなくてはいけないなと思った。
    特にラストなど著者の思いをキャラに代弁させる場になってしまってると感じる所もあったので…。
    その時の時事を取り入れつつ純粋に小説として楽しめると良かったのだけど、あれやこれやが透けて見えるようになると…余計な考えが頭に浮かんできて純粋に楽しめなくなって残念だ。好きなシリーズだけに。
    この日本については最近本当に失望することが多いし、この先の世代のことを思うと暗い気持ちになる。コロナに関しては本当に何が本当なのかわからなくて、多方面から情報を取る癖をつけないといけないと感じる。
    本作に共感する所、新しい情報にハッとするところ、一方で?のところもあったが、極端にはしらずこれもまた一つの側面として考える力としたい。
    小説としては現実とリンクするだけにモヤモヤが残りつつも、カタルシスもあり、読みやすくて一気に読めました。
    医療は生活に不可欠で、でも素人にはわかりづらい部分もあるから、これからもこのような形で発信を続けて下さる事を期待する。

  • 三部作を読み終えた。正直、疲れた。
    コロナという現象が持つさまざまな側面を濃いキャラと密な設定に全て詰め込もうとしている分、読みにくく感じてしまったのは否めない。

    不定愁訴の田口医師が狂言回し的に、傍観しているようで俯瞰しているところに安心した。

    桜宮サーガはこのあとどう続くのか…それとも閉じられるのか…楽しみ半分、といったところだ。

  • この作品のように、やりたい放題の権力者をやっつけてもらいたいものです。読みながら令和4年を思い起こしました。
    田口先生はじめ、皆さん歳をとったと感じました。私も体の不具合と折り合いをつけながら生きて行きたいです。

  • 為になる小説だなぁ!!

    面白かったけど、こんな事が起こっていたとは!と驚きの連続で、何だかなぁ…という気分にも。

    天災にも、人災にも、あっても粛々と生きていくしかない気がするけど、どっちにもあわずに生きて行けたらいいんだけどな。

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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