- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299044099
作品紹介・あらすじ
3年連続「本屋大賞」にノミネートされた青山美智子さんの最新文庫本。川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日にだけ「抹茶カフェ」を営むことに。ついていない携帯ショップの店員、妻を怒らせてしまった夫、恋人と別れたばかりのシンガー、時代に取り残されたと感じている京都老舗の元女将……。思い悩む人々が誰かの何気ない言葉で前向きな気持ちになっていく――。人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している。――これは、一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心温まるストーリー。『木曜日にはココアを』のおなじみのメンバーも登場する、シリーズ続編がついに文庫化です。
※本書は2021年9月に刊行された単行本『月曜日の抹茶カフェ』を文庫化したものです。
感想・レビュー・書評
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2023.12.25 読了 ☆9.4/10.0
本書は、12章から成り立っている連作短編集です。
第1章に登場した人が、次の第2章の主人公になって出てきます。
そしてまた第2章に出てきた人が、第3章の主人公になって…というように、第12章まで、リレー形式で物語をつないでいく本です。
また、第1章が1月の話、第2章が2月…というように、
1月〜12月までの1年間の物語となっています。
そして青山美智子さんの代表作『木曜日にはココアを』の続編である本作は、前作『木曜日にはココアを』を読んだ人には、「あ、あの人だ!」、と嬉しくなる再会があります。
マスター、シドニーに新婚旅行に行っていた理沙とひろゆきさん夫婦、ランジェリーショップを開いたピコこと尋子、画家の夢を叶えて個展を開いた輝也パパとたっくんことその息子・拓海、マスターのビジネスパートナーであるオーストラリア人のマークと、その妻であり翻訳家になる夢を叶えたアツコなどなど、前作の主人公がサブキャラとして登場したり、逆に前作でサブキャラだったのが本作ではメインになってたりと、二作の繋がりが二重三重と味わえる構成になっています。
ありふれた日常の景色や一つひとつの小さな悩み、葛藤、そこからの気づきや学び、前向きな姿勢は、読んでいて清々しく、気持ちがいいです。
12章のうちのどの作品でも、もがき、つまずき、凹んで先が見えなくなりつつも、それでもめげずに小さなご縁や繋がりに気づき、それらを拾い上げて生きる糧や希望へと変えていく…
そんな人々がたくさん登場します。
仕事にやりがいを感じて生き生きとしている登場人物に、自分も「毎日を懸命に、一つひとつを頑張らなきゃ。繋がりを活かすも殺すも自分次第。大切に拾い集めよう」と身が引き締まるとともに、心が清々しくなります。
良い“ご縁”“出会い”“繋がり”というものは、どこからかやってくるのを待つものではなく、自分から掴みに行くものなのだな、と改めて思いました。
この本を読んでいると、人生の中で出会った人や物は、全て縁があったっていうことなのかなぁ、って思いました。
一度しか会わなかった人でも、一度しか会えなかったんじゃなくて、一度だけでも会えた、っていうことなんですよね。
どんな出会いも決して無駄ではないんだと思います。
私は、青山美智子さんの本と出会えた「縁」をずっと大切にしたいです。
〜〜〜〜〜心に残ったフレーズ〜〜〜〜〜
“人でも物でも、一度でも会ったらご縁があったってことだ。
縁っていうのはさ、種みたいなものなんだよ。小さくても地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたり、うまい実がなったりするんだ。種の時は想像もつかないような”
“思い出って、流れ流れゆく時間を留めておくピンのようなものかもしれませんね。
だけど留まる場所は人それぞれだから、ピンの位置がちょっとずれちゃったりもするんですよ”
うーん、なかなか深い。
思い出って人それぞれ、自分が覚えたいように覚えてるだけなのかもしれないですね。
同じことを体験しても、人それぞれ捉え方とか考え方って違いますもんね。
“卒業って、次のステージに行っておしまいじゃなくて、ここまで頑張ってきたことをたどって自分で自分を認めたり、支えてくれた人たちに改めて感謝したりの節目でもあるんだわ”
“望み通り想定したままのことを手に入れたとしても、
それだけじゃ夢が叶ったとは言えないんだよ。
そんなふうに、どんどん自分の予想を超えた展開になって、
それをちゃんとモノにしていくっていうのが、本当に夢を実現するってことなんじゃないかな”
“どんな出会いも、顔もわからない人たちが脈々と繋いできた手と手の先なんだよ。遡っていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。どの手が一つでも離れていたらここには辿り着けなかった。
一番素晴らしいのは、遠いところで手を繋いできた人たちが、自分がどこかで誰かを幸せにしているかもしれないなんて全くわかっていないことだね。それがいいんだ。自分の周りのことに取り組んだ産物が、あずかり知らぬ他人を動かしたってことが”
“この世に生まれ落ちた時から、僕たちはただどこまでも繋がり続けている。
知らない誰かの手がここにたどり着いたのなら、この手の向こうにもまた、知らない誰かがきっといるのだろう。国を超え、時を超えて”
“縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。
どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうぐらいに。一つひとつ交わす言葉や、わずかでも顔を合わせる時間や、相手へのその都度の思いやりや……
丹精込めて手をかけて、続いていくものなのですよ。
こんなに遠く離れた、国籍や母国語の違う私たちを長い間繋いでくれているのは、それら一つひとつの膨大な積み重ねなんだと思います”
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
毎日の出会いの数々…人に限らず物事でもそう、失敗や悔しさ、成功や喜び。それらもきっと「出会い」であり「ご縁」なんだと思います。
それら一つひとつに気づいて、拾い集めて、自らの糧にできるか、豊かな人生の花を咲かせる栄養にできるかは、自分自身の心の持ちよう次第なんだと教えられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【縁】をテーマにした
数珠繋ぎの短編集
木曜日にはココアを
の続編!
んんん実に良くできてる
人は知らず知らずに誰かしらと知り合って生きていく
一人で行くことはまず無い
青山さんの、お話を連ねて行く 必殺フルコース的な作品
呼んでて気持ちをフワッと…ウルッと…ホッコリと…キュンとさせる。
まるで白湯でも飲んでるような気分になる…
毎回読んでて
喫茶店行きたくなる♪
※だから話が変わるけど、結局俺が何を言いたいかって言うと…
【喫茶店は平気だけど…オジサンとしては何回行ってもスタバだけは慣れなくて、緊張して普通のコーヒーしか頼めないよ】ってこと!! -
なんとコンビニで青山美智子さんの文庫本を発見!
それが昨日読んだ「木曜日にはココアを」の続編だったのでレジに走ってPayPayしました。これも何かの縁ですよね。東京と京都を舞台に繰り広げられる12ヶ月の連作短編集です。もう定番すぎてしっくり馴染んできました。
サブキャラだった人が入れ替わりメインキャラになると皆饒舌になり心の声が聴こえてくる。つまり客観的に捉えていた人物を主観的に見ることによって親密度UPするズームインな手法。これまで語られなかった身の上や心情が露呈すると朧だった輪郭がクッキリと浮かび上がり光と影の干渉を得て立体感が出て人間味をおびてくる。遂に猫まで語りだした時は笑けましたけど。青山さんの作品に出てくる人物は基本皆良い人で、ちょっとだけ油切れしてる感じで噛み合わずキィキィいってるけど、自分では気づかない個所にある歯車みたいで、ちょっとした縁がもたらすふれあいが潤滑油になってスムーズに動きだす感じなんですよね。今回はラグジュアリーショップのピーちゃんも大活躍だったし、ギター背負った女子もその友人の紙芝居女子も見えない部分にワンポイント信念を持った手作りブラのようにフィットしてました。
やっぱり最終章はふりだしのスマホショップの女性が出てきてググッときました。
先日、図書館でスマホでブクログみながら本を探してたんですが、すぐ横で同様にブクログ開いて探してた素敵な人と目があったんですが突然のことで一瞬固まってしまいそそくさと他の棚に移動しちったんです。お声がけすればよかったって後悔してるんですが、もう1度会えたらブクログの話なんかしてお友達になれたらって思ったりです。
「その人に対して誇れる自分でいたらまた会える」ってアドバイスしたエアメールの彼女(前作のココアちゃん)、うんうん納得です。
また、縁って脆弱なもので、どちらか一方がぞんざいに扱ったらあっけなくちぎれてしまうぐらいなものだと、なんかわかるなぁ。
最近、名前も告げずに、どうしてます元気ですかっとか、どうしてもお伝えしたいことがあるから連絡くださいとか頻繁に入ってるんですが、ずーと無視して消去してますが、迷惑メールにしか相手にされてないのが悲しくって、この作品のような素敵な出会いしてみたいなぁ。-
しじみさん、おはようございます(*^^*)
青山美知子さん、続きますね!
私も青山美知子さんの作品、大好きです!!
「木曜日にはココア...しじみさん、おはようございます(*^^*)
青山美知子さん、続きますね!
私も青山美知子さんの作品、大好きです!!
「木曜日にはココアを」「月曜日の抹茶カフェ」のあとは
「いつもの木曜日」を
「赤と青のエスキース」のあとには
「マイプレゼント」「ユアプレゼント」です(*^^*)
どれも、ホント素敵な作品ですよ♪
図書館でブクログ開いている方がいたのですね?
私もよく図書館で開いてます(^-^;
本好きの人には悪い人はいない…と、
ヨシタケシンスケさんの作品にあったんですよね!
つい思い出しちゃいました(^^)/
また逢えるといいですね!!
図書館帰りにわらび餅食べながら
読んだ本の話をするとか、いいですよね!2023/10/04 -
かなさーーん、おはようございます!!
初めての青山さんは「月の立つ林で」だったんですけどそれから大好きになり順不同で読んじゃってます。...かなさーーん、おはようございます!!
初めての青山さんは「月の立つ林で」だったんですけどそれから大好きになり順不同で読んじゃってます。まだまだ読んでない作品多いのですが人気作家さんなので予約も多くって順番が回ってこないから所持率高めなんです。
かなさんも、ブクログ開いて探してるんですね!(^^)!
そんな人みかけたら積極的にお声がけ出来たら出会いも多くなると思うのですが、なにせコミュ症だからハードル高めなんですょ。
ひたすらウエルカム状態でブクログユーザーPRしてみようかな(^-^;
わらび餅いいですよね。でもイートスペースないんですよ。
図書館に隣接したカフェがあるからそっちのが誘いやすいかもww
そこは発達障害のウエイトレスさんがいて、おぼつかない手つきで運んでくれるんですがアットホームで居心地良いとこなんです。
一人では3時間も粘れないけど
そんなところで本の話とかできるといいなぁ( *´艸`)
2023/10/04
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今年の自分へのクリスマスプレゼントに購入
人と人が繋がっている事を、気づかせてくれる本でした。
自分と出会ってくれた人たちを大切にしようと思わせてくれる、思い出させてくれる本です。
特に 抜け巻探し は夫婦の絆を感じて良かったです
心があたたかくなる青山さんの本が大好きです! -
青山さんの作品は7作目。
前作の『木曜日にはココアを』を読んだのは、ちょうど一年前なのに、既に忘れている。最近の青山さんの作品は短編が5編ぐらいなのだが、このシリーズは12編と多いので、各編毎の中身が薄く感じてしまう。各編はいつものように後半に良い話しで締めるが、深さが足りなくなる。その上、この作品では東京と京都が6編づつなので、カフェとの繋がりが少ない。もっと抹茶カフェが見たかった。 -
大人気「木曜日にはココアを」の続編となる本書。
この薄さに12作の短編がはいっており、ひとつひとつはとっても短くてあっさりしたものとなっている。この12作のお話でちょうど一年が経っている。今回の舞台は東京と京都。
1 月曜日の抹茶カフェ(睦月・東京)
2 手紙を書くよ(如月・東京)
3 春先のツバメ(弥生・東京)
4 天窓から降る雨(卯月・東京)
5 拍子木を鳴らして(皐月・京都)
6 夏越の祓(水無月・京都)
7 おじさんと短冊(文月・京都)
8 抜け巻探し(葉月・京都)
9 デルタの松の樹の下で(長月・京都)
10 カンガルーが待ってる(神無月・京都)
11 まぼろしのカマキリ(霜月・東京)
12 吉日(師走・東京)
「木曜日にはココアを」を読んだ人は、あ、あの人、と嬉しくなる再会もある。
ひとつめのお話とラストのお話はメインの二人の縁をさわやかに書いていて、特に青山美智子さんらしい作品だったと思う。
「木曜日にはココアを」からするとどれも短くてちょっと物足りない気にもなるが、ありふれた日常の風景や悩みや、そこからの気づき、前向きな姿勢は、誰が読んでも気持ちがいいものだと思う。どの作品でも、仕事にやりがいを感じて生き生きとしている登場人物に、心が清々しくなる。そして、良い「縁」というものは待つものではなく、自分から掴みに行くものなのだな、と思った。
短時間でさっと読めてしまい、前作よりはあまり記憶に残りにくかったのは残念でしたが、好きだった話は、「「抜け巻探し(葉月・京都)」と「デルタの松の樹の下で」の2つでした。 -
青山美智子さんの作品は何冊か読みました。
どれも強烈というか個性的なキャラクターの登場人物らしきものが出てきました。なので、読むときは少し構えるのですが、この作品はそれは要りませんでした。
抹茶好きの私は、お正月にお抹茶をいただきました。
もちろん、お薄ですが。
そんな事もあって手に取った作品です。
1月から12月までが一杯の抹茶から始まって、京都、東京と繋がれる物語でした。
どの月もとても優しくて、柔らかくて、心が温まるようでした。
そんな作品の中にも、キラッ、キラッと心に響くフレーズが散りばめられていて、それが、また温かいのです。
抹茶に惹かれて読み始めた作品でしたが、とても素敵な出逢いになりました。 -
なんて心温まる、そして心癒される優しい物語でしょう。『木曜日にはココアを』を読んですぐに読むことを強くお勧めします!!!
いろいろな『ご縁』があって
いろいろな『出会い』がある。
繋がって繋がって、それぞれに成長して、成長させられて、人は大きくなっていくんですね。
こんな素敵な出会いをしてみたいです。でも自分自身でただ気付いていないだけかもしれません。一日一日を大切に生きていきたいと思わされる作品でした。 -
相変わらず癒される青山美智子さんの本。
仕事行く前の嫌な気だるい気分をスッキリさせてくれる!笑
わたしと、この1冊を繋いでくれたどこの誰かも分からない沢山の人達ありがとう -
読んだエピソードの中でも特に、『拍子木を鳴らして(皐月・京都)』が最も気に入りましたので、何度も読み返したくなりそうです。
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あまねってぃさん★
初めまして、遅くに失礼m__m
先日はフォローを頂きありがとう!
返信が遅くなりました。
この本を含め、青山美智子さんは...あまねってぃさん★
初めまして、遅くに失礼m__m
先日はフォローを頂きありがとう!
返信が遅くなりました。
この本を含め、青山美智子さんはとても気に入っています。
ただいま神様当番、時代を遡っていく、鎌倉うずまき案内所もお若い方には昔を知ることができいいかと思います。
そして、さてさてさんというフォロワーさんのお薦め本ですが、私にふさわしいホテル、柚木麻子さんもご機嫌な本です。
良かったら読んでみて下さいね。
では末永くよろしく、遅くに大変失礼しました。
おやすみなさい(-_-)zzz2024/01/30 -
2024/01/31
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